APEC、終わりの見えない「お家騒動」 米中の緊張高まる

カリシュマ・ヴァスワニ BBCアジア・ビジネス担当編集委員

カメラに向けてポーズを取る、アジア太平洋経済協力会議に参加した21カ国の指導者たち Image copyright AFP
Image caption カメラに向けてポーズを取る、アジア太平洋経済協力会議に参加した21カ国の指導者たち

年1回のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は通常、共同宣言を採択し、「家族写真」を撮って終了する。

これらの首脳会議は典型的には、良く演出され、調整されたイベントだ。多くの驚きが生まれることは通常ない。

今年もAPEC首脳会議では「家族写真」が撮られた。しかし、ちょっとした「お家騒動」もあった。

参加者全員がカメラに向かって笑顔を見せる一方で、影響力と権力を競い、世界の超大国2国による激しい争いが起こった。この2国は、世界で最も大きな敵対関係へと、急速に発展している。

異なる見解

計画されていなかったことのうちメディアが直面した最初の兆候は、壇上に大股で歩いてきたカナダのジャスティン・トルドー首相が、首を長くして待っていた報道陣に、今年は共同宣言が出ないと発表した時に生まれた。

「貿易についての個別要素に、異なる見解があったのは大きな驚きにはならないと思う」とトルドー首相は語った。「これらの異なる見解が、共同宣言についての合意を妨げた。そのため、議長声明が発表される」

異なる見解?

どの国によるものかは一目瞭然だ。

米国と中国の貿易における相違が、この行き詰まりを導いたのだ。

加盟21カ国が会談の終わりに合意に到達できなかったのは、20年以上の歴史で初めてだ。

このことについて少し考えてみよう。

世界で最も強力な2国間の小競り合いが、現代で最も重要な貿易問題と経済問題の一部について国際社会が決定するのを妨げた。

2国が何に不合意だったのかの詳細は、完全に明らかではない。しかし、米政府と中国政府の間にもともと問題があったと示す報道が、18日にあった首脳会談の前に出ている。具体的には、自由で公平な貿易の定義や、国有企業が他国に投資する際の行動を、どう規制し、分類するかなどについてだ。

米国は中国の国有企業を政府の延長とみており、中国は米企業を犠牲にして国内企業を不公平に保護していると主張する。また、中国は「一帯一路構想」を、他国を「借金地獄」のわなにかける方法として使っているとしている。

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Image caption 米国からはマイク・ペンス副大統領がAPEC首脳会議に参加した

中国政府はこの主張は正しくないと言い、中国企業の台頭を押さえ込むことで、米政府は中国を過剰に強く封じ込めようと積極的に試みていると、中国内の多くの人が思っていると指摘した。

2国の緊張はAPECという舞台にも飛び火したが、議長国のパプア・ニューギニアは全力でそれを止めようとした。

それでも、首脳会談から最大限の利益を得たのはパプア・ニューギニアだった。

地域での影響力争いをする米国と中国の板挟みに遭いつつ、パプア・ニューギニアは米国とオーストラリアによる新海軍基地の再開発を手にしほか、電力インフラに対する17億ドル(約1917億円)の投資も米国から得た。米国は、貧困にあえぐパプア・ニューギニア自体の再建にも手を貸す。

これら全ては、地域における中国の影響力への対抗策だ。私は以前、中国が急速に影響力を伸ばしていると書いた

ドナルド・トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は、今月後半に会談する予定となっている。APECでの失敗により、両氏が米中貿易戦争についてある種の取引を生む期待も高まっている。

しかし、超大国2国間のいさかいは、すぐには終わりそうにない。両国関係は、それ以外の我々に危険な悪影響をもたらしつつ、世界で最も不安定な関係へと急速に変化している。

(英語記事 Apec: A family feud with no end in sight

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