英野党党首の発言で議会荒れ、メイ首相を罵倒か 本人否定

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コービン英労働党党首は何と言ったのか メイ首相に挑発され

英下院で19日、最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首の発言をめぐり、審議が中断した。与党・保守党はコービン氏がテリーザ・メイ首相を「ばかな女(stupid woman)」と呼んだと強く反発し、謝罪を求めたが、コービン氏は自分は「ばかな連中(stupid people)」と言ったのだと反論した。

保守党が問題にしたコービン氏の発言は、政府がまとめた欧州連合(EU)離脱協定について、首相と激しく議論する最中にあった。

毎週定例の首相代表質問の時間にコービン氏は、離脱協定の下院採決を首相が延期したのは、「失墜しつつある」首相による「極めてシニカルな動き」だと批判。これに対してメイ氏はコービン氏が、まず約束した不信任決議案を提出せず、やっと提出したかと思うとほとんど無意味な内容だったと反撃した。

「今は(イギリスのクリスマス風物詩の)滑稽劇の時期だと言うのは分かっていますが、彼は信任決議案を出すんでしょうか? ええ、もちろん」と首相は挑発し、それに応えて保守党議員たちは「いやいや、まさかそんな」と、滑稽劇の定番のやりとりを真似て声をそろえ、野党党首を嘲笑した。

続けて首相はコービン党首に向かって、「自分の後ろをご覧なさい。誰もあなたを評価していないし、国民も同じです」とたたみかけた。するとコービン氏がつぶやくように口を動かす様子が、カメラに捉えられた。音声はマイクに拾われなかった。

この際にコービン氏が何を言ったのかをめぐり、議会は紛糾(ふんきゅう)した。

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Image caption メイ首相はコービン党首を「後ろをご覧なさい。誰もあなたを評価していない」と挑発した

代表質問が終わると元閣僚のサー・パトリック・マクロフリンは議事手続き質問を使い発言の機会を求め、コービン氏がメイ氏について「ばかな女」だと「ぶつぶつ言った」と批判した。すると、保守党側の議席からは、「恥を知れ」「みっともない」など非難の声が次々と上がり、議員はコービン氏が本会議場に戻り謝罪すべきだと主張した。他に複数の女性保守党議員が、コービン党首に謝罪を求めた。

保守党のポール・スカリー議員はメイ首相に、コービン党首が何を言ったのか質問し、メイ首相は女性参政権100周年において「この下院の全員が」女性の政治参加を奨励すべきで、「適切な言葉遣いをすべきだ」と答えた。

コービン党首は、自分は「性差別的で女性差別的な一切の言葉遣いに反対」していると述べ、自分が言ったのは「ばかな連中だ」だったと主張した。

「本日の首相代表質問の際、この国が直面する国家的危機に関する議論を、滑稽劇にしてしまおうとする人たちについて、私は『ばかな連中』と言いました。下院議長、私は首相やほかの誰についても『ばかな女』などという表現を口にしていません」とコービン氏は述べた。

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コービン英労働党党首 「私は『ばかな女』とは言っていない」

しかし、下院議員たちはコービン氏の説明を受け入れず、謝罪を要求。保守党のレイチェル・マクリーン下院議員は、「まったく信じない」と反発した。

ジョン・バーコウ下院議長は、自分自身はコービン氏の発言の様子を見ていないが、問題とされる発言の様子をテレビ映像で確認し、「確かになぜ野党党首の発言が『ばかな女』と受け止められたか、その理由は分かりやすい」と認めつつ、裁判所などで働く「読唇術」の専門家も同じ意見だったが断定は出来ないと話した。

「誰も100%は確信できない。読唇術のプロも同様だ。ただし私は当然、すべての下院議員の発言を額面どおりに受け入れる。この院も同じように受け入れるよう期待するのは、当然のことだ」と議長は強調した。

バーコウ議長はさらに、発言時にコービン氏は「着席して、本院に向かって発言していたのではない」ので、その発言は議事録に記録されるためのものではなかったと述べた。

このやりとりの中で、保守党や議長にも反発。ヴィッキー・フォード議員は、かつて自分がバーコウ議長から「ばかな女」と呼ばれたことがあると発言したが、議長はそれは初耳だと反論し、「100%否定する」と断言した。

保守党のアナ・スーブリー議員は、もしも保守党の男性議員が労働党の女性議員について「ばかな女」と発言したなら、バーコウ議長は「直ちに対応したはずだ」と批判した。

Image copyright AFP/Mark Duffy/UK Parliament
Image caption 保守党の閣僚や議員たちが、バーコウ議長(右)に、コービン氏の発言の映像を見せようとした

野党・自由民主党のウェラ・ホブハウス議員は、「どのような職場でも性差別は許されない。ジェレミー・コービンもそろそろ1980年代を後にした方がいい」と、コービン氏を批判。「国中の若い女性が今日のこのやり取りを目にしたはずで、大勢が政治に参加したがらないのは無理もない。もし発言が本当なら、ジェレミー・コービンは謝罪しなくてはならない」と述べた。

一方で、保守党のデズモンド・スウェイン議員は、「ぶつぶつつぶやいた内容」について議員を批判するのは、「思想犯罪の領域」に近づいていると懸念した。

労働党のローラ・ピドック議員は、本会議場をこのような形で使うのは「まったくみっともない話だ」と批判した。同じく労働党のマーガレット・ベケット議員は、一連のやりとりを「演出された騒ぎ」だと保守党を批判した。

(英語記事 Jeremy Corbyn denies 'stupid woman' jibe at Theresa May

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