英労働党から複数議員が離党か EU離脱や反ユダヤ主義で批判

A Leaflet featuring Labour Party leader Jeremy Corbyn

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イギリスの最大野党・労働党から、欧州連合(EU)離脱や反ユダヤ主義などについて党指導部を批判する議員が数人、離脱する見通しとなった。複数の党幹部が17日、明らかにした。

BBCのイアン・ワトソン政治担当編集委員によると、複数の労働党幹部が、18日朝に少なくとも議員4人が離党する見通しだと党内に伝えた。

BBCのベン・ライト政治担当編集委員によると、「ブレグジットと反ユダヤ主義批判に対する党指導部の対応に幻滅した一部の労働党議員」が離党する見通しだという。

離党するとみられる議員はいずれも17日夜の時点では、取材に答えなかった。

これに先立ち、労働党の元副委員長で前回総選挙で議員を引退したマイケル・ダガー氏は英紙サンに対して、組織として反ユダヤ的だと思う党に、これ以上、党費を払い続けるわけにはいかない」と述べ、ユダヤ人に対する敵対行為を労働党が一貫して容認してきたと批判した。

労働党のジェレミー・コービン党首を公然と批判し続けてきたスティーヴン・キノック議員はBBCラジオに対して、一部議員は離党するだろうと述べながら、党指導部に不満を抱く議員たちに「勝ちたいなら、残って戦え」と呼びかけた。

ジョン・マクドネル影の財務相は17日、「誰かが離党する必要などない」とBBCの番組で述べた

マクドネル氏は、イギリスのEU離脱(ブレグジット)に関して党内は団結していると強調した上で、政府がEUと交わした離脱協定について再度の国民投票の実施を求める党内の動きについて、「もし『人民投票』が実現しないなら離党するという人たちがいるが、まだその選択肢は生きているし、実現するかもしれない」と話した。

労働党につきまとう「反ユダヤ主義」だという批判については、影の財務相は反ユダヤ主義には「容赦なく」戦っていくと述べた。

その上でマクドネル氏は、今ここで複数の議員が離党すれば、1981年に一部議員が離れて社会民主党(SDP)を作ったときの二の舞になると指摘。当時はそれで労働党支持者の票が割れ、それによって「サッチャー氏が10年以上も権力を握り続けた」のだと強調した。

コービン党首が率いる労働党についてはかねて、コービン氏自身をはじめとする党関係者による反ユダヤ人的な言動が容認されているという批判が続いていた。またブレグジットをめぐっては、コービン氏が2015年9月に党首となって以来、離脱方針について党として団結せず、明確な姿勢を示さなかったという批判もある。

EU残留派で労働党の影の財務相だったクリス・レズリー下院議員は14日、労働党が結束してブレグジットに反対していない現状が「悲しくて仕方がない」と党指導部を批判し、2度目の国民投票実施を求めた。

17日には、ソーシャルメディアで党関係者が「どのような指導部の下でも」労働党政権に向けて努力すると約束する画像を、拡散しはじめた。