金正恩氏がヴェトナムに到着 明日から2回目の米朝首脳会談

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26日午前、ヴェトナム・ランソン省のドンダン駅に降り立った北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は26日午前、経由地の中国からヴェトナム入りした。27日と28日に開催されるドナルド・トランプ米大統領との2回目の首脳会談に臨む。

緑の車体に黄色のラインが入った特別列車は金委員長を乗せ、ヴェトナム・ランソン省のドンダン駅に到着した。駅には赤いじゅうたんが敷かれ、多くの儀仗兵や北朝鮮の旗を振る市民が出迎えた。

金氏は車に乗り換え、午後には目的地の首都ハノイに到着した。

トランプ大統領と金委員長昨年6月、シンガポールで歴史的会談を行なった。

North Korean leader Kim Jong Un"s motorcade arrive in Hanoi on February 26, 2019

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26日午後には金委員長を乗せたメルセデス・ベンツがヴェトナムの首都ハノイに到着した

警備員や当局関係者、そしてカメラマンは、特別列車を降りて、用意されていた車へ乗り替える金委員長と北朝鮮労働党幹部を取り囲んだ。

金氏は群集の前でほんの一瞬立ち止まり、さらに乗り込んだリムジンの窓から手を振った。

トレードマークとなっている黒いスーツのボディーガード集団は、駅で金委員長を待ち受けていた。そして金氏の車が発進すると、一時的に車のそばを走った。

金氏には今回、妹の金与正(キム・ヨジョン)氏と、最側近の1人で対米交渉を率いてきた金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長が同行しているとみられる。

列車移動の理由

北朝鮮の平壌からヴェトナムまでの移動には2日以上かかり、約4000キロを横断した。空路での移動を選べば、金委員長はほんの数時間でヴェトナムに着いたはずだ。

金氏を乗せた特別列車が中国を通過した際、道路は封鎖され、駅は閉鎖された。中国のソーシャルメディアは、道路の閉鎖や交通渋滞、列車の遅延で持ちきりだった。

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金氏、ハノイ入りも列車で 北朝鮮指導者の家の伝統?

26日朝の金氏到着に先駆け、ヴェトナムのドンダン駅も一般客が利用できないよう閉鎖された。金氏はドンダン駅からハノイまでの約170キロの道のりを車で移動した。

金委員長が、祖父で北朝鮮の建国者、故金日成(キム・イルソン)主席がヴェトナムや東欧まで列車で移動したのと同じように、列車での移動を選んだことは決して意外ではない。若い委員長にとって、祖父の足跡をたどることは非常に象徴的な意味を持つ。

金氏の特別列車は防弾装甲の施された21両編成で、ピンクの革ソファや会議室などを備える豪華仕様。2日間の旅もそう居心地の悪いものではなかったと予想される。

ヴェトナムでの米朝首脳の予定は?

トランプ大統領は26日午後にヴェトナムに到着する予定。トランプ氏と金氏のスケジュールは先ほど明らかになったばかりだ。

サラ・サンダース・ホワイトハウス報道官によると、トランプ大統領は27日午後に金委員長と短く1対1で会談した後、側近たちを交えて夕食をとる。28日はさまざまな関連会議を行う。

アメリカ側からはすでに、マイク・ポンペオ国務長官がハノイに到着している。

昨年6月のシンガポールでの会談は歴史的だったが、具体的な成果につながらなかったし、その後も外交上の成果はほとんど出ていない。

それだけに両首脳は今回、具体的な前進と言える結果が求められていることを重々承知しているだろう。

しかし、トランプ大統領は24日夜、周囲の期待値を下げようとするかのように、北朝鮮の非核化を「急いではいない」と述べた。

ホワイトハウスに各州知事を招いた大統領は、「誰も急がせたくない。ただ実験をしないでほしいだけだ。実験さえしなければ、我々は満足だ」と演説した。

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トランプ氏と金氏、けんかするほど仲がいい?

なぜヴェトナムなのか

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首脳会談を前にハノイの店先は準備万端だ

色々な意味でヴェトナムは理想的な開催地だ。アメリカと北朝鮮の両方と外交関係があるだけでなく、かつては長年にわたりアメリカと敵対関係にあった。それだけに米政府としては、対立を乗り越えて協力しあう事例として強調することができる。

思想的には、ヴェトナムは北朝鮮と同じ共産主義国だ。近年のヴェトナムの経済成長は目覚しく、共産党の一党独裁が続く中でもアジア有数の成長株だというのが、金委員長にとって好材料だと言える。