米16州、トランプ氏を集団提訴 国家非常事態宣言めぐり

People protest against Donald Trump's National Emergency declaration, February 18, 2019, outside City Hall in Los Angeles Image copyright AFP
Image caption トランプ米大統領による国家非常事態宣言を「権力を奪った」と抗議する人たち(18日、ロサンゼルス市役所前)

米カリフォルニア州など16の州政府が18日、メキシコとの国境の壁の建設費用のため国家非常事態を宣言したドナルド・トランプ米大統領を訴えた。

カリフォルニア北部地区連邦地裁に提出された訴えについて、ハヴィエル・ベセラ州司法長官は、「大統領権限の乱用を阻止する」ため大統領を提訴したと説明した。

「我々は、連邦議会が合法的に各州住民のために確保した納税者の資金を、大統領が一方的に奪い取ることをやめさせるため、トランプ大統領を訴える。ほとんどの人にとって、大統領の職は1人芝居のためにあるものではない」と、ベセラ長官は述べた。

米紙ワシントン・ポストによると、16州による訴えは、大統領の非常事態宣言について各地の裁判所で法廷闘争が続く間、一時的な執行停止を求めた差し止め請求という。

トランプ大統領を訴えたのはカリフォルニア州のほか、いずれも民主党の司法長官をもつコロラド、コネチカット、デラウェア、ハワイ、イリノイ、メイン、メリーランド、ミシガン、ミネソタ、ネヴァダ、ニュージャージー、ニューメキシコ、ニューヨーク、オレゴン、ヴァージニアの各州。

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トランプ大統領は主要選挙公約の壁建設費について、野党・民主党が下院を支配する連邦議会の予算決定権を迂回(うかい)するため、今月15日に国家非常事態を宣言した。これによって、国防予算など約80億ドル(約9000億円)を捻出することができるという。

これに対して民主党は、「ありもしない危機に対する大統領の違法な宣言は、この国の憲法への大きな暴力」だと強く非難し、「使えるあらゆる方法で」連邦議会や裁判所で対抗していくと表明している。

非常事態宣言の発表から間もなく、リベラル系市民団体「パブリック・シチズン」が、自然保護区と壁建設に私有地を収用されることになるテキサス住民3人の代理として、大統領を訴えた。

大統領の発表を受けて直ちに、ニューヨーク州のレティシア・ジェイムズ州司法長官がトランプ氏を訴える方針を示したほか、カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事(民主党)も、トランプ氏を提訴すると表明した。

トランプ氏はホワイトハウスで国家非常事態宣言を発表する際、訴えられることは承知していると述べ、連邦最高裁まで争うことになるだろうとの見通しを示していた。

15日のこの記者会見でトランプ氏は、「こんなことする必要はない」ものの、議会を経由するより速やかに費用を確保したかったのだと発言した。

この発言は、国家的な非常事態において議会を迂回することは正当化されるという本人の主張を否定するものだと、多くのアナリストが指摘している。

国家非常事態とは

国家非常事態とは、国家が危機にさらされている時に宣言される。今回の場合トランプ氏は、アメリカとメキシコの国境で移民危機が発生していると主張するが、移民問題の専門家たちはこれに強く反論している。

アメリカに定住する不法移民の大半は、違法に越境する人ではなく、滞在許可の失効後も滞在を続ける人たち。

専門家たちによると、国家非常事を宣言することで、大統領は通常の政治手続きを回避し、すでに予算措置が決まっている軍事予算や災害対策予算などを壁の建設に振り向けることができる。

過去の米大統領による国家非常事態宣言は、テロ関係者の資産凍結や人権侵害との関わる国家への投資禁止などにつながった。

(英語記事 Mexico border wall: US states sue over emergency declaration

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