米司法長官候補、中立を貫くと ムラー捜査も支持

William Barr Image copyright Getty Images
Image caption ウィリアム・バー氏

ドナルド・トランプ米大統領に新しい司法長官として指名されたウィリアム・バー氏は15日、上院での指名公聴会に出席し、大統領から脅されて何かを強要されることはないと約束した。

また、ロバート・ムラー特別検察官が進めているロシアによる2016年大統領選介入疑惑の捜査は、トランプ氏が言うような「魔女狩り」ではないと発言した。

バー氏は長官として、政治的に中立な立場にあるべき司法省を率いる予定。

しかし、バー氏は昨年6月の時点で、ムラー捜査には「致命的な問題がある」と法的意見を書いており、上院司法委員会の民主党議員はこの点を追及した。

バー氏はどのように中立を主張したか

トランプ大統領は昨年11月、ジェフ・セッションズ長官を更迭し、翌12月にバー氏を後任として指名した。

1991~1993年にかけて父ブッシュ政権の司法長官だったバー氏は15日の指名公聴会で、自分がトランプ氏の忠臣ではないことを納得させる必要があった。

特に司法委員会の民主党議員は、バー氏がトランプ氏に意見できるかを知りたがった。

バー氏は公聴会で、「相手が新聞の論説委員会だろうが連邦議会だろうが、大統領だろうが、私が間違っていると思うことを強要することはできない」と述べた。

「私は、私が正しいと思ったことをする」

また、ムラー特別検察官はトランプ氏陣営がロシアの大統領選介入に関与していたかを調べる捜査を最後まで遂行すべきだと繰り返し主張した。

「私はロシアが選挙に介入した、あるいは介入しようとしたと思っている。これについて真相を突き止めるべきだ」

「私の在任期間中に、ムラー氏は仕事を完遂できるだろう」

また、「私はムラー氏は魔女狩りには関わっていないと思う」と述べ、トランプ氏と対立する意見を打ち出した。

その上でバー氏は、ムラー氏は30年来の友人だと付け加えた。

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民主党のパトリック・リーヒー上院議員(バーモント州選出)は、大統領は自分に不利な供述をしないことを条件に、誰かに人物に恩赦を与えることはできるかと質問した。

これに対しバー氏は、「いいえ、それは犯罪だ」と答えた。

民主党議員は、バー氏がムラー捜査で有罪となったトランプ氏の元側近2人に恩赦を与えるのではないかと懸念している。

この捜査では、トランプ政権の初代国家安全保障問題補佐官だったマイケル・フリン被告がロシア大使との面会について連邦捜査局(FBI)に虚偽証言をした罪などで有罪を認めている。また、選挙対策本部長だったポール・マナフォート被告が大統領選とは別件の脱税罪などで有罪となった。

前司法長官のジェフ・セッションズ氏は自分自身がロシア大使と接触していたことなどから、ロシア疑惑捜査から身を引いた。これが、トランプ氏の怒りを買い、最終的に更迭につながったとされている。

セッションズ氏がそうしてロシア疑惑捜査から身を引いたことをどう思うか質問されると、バー氏は「(セッションズ氏は)正しいことをした」と答えた。

民主党が心配しているのは?

民主党はまた、バー氏が昨年、司法省宛てに書いた20ページにわたる意見書が、トランプ大統領に好印象を持ってもらうための「就職面接」だったのではないかとみている。

バー氏はこの指摘を「ばかげている」と一蹴した。

さらに、バー氏はこの意見書で、2017年5月にトランプ氏が当時のジェイムズ・コーミーFBI長官を電撃解任したことが大統領の司法介入にあたるかについて、ムラー氏は捜査すべきでないと書いていた。

この点について質問されると、バー氏は自分の批判は「全く正しい」と擁護した。

また、自分のような政府幹部経験者が重要事案について意見表明するのは普通のことだと主張。その上で、自分の意見書を理由に、ムラー捜査指揮から身を引くべきかどうかは、政府の倫理担当と相談するものの、最終的には自分で決めると強調した。

一方、ムラー特別検察官の捜査報告書を公表するかどうかについては、言明を避け、「規則にのっとった」状態で内容を「できるだけ」公表したいと述べるにとどまった。

<解説> ムラー氏が全て ――アンソニー・ザーカー、BBCワシントン

アメリカの司法長官は、政府の司法政策を決定し、検察官や捜査官を統括し、さまざまな法的問題について政権に助言を行う。アメリカの検察官や裁判官のトップに立つ役職だ。

このポストの指名承認公聴会ではいつでも、どんな情況でも、綿密な審査が行われる。しかし今回、焦点となったのはただ一つ、ウィリアム・バー候補がロシア疑惑捜査をどう思っているかだった。

バー氏はこれまでのところ、正しいことを述べている。上院議員に対し、自分はロバート・ムラー特別捜査官を非常に尊敬しており、捜査の邪魔はしないと約束した。また、大統領を含め誰からの威圧にも屈しないし、判断を左右されたりしないと述べた。

この議会証言とは裏腹に、バー氏は過去にムラー捜査を批判する意見書を書いている。民主党は、公聴会での証言で意見書への懸念が取り除かれるか、判断しなくてはならない。

バー氏は長年にわたり政府で働いてきたし、上院の過半数は共和党が握る。それだけに、バー氏の司法長官就任は確実だといえる。民主党はできる限り、バー氏からロシア疑惑捜査支持の約束を取り付けようとするだろう。

残る疑問は、最終的にバー氏がどれだけの票を集められるかだ。

(英語記事 Trump nominee: 'I will not be bullied'

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