英政府、下院議長に爵位与えない方針か ブレグジットめぐる采配に反発

クリス・メイソンBBC政治担当編集委員

John Bercow Image copyright UK Parliament
Image caption 与党・保守党の間では、バーコウ議長の議会運営が偏向しているという批判がある

英議会の下院議長は退任すると自動的に爵位を与えられ、貴族院(上院)議員となるのが230年前からの慣例だが、ジョン・バーコウ議長の采配が偏向しているという反発が政府内に強く、爵位授与を王室に推薦しない可能性があると言われている。

メイ内閣は、イギリスの欧州連合離脱(ブレグジット)をめぐるバーコウ議長の議会運営が「偏っている」と激怒しているという。

内閣の消息筋は、「我々は、爵位授与の推薦権を握っている。これは好都合だ。貴族院に誰を推挙するか、じっくり慎重に検討するはずだ」と話した。

この消息筋はさらに私に、「数百年来の慣習を裏切った人物を、好意的に評価するとはとても思えない」と述べた。

下院議長は議長引退と共に下院議員も引退するのが慣例で、補欠選挙が行われる。その後、下院が「好意の印となるもの」を引退する議長に授けるよう君主に求める動議を可決し、議長は貴族となって貴族院議員となるのが伝統だ。

続けて、首相官邸から王室への推薦をもとに、前議長は無所属として貴族院議員になる。

10年前に議員経費請求問題の扱いを批判されて辞任に追い込まれたマイケル・マーティン下院議長は、この手続きで「スプリングバーンのマーティン卿」となった。

マーティン卿は昨年亡くなった。

議会内では数カ月前からジョン・バーコウ議長への批判が高まっている。

英議会では長年にわたり権力をかさにきた問題行動とその隠ぺいが慢性化しているという昨年10月の報道を受けて、今年夏にも議長を退くつもりだと周辺に伝えていた。バーコウ氏自身によるパワハラ疑惑も報道されたが、議長はこれを強く否定している。

バッキンガム選挙区選出のバーコウ氏は今月9日、ブレグジット審議で議会職員の助言を無視して議事手続きの慣例を破ったと、多くの政権関係者の激しい怒りを買った。

バーコウ議長はブレグジットについて中立でいられず、政府のやることをなんとしても妨害するつもりだと、審議慣習破りはその証拠だと、政府内では批判の声が高まった。

バーコウ議長は2年前、国民投票では欧州連合(EU)残留に投票したと明らかにしている。

退任時に爵位を与えられないかもしれないことについて尋ねたが、議長報道官は回答を控えた。

超党派の合意

ブレグジットについては議会内の対立が続き、下院はメイ首相がEUとまとめた離脱協定を230票差の大差で否決した。

16日の内閣不信任案決議を辛くも免れたメイ首相は、「自己利益を脇に置いて」、議会が合意できる新しい離脱案を一緒にまとめるため「建設的な協力」を各派の議員に求めた。

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不信任を逃れたメイ英首相、「建設的な協力」呼びかけ

首相は代替の離脱案を21日に公表する。1週間の審議を経て、29日に採決が予定されている。

メイ首相はこれまでに、スコットランド国民党(SNP)、自由党、緑の党、プライド・カムリ(ウェールズ党)の野党幹部や、閣外協力はするものの首相の離脱協定には反対した北アイルランドの民主統一党(DUP)、内閣不信任案には反対したものの離脱協定にも反対した与党・保守党のブレグジット派議員団と協議を重ねた。

しかし、否決された内閣不信任案を提出した最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、首相が「合意なしブレグジット」の可能性を排除しない限り、自分は絶対に首相との協議に参加しないという姿勢を貫いている。

コービン党首は他の労働党議員にも、「合意なしブレグジット」の可能性が残る限りは首相との協議に協力しないよう呼びかけている。

一方でメイ首相は、「合意なし」の可能性はないと断言する権限が政府にはないと述べ、コービン党首とはいつでも協議するという姿勢を示している。

(英語記事 Speaker Bercow 'could be denied peerage'

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