ウクライナの首都キエフで抗議行動 ロシアに海軍艦拿捕され

抗議者約150人がロシア大使館周辺に集まった Image copyright Reuters
Image caption 抗議者約150人がロシア大使館周辺に集まった

ロシアが併合したウクライナ南部クリミア半島近海で25日、ロシア連邦保安局(FSB)がウクライナ海軍艦3隻を拿捕(だほ)したことを受け、ウクライナ議会は26日、戒厳令の布告について議決する。一方、ウクライナの首都キエフでは25日夜から26日未明にかけて、路上で抗議行動があった。

抗議する約150人がキエフのロシア大使館周辺に集まり、一部が発火物を投げた。大使館の車両が少なくとも1台、炎上した。

抗議行動に参加したオレクシー・リャボフさんはロイター通信に対し、「今日ここに集まったのは、我々の軍を銃撃したロシアの今日の行動に対し抗議するためだ」と話した。

「我々はとても怒っている。もうずっと前にロシアとの外交関係は全て断つべきだった」

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この問題で、小型砲艦2隻と曳航艇1隻が拿捕され、複数のウクライナ人乗組員がけがをした。両国とも責任は相手国側にあると非難している。

拿捕によりロシアとウクライナの緊張が大幅に高まっていることを受け、国連安全保障理事会は26日、緊急会合を開催する予定。

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Image caption ウクライナ海軍は、同軍の哨戒艇1隻にロシア艦船が衝突し、損傷を与えたとロシアを非難した

25日夜に招集されたウクライナ国家安全保障・国防会議で、ペトロ・ポロシェンコ大統領はロシアの行動を「理不尽で常軌を逸している」とした。

ポロシェンコ大統領は戒厳令の布告を26日に議会へ提案すると述べたが、「宣戦布告」を意味しないとも強調した。「ウクライナはどの国とも戦う計画はない」とポロシェンコ氏は述べた。

一方、ウクライナ国防省は、完全な戦闘準備態勢をとるよう全軍に命令したと発表した。

ロシアは2014年にクリミア半島を併合。近海の黒海とアゾフ海ではこのところ緊張が高まっている。

問題発生の経緯

ウクライナ海軍の小型砲艦「ベルジャンスク」と「ニコポリ」、曳航艇「ヤナ・カパ」は25日朝、黒海のオデッサ港からアゾフ海のマリウポリに向かおうとした。

ウクライナ海軍は、ロシア側が曳航艇に体当たりし、艦艇の進行を阻止しようとしたと説明している。ウクライナ側はケルチ海峡まで航行したが、すでにロシアのタンカーが海峡を封鎖していた。

Image caption ケルチ海峡周辺の地図。ケルチ海峡は、クリミア半島とロシアのクラスノダール地方に挟まれている

ロシアは戦闘機2機とヘリコプター2機を同海域に緊急出動させた。ロシアはウクライナによる領海侵犯だと非難し、安全保障上の理由から周辺海域の交通を一時停止したと述べた。

ウクライナ海軍はその後、3隻は海域を離れようとしていた際に攻撃され無力化されたと発表。乗組員6人が負傷したと述べた。

国境警備にあたるロシアのFSBも後に、自分たちの監視船1隻がウクライナ船3隻を拿捕するため武力行使したと認めた。ただし、けがをした乗組員は3人だけと主張した。

一方のウクライナは、同国の船団がマリウポリに向かうため海域を通過すると、ロシア側に通知済みだったと説明している。

背景は

アゾフ海はクリミア半島の東にある浅海域。クリミア半島はウクライナ南部に位置するが、一部は親ロ派分離主義者に支配されている。

アゾフ海北岸にあるウクライナの2港、ベルジャンスクとマウリポリは、穀物輸出や鉄鋼生産、石炭輸入においてウクライナに重要な役割を担っている。

ウクライナとロシアが2003年に結んだ協定は、両国の船団による自由航行を保証していた。

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Image caption ウクライナ海軍艦を取り囲むロシア海軍艦(25日、クリミア半島近海)

しかしロシアは最近、ウクライナの港に出入りする船舶の臨検を始めた。EUは今月前半、問題に対処するため「的を絞った対策」を実施すると通告した。

ロシアによる臨検は、ウクライナ側が3月にクリミア半島で漁船を拿捕した後すぐに始まった。ロシア政府は、ケルチ海峡にかかる橋に対する、ウクライナ過激派による潜在的危機を指摘。安全保障上の理由で検査が必要だと述べている。

2014年4月、分離主義勢力が複数の政府庁舎などを強奪し、ウクライナ政府と対立して以降、東部ドネツク州やルガンスク州では1万人以上が殺害されている。

ウクライナと西洋諸国は、この地域に軍隊を送ったり、分離主義勢力を武装化したとして、ロシアを非難している。

ロシア政府は疑惑を否定しているものの、ロシアの志願兵が反政府勢力を支援しているとも述べている。

<解説>責任のなすり合い――スティーブン・ローゼンバーグ BBCニュース(モスクワ)

ロシアとウクライナのクリミア半島における緊張状態は、ここ数カ月で高まっている。

ロシア政府とウクライナ政府が2003年に結んだ協定では、ケルチ海峡とアゾフ海は両国が共有する領海となっている。

しかしこの海域では最近、ウクライナの港に出入りする全ての船について、ロシアが臨検を始めた。

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Image caption 橋の下にはタンカーが停泊し、アゾフ海を閉鎖。あらゆる出入りが阻止された(25日、ケルチ海峡)

ロシアが武力行使でウクライナ艦を拿捕し、負傷者も出たことで、事態は一気に悪化した。しかし、ロシア政府は責任を認めないだろう。

ウラジーミル・プーチン大統領の下、ロシアは武力を行使するたびに同じ言い訳を繰り返してきた。「我々が始めたのではない」と。

ロシアとグルジア(現ジョージア)間で2008年に戦われた南オセチア紛争でも、クリミア半島に2014年、「リトル・グリーン・メン(ロシア特殊部隊)」が現れた際もそうだった。ロシア政府はその後、クリミア半島を併合した。

なので25日の出来事の責任と、次に何が起きるにせよその責任を、ロシアはウクライナのポロシェンコ政権に負わせようとするはずだ。

(英語記事 Protests in Kiev after Russia seizes Ukraine ships off Crimea

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