英中央銀行、合意なしブレグジットで英経済は大幅に景気後退の恐れ

ジル・トレーナー、BBC経済担当記者

Bank of England governor Mark Carney Image copyright AFP
Image caption Mark Carney has previously said stress tests would ensure banks could survive a 'disorderly Brexit'

イングランド銀行(英中央銀行)は28日、欧州連合(EU)と合意のないままブレグジット(英国のEU離脱)を実施すれば、最悪の場合ポンドの価値は25%急落し、国内総生産(GDP)は8%縮小する恐れがあると警告した。

イングランド銀行が示したのは「無秩序なブレグジット」後の5年間を展望する最悪のシナリオで、予測ではないものの、移行期間を設けない合意なしブレグジットの場合、GDPが8%縮小するほか、住宅価格は3割近く下落する恐れがあるという。2023年末には再び回復基調になるが、2019年以前の規模には戻らない。

この最悪のシナリオではさらに、失業率は7.5%に上がり、商業不動産価格は48%下落する見通し。このシナリオでは、政策金利は4%に達する。

今年7-9月期の英失業率は4.1%イングランド銀行は今年9月に政策金利を0.75%に据え置いた。

イングランド銀行の発表に先立ち英財務省は同日、合意のあるなしを問わずブレグジットによって英経済は後退するという展望を報告。メイ政権がEUと交わした離脱合意を実施した場合、EUに残留した場合に比べて15年後の英経済規模は3.9%小さくなっていると見通しを示した。合意なしブレグジットの場合は、残留した場合に比べて9.3%の縮小になる見通し。

Image caption イングランド銀行によるブレグジット後の英経済展望。青線が2016年の国民投票以前の成長傾向。紫がイングランド銀行による当時の見通し。オレンジは英国がいくつか通商協定を結んだ場合の「混乱した」ブレグジット後のシナリオ、赤は「無秩序」なブレグジットによるシナリオ

イングランド銀行のマーク・カーニー総裁は、「これはシナリオであって予測ではない。おそらくこうなるだろうでは必ずしもなく、こうなり得るという内容を示した」と説明した。

「英国経済の開放性減少の影響がどういう方向性と規模と速度のものになるのかによって、ブレグジットの影響は変わるだろうと、複数のシナリオは総合的に示している」

「無秩序なブレグジット」とは

イングランド銀行は、「無秩序なブレグジット」になる要因として複数の仮定を前提として掲げている。仮定は予測とは異なり、同銀行は実現可能性の確率を示していない。

  • 英国は世界貿易機関(WTO)ルールに戻る
  • 2022年までに施行される新しい通商協定はない
  • 英国はEUと第三国間の既存の通商協定上の権益を一切受けられない
  • 税関検査のため英国境で激しい混乱発生
  • 英国への移民は年間15万人から年10万人ペースで減少

イングランド銀行はこの最悪のシナリオのほかに、英国がEUと一部の通商協定に参加し続けた場合の「混乱したブレグジット」シナリオも提示。その場合、2022年までにGDPは3%縮小し、住宅価格は14%下落、失業率は5.75%に達することになる。

一方で、EUとの税関検査や規制障壁を設けず、金融サービスについても部分的な合意が得られる「緊密な関係」を維持した場合、EUに残留したケースに比べるとGDPは1%縮小するが、中央銀の最新経済見通しよりは1.5%拡大する。

政界の反応は

与党・保守党の中心的なEU離脱推進派、ジェイコブ・リース=モグ下院議員は、カーニー総裁の警告には「何の信用性もない」と反発し、中央銀行総裁がその発言によってポンドを下落させようとしていると批判した。

BBCに対してリース=モグ議員は、国民の間にブレグジット恐怖症を植えつけようとする「恐怖計画」は「ヒステリー計画」と化したと述べた。議員はさらにカーニー総裁を「カナダで仕事が見つからなかった、駄目な二流政治家」と呼んだ。

離脱派のイアン・ダンカン・スミス元保守党党首は、財務省と中央銀の報告について、「要するにフランケンシュタインの怪物のような恐怖計画が再燃し、この国を練り歩いているということだ」と一蹴した。

一方で、野党第一党・労働党のジョン・マクドネル影の財務相は、「今週発表された複数の報告の内容を中央銀行が確認した。つまり、合意なしブレグジットは10年前の世界金融危機よりひどい結果をもたらしかねない、テリーザ・メイの合意でこの国は今よりひどいことになるということだ」と強調した。

(英語記事 Bank warns no-deal could see UK sink into recession

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