トランプ氏の盟友ロビイスト逮捕、罪状7件で起訴 ロシア疑惑捜査

Roger Stone outside court in Fort Lauderdale, Florida, Image copyright Reuters
Image caption 保釈金を払い裁判所前で両手でVサインを作るストーン被告(25日、フロリダ州フォートローダデール)

米連邦大陪審は25日、共和党系ロビイストでドナルド・トランプ大統領の長年の盟友のロジャー・ストーン氏(66)をロシア疑惑捜査に関する罪状7件で起訴した。ストーン被告は同日早朝、フロリダ州フォートローダデールの自宅で、連邦捜査局(FBI)によって逮捕された。同日出廷し保釈された被告は、「罪は絶対に認めない」と発言している。

訴状によると大陪審は、公的手続きの妨害1件、偽証5件、証人買収1件の罪で、被告を起訴した。

フォートローダデールの連邦地裁に出廷したストーン被告は罪状を否認し、25万ドルを支払い保釈された。移動制限がかけられ、フロリダ、ワシントン、ニューヨークの各裁判所に出廷する以外は旅行が認められない。

トランプ大統領は長年の友人の逮捕を受けて、「この国の史上最大の魔女狩りだ! 結託などない! 国境のコヨーテや麻薬密売人や人身売買業者の方がまだまともな扱いを受ける。CNNに連絡してあそこにいさせたのは誰だ?」とツイートした。

早朝逮捕の様子を被告の自宅前から撮影したCNNの記者は、大陪審の動きが活発化しているのに気づき、ストーン被告に関することかもしれないと、あらかじめ張り込んでいたのだと説明している。

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Image caption フォートローダデールの連邦地裁に出廷したストーン被告

民主党メールとウィキリークス

罪状はいずれも、2016年米大統領選の最中にロシア当局が民主党全国委員会のメールサーバーをハッキングしたとされる事件に関連するもの。ハッキングで流出した民主党幹部やヒラリー・クリントン陣営幹部のメールは、ウィキリークスが公表し続けた

ハッキング被害に遭ったクリントン陣営のジョン・ポデスタ選対委員長は、「汚い手を使う」ストーン被告がハッキングを事前に知っていたと非難していた。

ストーン被告は、流出メールの公表に先駆けてウィキリークス創設者のジュリアン・アサンジ氏に「連絡をとった」ことは認めていたが、そのやりとりは「完全に合法だ」と話していた。

一方で訴状によると、被告はウィキリークスとのやりとりの内容について下院情報委員会に宣誓した上で偽証し、やりとりの記録はないとうそをついたとして、罪に問われている。

さらに訴状は、被告が(ウィキリークスのことと思われる)「組織1」について、トランプ陣営幹部(特定はされていない)に話し、「クリントン陣営にとって打撃となる情報を組織1が持っているかもしれない」と伝えていたとしている。また、トランプ陣営幹部はウィキリークスが今後さらに情報を公表する予定はないのか問い合わせるよう、ストーン被告に接触したという。

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「絶対罪は認めない」

保釈後にストーン被告は電話で、右翼系陰謀論を展開するアレックス・ジョーンズ氏のラジオ番組「インフォウォーズ」に、「自分の命をかけて戦う」と話し、裁判費捻出のためオンライン募金を開始した。

「どんな状況になっても、一連の罪状を認めたりしない。どんな状況になっても、大統領に不利な偽証などしない」と被告は述べた。

さらに、「あらためて、ロシアとの結託の証拠はない。ウィキリークスと協力した証拠もない。(トランプ氏の)選挙支援で自分が何か不適切や不法なことをしたとして起訴されたわけではない」と強調した。

インフォウォーズへのこの電話の後、裁判所の外に出た被告は、両手でニクソン流の二重Vサインを作りながら、、満面の笑みを浮かべた。

集まった群衆からは「ろうやにぶちこめ!」という野次も上がったが、被告は無実を主張し、自分は「政治的動機による捜査」の標的にされたと反発。早朝に自宅で逮捕されたことについても批判し、「夜明けと共にFBI捜査官が29人、車両17台のライトを回転させながら自宅にやってきた。妻と犬たちを怯えさせた」と怒った。

来週にもワシントンの連邦地裁で行われる罪状認否で正式に、無実を主張する方針だと述べた。

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Image caption ストーン被告は1970年代から共和党の選挙戦に関わってきた

ロジャー・ストーン被告とは

ストーン被告は1972年のリチャード・ニクソン大統領再選運動を皮切りに、共和党の選挙戦に長年関わってきた。ウォーターゲート事件を調べる1973年の議会公聴会では、共和党工作員を民主党候補の陣営に潜入させたことなどが指摘されたが、本人は「罪ではない」と主張していた。

1980年と1984年にはロナルド・レーガン氏の大統領当選と再選を手伝い、1988年にはジョージ・H・W・ブッシュ副大統領(当時)の大統領当選を支援した。

2000年大統領選にトランプ氏が挑戦した際にも手伝った。

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Image caption トランプ氏の2000年当時の選挙ポスターとストーン被告

2016年大統領選では長年の友人のトランプ氏を支え、選挙後には「The Making of the President 2016(大統領の作り方2016)」という本を出版した。

2016年選挙へのロシア介入疑惑とトランプ陣営の結託疑惑を調べるロバート・ムラー特別検察官は、トランプ氏と親交の深いストーン被告の行動にかねてから注目していた。

米情報当局は2016年末までに、ロシア政府の指示によるサイバー攻撃やソーシャルメディアを使った偽情報の拡散により、選挙戦をトランプ氏に有利に動かそうと工作を重ねていたと結論している。

トランプ大統領はムラー特別検察官の捜査を一貫して「魔女狩り」と批判してきた。ロシア政府は米大統領選への介入を否定している。

ストーン被告はマスコミ取材に対して繰り返し、自分はいずれ起訴されるだろうと発言していた。昨年5月には米NBCの番組では、「ムラー氏と捜査チームが、私の事業に関する何かささいな罪を、あるいは2016年選挙に何も関連しないことで、罪を作り上げる可能性は十分ある」、「そうして私を黙らせようとするかもしれない」と述べていた。

ムラー捜査による起訴はストーン被告で34人目。これまでに、ロシア軍将校12人とロシア国籍者13人、ならびにロシア法人3社が、米大統領選介入の罪で起訴されている

起訴されたロシア企業の中には、「トロール(ネット荒らし)牧場」として悪名高いサンクトペテルブルクにある「インターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)」も含まれる。

トランプ氏に直接関係する人物も複数起訴され、一部は実刑判決を受けた。政権の初代国家安全保障問題担当補佐官だったマイケル・フリン被告が偽証罪などで、トランプ氏の顧問弁護士を約10年務めたマイケル・コーエン被告が選挙資金法違反などでそれぞれ有罪になったほか、トランプ選対本部長だったポール・マナフォート被告は大統領選とは無関係の脱税罪などで有罪となった。

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Image caption (写真左から)1985年当時のマナフォート被告とストーン被告。右はレーガン、父ブッシュ両大統領の政治顧問だった故リー・アトウォーター元共和党委員長

(英語記事 Roger Stone: Trump ally arrested on seven Mueller probe charges

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