合意なしブレグジットなら簡易税関手続き導入へ 英政府が方針発表

Lorries at Port of Dover Image copyright PA

イギリス政府は4日、イギリスが欧州連合(EU)との合意なくEUを離脱した場合、英仏海峡をわたるフェリーやトラックの税関検査を簡略化する方針を明らかにした。

英歳入税関庁(HMRC)が輸入業者や運輸業者向けに発表したこの施策では、企業は事前にインターネットから簡易化フォームを提出しておき、関税を後払いすることになる。

運輸業界はかねて、合意なしブレグジット(イギリスのEU離脱)となった場合、英仏海峡の港に長い行列ができてしまうと警告していた。

また、今回発表された簡易化手続きを採用してもなお、「混沌とした」ブレグジットへの準備ができていないとしている。

イギリスは3月29日午後11時(日本時間30日午前7時)にEUから離脱するが、その条件をまとめた離脱協定はまだ合意に至っていない。

テリーザ・メイ英首相は「断固として」予定通りにブレグジットを実施すると主張するものの、英下院とEU双方の合意を得られる離脱協定をまとめるため、離脱日を多少延長する可能性を考えている閣僚も多くいる。

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HMRCが発表した「暫定的簡易手続き」は、合意なしブレグジットとなった場合、欧州からのフェリー航路と英仏トンネルに離脱日から少なくとも1年間適用される。

イギリスに製品を運ぶ輸入業者は、トラックがフェリーで英仏海峡を渡る場合は2時間前、英仏トンネルを利用する場合は1時間前に「簡易国境申告書」を提出する。

申告書を提出したトラックは、国境でそれ以上の書類審査などを受けず、直接イギリスに入国できる。

その後、24時間以内にインターネット上でHMRCに製品が到着した旨を通告すると関税を支払えるようになる。支払い期限は1カ月となる。

この手続きは開始から3カ月後に見直される予定だが、1年以上は続く見通しだ。

この手続きが提供されるのはイギリスに入国する車両だけだが、合意なしブレグジットに備え、イギリスから仏カレー、コケル、ダンケルクへと向かう車両に対する税関手続きについても追加措置がとられる可能性がある。

「後手に回っている」

英仏海峡に面するイギリス側の港で最も混雑する港は、英南東部ドーヴァー港だ。ドーヴァー選挙区選出のチャーリー・エルフィック議員(保守党)は、今回の発表を「当たり前の動き」だと話した。

エルフィック議員は、長い間「税関検査を国境とは別の場所で行えば、通行はスムーズになる」と指摘していたという。

一方、イギリス陸上運輸協会(RHA)のロッド・マケンジー氏は、この施策では運送業者の助けにならないと述べた。

「ともかく企業は一言で言って、合意なしブレグジットの準備ができていない」

「システムは整っていないし、従業員の訓練もできていない。運送会社にも企業にも、必要な書類手続きをするだけの時間などない」

政府は1月、イングランド南東部ケント州で合意なしブレグジットによる混乱に備えた予行演習を実施した。89台のトラックが現在は閉鎖されているマンストン空港からドーヴァー港までの約30キロを走行した。

しかし、こうした準備はもっと早く始めるべきだったという意見や、実際に英仏海峡を行き来しているトラックの台数に対して演習の規模が小さすぎ、全てが「後手に回っている」との批判が出た。

英仏海峡トンネルの管理会社がブレグジットによる悪影響を理由に政府を提訴した場合に備え、政府が弁護士費用として80万ポンド(約1億1500万円)の予算措置を計画したことも明らかになっている。

(英語記事 Customs checks simplified for no-deal Brexit

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