ケニアのホテル襲撃テロ、死者21人に アルシャバブが犯行声明

Scene of attack on Nairobi hotel

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ケニア政府は16日、首都ナイロビで前日に5つ星ホテル「デュシットD2」やオフィスなどが入る複合施設が武装集団に襲撃されたテロ事件で、少なくとも21人が死亡したと発表した。

このテロでは数百人が施設から逃げ出し、28人が病院で手当てを受けた。またケニアの赤十字によると、19人の行方が分からなくなっている。

警察などによる制圧作戦は19時間に及んだ。隣国ソマリアを拠点とするイスラム過激派組織アルシャバブが犯行声明を出している。

ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領は事態の終息を宣言し、実行犯5人を「排除」したと話した。

テレビ演説でケニヤッタ大統領は、「この凶悪な事件を計画し、資金を提供し、実行した者を全員、手加減なく」処罰すると述べた。

AFP通信によると、16日に行われた捜査でこの事件に関わったとされる2人が逮捕された。

People arrive for the identification of the victims at the Chiromo mortuary in Nairobi, Kenya, 16 January 2019

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犠牲者を確認するため、遺体安置施設に集まる人々

ケニアは2011年10月、ジハーディスト(聖戦主義者)鎮圧に向けてソマリアに進攻して以来、アルシャバブの標的となっている。

ロイター通信によると、アルシャバブは今回の攻撃はドナルド・トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と承認したことへの「返答」だとする声明を発表した。

この方針転換を受け、アメリカは昨年5月、在イスラエル米国大使館をテルアビブからイスラエルへ移転。国際的な批判を浴びた。

エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地。イスラエルはエルサレムを「永遠で不可分の」首都としている。一方でパレスチナ人は、1967年の第3次中東戦争でイスラエルに占領された東エルサレムを、将来パレスチナが独立した際の首都にすると主張しており、対立が絶えない。

自爆攻撃も

事件は15日午後3時(日本時間午後9時)ごろに発生。実行犯の1人はホテル内に侵入する前、駐車場に止めてあった車両にむけて爆弾を投げ、別の実行犯1人は自爆した。

Still of two of the attackers caught on CCTV

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監視カメラには襲撃犯の姿がとらえられていた

現場近くで働く女性はロイター通信に対し、「最初に銃声が聞こえて、両手をあげながら走って逃げ出す人たちが見えた。中には、近くの銀行の中へ駆け込み、身を潜めて助かろうとする人たちもいた」と話した。

施設の監視カメラの映像には、武装した4人のが銃を乱射している様子が映されていた。

ケニア政府は当初、同日午後11時に終息を発表したが、1時間後には爆発や銃声が聞こえた。16日午前7時にも銃撃があったという。

その後、武装部隊が再び施設に入り、身を隠していた従業員らを救出した。襲撃現場は、富裕層が暮らすウェストランズ地区にあり、オフィス街からもほど近い。

この攻撃で、アメリカ人のジェイソン・スプリンダーさんが犠牲となった。遺族によると、スプリンダーさんは2011年9月11日の同時多発テロの生存者だった。

また、イギリス外務省によると、イギリスと南アフリカの二重国籍を持つルーク・ポッターさんが亡くなったほか、イギリス人1人が負傷した。

アルシャバブとは?

アルシャバブはソマリアの反政府組織だが、東アフリカ全土で攻撃を行っている。

2013年9月にはやはりナイロビのショッピングセンターを襲撃。80時間におよぶ銃撃戦の末、67人が犠牲となった。

2015年にはケニアのガリサ大学に攻撃を仕掛け、150人近くが亡くなった。