日立、英ウェールズの原発建設を凍結決定

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日立製作所は17日、英西部ウェールズで計画してきた総額200億ポンド(約2兆8000億円)の原発建設を凍結し、事業を中断すると発表した。建設費用の高騰を理由にしている。

ウェールズ北部アングルシー島で進められてきた「ウィルファ・ネーウィズ」(「新しいウィルファ」の意)の建設が中止されると、数千人分の雇用に影響が出る。

日立製作所は昨年6月以来、傘下のホライズン・ニュークリア・パワーによる原発建設について、英政府と出資支援を協議していた。英政府は、日立との協議がまとまらなかったと明らかにした。原発産業は、凍結決定は「残念」だとコメントした。

2020年半ばには稼動開始が可能になる予定だった原発2基の建設には、約9000人が関わる予定だった。

日立は、2019年3月期に3000億円の損失を計上する方針。「民間企業としての経済合理性の観点から判断した」と説明した。

ホライズンのダンカン・ホーソン最高経営責任者は、アングルシー島の立地は依然として「英国の原子力開発にとって最善の場所」で、「将来的な開発再開のオプション」を残しておくと話した。

新炉2基の発電量は計2900メガワット、耐用年数は60年の予定だった。

日立の決定で、イギリスの原子力政策があらためて注目されている。

昨年11月には、東芝が英西部カンブリアのムーアサイド原発計画から撤退し、子会社のニュージェネレーション(NuGen)を解散すると発表した。

英ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)の報道官は、「ビジネス相が昨年6月に表明したように、支援に合意するには、イギリスの消費者や納税者にとって最適で、支出に見合う価値のあるものでなくてはならない」、「関係者全員が懸命に交渉と努力を重ねたが、現段階で政府と日立は前進するための合意に達することができない」と話した。

BEISによると、原発建設予定地は今も日立所有で、同社は英政府と今後の対応を協議する間は持ち続けたい意向だという。

野党・労働党のレベッカ・ロング・ベイリー影のビジネス相は、政府の原子力政策はもはや「ぼろぼろ」で「全面的な危機的状況に悪化した」と批判した。

エネルギー危機の懸念

英原子力産業協会は、日立の発表に落胆をあらわにした。

同協会のトム・グレートレックス代表は、「ウィルファ・ネーウィズ計画だけでなく、アングルシーと原子力産業全体にとって残念だ」と述べた。

「イギリスは喫緊に原子力発電の供給拡大を必要としている。国内で稼働中の原発が1基を除いてすべて2030年までに廃炉となる以上、この緊急性を過小評価してはならない」と、グレートレックス氏は強調した。

全国都市一般労組(GMB)のエネルギー担当、ジャスティン・ボウデン書記は、日立の決定によって「イギリスでエネルギー危機が起きる可能性が本物になった」と危機感を示した。

「政府がブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)にかまけている間に、国の将来的なエネルギー供給確保など、重要課題が放置されている」

ウィルファ・ネーウィズ計画が中止されれば、イギリス国内で新設中の原発は南西部サマセットのヒンクリー・ポイントのみとなる。

日本の安倍晋三首相とイギリスのテリーザ・メイ首相は今月10日にロンドンで会談したが、ウィルファ・ネーウィズ計画は話題にしなかったという。

首脳会談後にメイ首相は「(日立と)協議してきたが、最終的には会社の経営判断次第だ」と述べていた。

(英語記事 Wylfa Newydd: Hitachi to halt work on UK nuclear plant

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