米国のヘイトクライム、3年連続で増加=FBI

米国では先月、ユダヤ教礼拝所で銃乱射事件があり、信者11人が死亡。ユダヤ教に対する犯罪として米国史上最も多くの死者を出した事件となった Image copyright Getty Images
Image caption 米国では先月、ユダヤ教礼拝所で銃乱射事件があり、信者11人が死亡。ユダヤ教に対する犯罪として米国史上最も多くの死者を出した事件となった

米連邦捜査局(FBI)は13日、2017年に米国で通報されたヘイトクライム(憎悪犯罪)の件数は前年比約17%増となり、3年連続で増加したと発表した。

FBIの犯罪統計によると、2017年に通報されたヘイトクライムは7175件だった。2016年のヘイトクライム件数は6121件だった。

最新統計は、全米1万6000カ所以上の捜査当局が、任意で報告した数字をまとめたもの。報告した当局の数が前年より約1000カ所増加しており、ヘイトクライムの通報件数が昨年から増加したのはこれが原因ではないかとFBIは話している。

報告書によると、黒人とユダヤ系米国人に対するヘイトクライムが特に増加した。

2017年に通報されたヘイトクライムのうち、アフリカ系米国人を標的にしたものは2013件、ユダヤ系米国人を狙ったものは938件だった。

マシュー・ウィテカー米司法長官代行は報告書を「対策要請」だとし、ヘイトクライムを「我々がアメリカ人として持つ核心的価値観に対する卑劣な侵害」と非難した。

報告書の内容

報告書によると、犯人が特定されたヘイトクライムの59.6%は、人種、民族、あるいは祖先に対する偏見が動機だった。

被害者の宗教が動機のヘイトクライムは全体の20.6%性的指向に対するヘイトクライムは15.8%だった。

FBIはヘイトクライムを「人種、宗教、障害、性的指向、民族、性、もしくは性自認について攻撃者が持つ偏見を、動機の全体あるいは一部とする、個人もしくは資産に向けられる犯罪行為」と定義している。

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2017年の統計では、通報されたヘイトクライムは7175件だった。また、関連する攻撃を含めると、合計で8437件のヘイトクライムが報告されている。

このうち約5000件が人間に対する脅迫もしくは暴力で、約3000件が器物破損や押し込み強盗を含む資産を対象にしたものだった。

シク教、ヒンドゥー教、アラブ人に対するヘイトクライムは、2015年以前には記録されていない。

ユダヤ系米国人に対するヘイトクライムは、2016年比で37%増と、目立った増加を見せた。

ユダヤ教は長い間、標的にされることが最も多い宗教となっており、ウィテカー司法長官代行も声明で言及した。

報告書の発表の約1カ月前には、ペンシルベニア州ピッツバーグのユダヤ教礼拝所(シナゴーグ)で銃乱射事件があり、礼拝していたユダヤ系米国人11人が殺害された。この事件はユダヤ教徒に対する犯罪として最も多くの死者を出した事件となった。容疑者はヘイトクライムに関する数十件の連邦法違反で訴追された。

アフリカ系米国人に対するヘイトクライムは2013件あり、前年から16%増加した。

ムスリム(イスラム教徒)の個人を標的としたヘイトクライムは、宗教を動機としたもののうち18.7%を占め、2016年から6ポイント減少した。

反応は

市民権擁護団体は、報告されたヘイトクライム件数は実際よりもかなり少ないと指摘する。被害にあった個人が名乗り出ない場合がある、捜査当局のいくつかが正確な統計を残していない、もしくは調査に参加していないのが理由という。

ユダヤ人団体、名誉毀損防止同盟(ADL)のジョナサン・グリーンブラット氏は報告書が、「アメリカで対立を生む憎悪の風潮への対策がもっと必要だというさらなる証拠を提供している」と述べた。

「対策は、あらゆる職業、社会のあらゆる部門の指導者が、反ユダヤ主義や偏狭や憎悪を、いかなる時でも直ちに力強く否定することから始まる」

市民権擁護団体の全米黒人地位向上協会(NAACP)は、報告書の内容が「衝撃的」で、「議会の十分な注目を要する」ものだと話した。

NAACPは13日、「これは衝撃的で、議会の十分な注目を要する。休会後初の本日の上院司法委員会の公聴会で議題にすべきは、このことではないのか。トランプ氏の選ぶ裁判官たちをさらにごり押しするのではなく。我々の生活が危うくなっている」とツイートした。

イスラム教を信仰する市民の自由に関する擁護団体、米イスラム関係評議会(CAIR)シカゴ事務所は、「辺境さと憎悪の増加」に警鐘を鳴らした。

スフィアン・ソヘル副所長は声明で、「我々のうち最も弱い人々を標的にした憎悪事件の発生件数増加は、今年で3年目だ。2016年と2017年にかけてCAIRシカゴ事務所は、差別の発生が50パーセント増加したとの報告を受けた」と述べた。

「状況の改善が必要だ。改善しなくてはならない」

ウィテカー司法長官代行は声明で、「司法省の最優先事項は、アメリカにおける暴力犯罪を減少することだ。そして、ヘイトクライムは暴力犯罪だ」とした。

「司法省はすでに、こうした犯罪について大幅で積極的な対策をとっている。米国市民はその点、安心してほしい。我々は市民の権利を精力的かつ効果的に守っていくので、その点についても安心してほしい」とウィテカー氏は続けた。

(英語記事 FBI: Spike in US hate crimes for third year in a row

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