ホームレスの人たちにクリスマス・ステイを……予約断るホテルと受けるホテル

Christmas tree

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イングランド北東部の街ハルで持ち上がった、クリスマスにホームレスの人々をホテルに招待しようという企画が物議をかもしている。

プロジェクトに参加する28人のホームレスの人は当初、市内のロイヤル・ホテルに泊まる予定だったが、ホテル側が宿泊を拒否し、批判を浴びた。

その後、ダブルツリー・ヒルトンがクリスマス・ディナー付きでホームレスを受け入れると申し出た。主催者のカール・シンプソンさんは「奇跡はあり得る」と話している。

一方のロイヤル・ホテルは、昨年のこの企画ではアイビス・ホテルの客室に破損があったという報告を受けて、受け入れを拒否したと話した。

企画の主催団体「Raise the Roof Hull Homeless Project(ハルのホームレスに屋根を)」は、この疑惑は「うそ」だと批判。アイビス・ホテルも否定している。

シンプソンさんはBBCの取材に対し、グループは当初、計1092ポンド(約15万5000円)でツインルーム14室を予約し、昨年のアイビス・ホテルでの成功を生かしたいと考えていたと話した。

ロイヤル・ホテルは当初、予約を受け付けたし、シンプソンさんは予約する際に、泊まるのはホームレスの人たちだと特に隠し立てしなかったという。

「フロントの人に、泊まるのはホームレスの人たちだと話した。それについては問題ないようだった」

ロイヤル・ホテルの広報担当者は、「かつてこのプロジェクトで働いていた人物」から予約を受けないよう警告されたと説明した。

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シンプソン氏は昨年のクリスマスイブとクリスマス、28人のホームレスのためにホテルの宿泊を手配した

「去年この慈善活動に参加した女性から電話を受けた」と、広報担当者は話した。「このグループが昨年アイビス・ホテルで大変な問題を起こしたため、予約を受けないほうがいいと言われた」

「昨年の問題というのは部屋をめちゃくちゃにしたり、火事、備品の盗難、器物損壊などだった」

「当ホテルはクリスマス期間中、たくさんの家族連れやツアー客を受け入れているため、この期間にこの予約を受けると被害につながると感じた」

広報担当者は、ホテル側は条件付きなら予約を復活させることもできると付け加えた。

一方、アイビス・ホテルはBBCに対し、昨年被害があったとは認識していないと話した。

アイビス・ホテルは声明で、「我々は確かに昨年のクリスマスに2泊、この慈善団体の予約でホームレスのグループを喜んでお迎えしました。主催者はこの企画は成功だったと感じています。このお客様方が火事や盗難といった深刻な問題を起こしたといわれていますが、我々はそう認識していません」と述べている。

昨年にこの企画でアイビス・ホテルに宿泊した男性はBBCの取材に、「最高のクリスマス・プレゼントだった。たった1日でも道端で眠らずにすんだのはとても安心できた」と語った。

「奇跡は実は起きる」

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ハルのホームレスの人々は、クリスマスを屋根の下で過ごせることを楽しみにしている

シンプソン氏は15日夕、フェイスブックでロイヤル・ホテルが予約を取り消したことを明らかにした。

この投稿は1500人以上の人々にシェアされ、「Raise the Roof Homeless Project」には9000ポンド以上の寄付金が集まった。

プロジェクトは17日の声明で、ダブルツリー・ヒルトンが28人分の2日間の宿泊と朝食、クリスマスディナーを無料で提供すると連絡してきたことを発表した。また、ロイヤル・ホテルが予約の復活を提案してきたが、これを拒否したことも明らかにした。

「予想外の、素晴らしい額を寄付していただいた。ホームレス支援にどう使うのがベストか、来年になってから会議で決めたいと思う」

(筆者:ヴィクトリア・パーク、UGC&ソーシャルニュース