カショジ記者殺害 カナダ情報機関「犯行録音のテープ聞いた」

A man passes in front of a screen showing a picture of Jamal Khashoggi, at an event in Istanbul (11 November 2018) Image copyright AFP

カナダのジャスティン・トルドー首相は12日、仏パリのカナダ大使館で記者会見し、カナダの情報機関がサウジアラビア人記者ジャマル・カショジ氏が殺害される際の録音を聞いたと認めた。

「トルコが入手し共有した情報について、カナダは十分な概要説明を受けた」とトルドー首相は述べた。

トルドー氏は、西洋諸国の指導者として初めて、トルコ・イスタンブールのサウジ総領事館でのカショジ記者殺害を録音したとされるテープを自国が聞いたと認めた。

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は10日、テープの複製を英国、米国、ドイツ、フランス、サウジアラビアに提供したと明かしていた。

エルドアン大統領はこの日、世界中から指導者が集まる第1次世界大戦終結100年の記念式典に出席するためパリに出発。出発前、エルドアン氏は報道陣に対し、「我々はテープを各国に提供した。各国は会話も聞いている。各国は知っている」と述べた。

しかし、米国はテープを受け取ったかどうか明言していない。また、フランスの外相は、自分が関知する限り、自国はテープの複製を所有していないとしている。

サウジ政府は、工作員部隊がカショジ記者を殺害したと認めている。カショジ記者はサウジ政府の批判者として知られ、近年は自ら米国に避難。米紙ワシントン・ポストに寄稿していた。サウジ政府は記者殺害に関与した容疑で、18人を逮捕している。

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トルドー首相は12日の記者会見で、カショジ記者殺害の捜査について、カナダ情報機関がトルコと非常に緊密に協力していると述べた。

「数週間前、エルドアン大統領と電話で会談した。ここパリでも大統領と短くやり取りをし、カショジ事件に対するエルドアン大統領の強い姿勢に感謝した」とトルドー氏は付け加えた。

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Image caption ジャスティン・トルドー首相は、パリのカナダ大使館で記者会見した

記者殺害時の録音とされるテープをカナダ政府は聞いたかと問われると、トルドー氏は「はい」と答えた。ただ、トルドー氏自身は個人的に録音を聞いていないとも付け加えた。

記者会見の後、カナダの情報機関、カナダ安全情報局(CSIS)の報道官はBBCに対し、捜査について議論し、録音を聞くため、局長がトルコを訪れたと述べた。

報道官によると、局長は帰国後、トルドー氏とカナダ政府高官にトルコ訪問の概要を説明したという。

証拠がカナダとサウジアラビアの関係にとって重要かどうかとの質問には、トルドー氏は回答を避けた。

首相は「サウジアラビアへの次の対応については、同じ考えを持つ同盟国と議論中だ」と話した。

米企業ジェネラル・ダイナミクス製の戦車と武装戦闘車両に関するサウジアラビアとの約130億ドルの取引について、トルドー氏は中止を求められている。ジェネラル・ダイナミクスはカナダ中東部のオンタリオ州を拠点としている。

カナダとサウジアラビアの2国間では、既に緊張が高まっている。サウジアラビアは8月、主権侵害を犯しているとしてカナダを非難。同国との新規貿易を凍結すると発表した。発表に先立ち、サウジアラビアが拘束した市民社会と女性の権利に関する活動家の解放を、カナダ高官が求めていた

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一方でトルコは12日、ジャン=イブ・ル・ドリアン仏外相の発言に怒りをあらわにした。ル・ドリアン外相は、サウジ総領事館での犯行録音をフランスが受け取ったとのエルドアン大統領の主張を否定。「政治的ゲーム」を遊んでいるとエルドアン氏を非難していた。

ル・ドリアンは仏テレビ局フランス2に対し、「真実はまだ明らかになっていない。我々は真実が知りたい。カショジ記者の死の状況と、犯人の身元を。我々はその後に必要な行動を取る」と述べた。「トルコの大統領が我々に提供する情報を持っているなら、その情報は絶対に提供されなければならない。今のところ、トルコの提供情報について私は知らない」。

それはエルドアン氏がうそをついたという意味かと問われると、ル・ドリアン外相は「エルドアン氏はこの状況で政治的ゲームを遊んでいるという意味だ」と答えた。

トルコ大統領府通信局のファフレッティン・アルトゥン局長は、ル・ドリアン外相の発言は「受け入れられない」と述べ、仏情報当局の代表者が10月24日にテープを聞いたと主張した。

アルトゥン局長はAFP通信に対し、「仏政府の複数機関の間に伝達ミスがあるなら、問題に対処する責任は仏政権にある。トルコにではない」と述べた。

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殺害されたカショジ記者の婚約者、「これでは死を受け止められない」とBBCに

カショジ記者は10月2日、トルコ人婚約者のハティチェ・チェンギス氏との結婚に必要な書類取得のためサウジ総領事館に入ったのを最後に行方が分からなくなった。

サウジ当局は当初、カショジ氏が生きて総領事館を出たと述べていた。しかし当局は最終的に、カショジ記者の殺害を認めた。当局は記者殺害が、情報機関工作員の「勝手な」計画によるものだったと説明している。

ただサウジ当局は、記者殺害はムハンマド・ビン・サルマン皇太子の指示によるものではないと否定している。

ムハンマド皇太子はサウジアラビアの事実上の支配者。カショジ記者殺害の疑いがかかっている男らのうち複数は、過去に皇太子の警備部隊にいたとされる。また、記者殺害をめぐり、ムハンマド皇太子の側近トップ2人も解任されている。

トルコのエルドアン大統領は、「カショジ記者殺害の指示は、サウジ政府の最高レベルから下された」と述べた。ただエルドアン氏は、サルマン国王が指示したとは考えていないと話している。

(英語記事 Jamal Khashoggi murder: Canadian intelligence 'has heard tape'

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