フランスで黄色いベスト抗議行動、4週連続 「経済的大惨事」と仏財相

抗議行動の期間中、車約50台が火をつけられた Image copyright AFP
Image caption 抗議行動の期間中、車約50台が火をつけられた

フランス各地で8日、仏政府の燃料税引き上げに対する抗議に端を発した「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)」と呼ばれる抗議行動があった。4週連続で続くこの抗議行動についてブルーノ・ル・メール仏財務相は、仏経済にとって「大惨事」だと述べた。

燃料税増税や生活費高騰などの問題に抗議するデモは、8日で4週末連続となった。路上での抗議行動参加者は約12万5000人で、1200人以上が拘束された。ル・メール財務相は状況を、社会と民主主義の双方に「危機」だとした。

エマニュエル・マクロン仏大統領は、仏全土を対象にした対危機対策の発表演説を10日に予定している。

抗議行動による損傷の視察に首都パリの商店を訪れたル・メール氏は、「これはビジネスにとって大惨事、我々の経済にとって大惨事だ」と述べた。

首都パリでは約1万人が抗議デモに参加。窓が割られる、車が燃やされる、商店で略奪行為が起こるなど、特に被害が大きかった。

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パリのエマニュエル・グレゴワール副市長は現地ラジオ局に対し、8日の抗議行動はこれまでより分散していたため、「昨日の損害は1週間前よりずっと大きかった」と話した。

ただし、先週に比べるとけが人は少なかったとグレゴワール氏は付け加えた。

一方、ジャン=イヴ・ル・ドリアン仏外相は、ドナルド・トランプ米大統領に怒りを示した。トランプ氏は8日、気候変動に関するパリ協定が政情不安の原因と示唆しているとみられるツイートを投稿していた。

「我々の国を放っておいてくれ。私はこれをドナルド・トランプに言っている。仏大統領も同じように言っている」とル・ドリアン氏は述べた。

抗議者の多くがマクロン大統領の辞任を求めている。マクロン氏は現地時間10日午後8時(日本時間11日午前4時)、仏全土に向けて演説する予定。

また労働組合の複数情報筋によると、マクロン氏は10日朝、労働組合や経済界の代表者と会談する。

今のところマクロン氏は、抗議行動について目立った動きを見せていない。

経済への損害は

抗議行動による経済的損害の完全な推計は、まだ発表されていない。だが、損害が深刻なのは明らかだ。

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仏紙ル・パリジャンによると、パリでは自動車約50台が燃やされたほか、商店数十店が襲われた。襲われた商店の一部では略奪もあったという。パリ市当局は、抗議行動による損害は数百万ポンドに上るとしている。

仏小売業連合は7日、ロイター通信に対し、11月17日に最初のデモが始まって以降、小売業には約10億ユーロ(約1284億円)の損失があったと述べた。

ル・メール財務相は直近の抗議行動が起こる前の先週、レストランの売上は20%から最大で50%下がったと話した

また、仏中小企業連合トップのフランソワ・アスラン氏は仏紙ジューナル・ドゥ・ディマンシュに対し、抗議行動による連合参加企業の損害は合計で100億ユーロ(約1兆2480億円)に上る可能性があると明かした。

観光への打撃も懸念されている。パリ市観光局は先月、2017年にパリを訪れた観光客は4000万人以上で、史上最多だったと発表したばかり

Image caption 抗議行動の影響で施設が閉鎖された場所。黄色の点は仏サッカーリーグ1部(リーグ・アン)の試合中止があった場所

「ジレ・ジョーヌ」抗議行動とは

フランスでは、全車両が視認性の高い蛍光黄色の服を搭載するよう法律で義務付けられている。この黄色のベストを着た人たちが道路で抗議をしているため、抗議行動は「ジレ・ジョーヌ」と呼ばれる。

「ジレ・ジョーヌ」運動は、ディーゼル燃料への税金増税に反対する動きとして始まった。フランスにはディーゼル燃料を使う車が多い。またディーゼル燃料は、他種の燃料に比べて税率が低い状態が続いていた。

ディーゼル燃料の価格は過去12カ月で約23%上昇している。また、来年1月1日からディーゼル燃料1リットルあたり0.065ユーロ、ガソリン1リットルあたり0.029ユーロの増税を実施するとのマクロン氏の決定が、大勢の反発を呼んだ。

マクロン氏は価格上昇について、9カ月に及ぶ世界原油価格増加の影響だと主張したが、一方で化石燃料への増税は、再生可能エネルギー投資の財源として必要だとも述べていた。

仏政府は抗議行動の激化を受け、2019年予算案から燃料税増税を除外することに合意した。また、2019年中の電気・ガス料金値上げ凍結にも合意している。

しかし、他の問題をめぐっても抗議が起きている。抗議者は賃上げ、減税、年金増加、大学入学要件の引き下げなどを求めている。

一連の抗議は、経済的な不満や低所得世帯の政治的不信を浮き彫りにすることを主な目的としており、支援の声もいまだに広がりをみせている。

7日に発表された世論調査によると、抗議行動への支持は以前と比べて低下したものの、66%の水準に留まっている。

一方、抗議行動による危機的状況を受けて、世論調査でのマクロン大統領の支持率は23%に下落した。

抗議行動の推移

  • 11月17日:参加者28万2000人 死者1人、負傷者409人 73人が拘束
  • 11月24日:参加者16万6000人 負傷者84人 307人が拘束
  • 12月1日:参加者13万6000人 負傷者263人 630人が拘束
  • 12月8日:参加者12万5000人 負傷者118人 1220人が拘束

(英語記事 Yellow vest protests 'economic catastrophe' for France

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