インド、パキスタンに操縦士の解放要求 カシミールめぐり緊張が激化

Pakistan soldiers by what Pakistan says is a downed Indian jet Image copyright AFP
Image caption パキスタン軍の兵士と、パキスタン政府が撃墜したと主張するインド空軍機の残骸

インド政府は、パキスタン軍に拘束されているインド空軍の操縦士1人の解放を要求した。パキスタン軍は27日にカシミール地方の自国領空内でインド空軍機2機を撃墜し、墜落した操縦士2人を拘束したと発表していた。

インドとパキスタンは共に核保有国。お互いが領有権を主張するカシミール地方をめぐり、緊張が激化している。

パキスタン情報省は、拘束したインド軍機の操縦士の1人が映っているとする動画を公表した。目隠しをされ、顔に血のあとがあるように見える男性は、アブヒナンダン・ヴァルタマン空軍中佐だと名乗った。

インド政府は、これを「負傷隊員をさらし者にする低俗な映像」だと批判した。

停戦ラインを超えた空爆は、1971年の第3次印パ戦争以来。

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パキスタン軍が27日にカシミール地方の自国領空内でインド空軍機2機を撃墜し、墜落した操縦士2人を拘束したと発表したことで、両国の緊張が激化している。

イスラム教徒が住民の多数を占めるカシミール地方は、インドとパキスタンの双方が全域への領有権を主張しているが、停戦ラインを挟んで両国に分断されている。

カシミール地方では14日にインド側で同国警察隊を狙ったテロがあり、少なくとも40人が死亡して以来、両国間の緊張が高まっていた。

この攻撃はパキスタンに拠点を置くイスラム過激派集団「ジェイシモハメド(JeM)」が犯行声明を出している。30年続く両国間の争いの中で、インド領内で起きた攻撃としては至上最悪の被害が出た。

アメリカは27日、インドとパキスタンにさらなる軍事行動を回避するよう求め、両国間の緊張を緩和することに注力すると述べた。

Image copyright Pakistan Information Ministry (ISPR)
Image caption パキスタンは、拘束中のインド空軍中佐は好待遇を受けているとしている

操縦士に何があったのか

インド当局によると、インド空軍の操縦士、ヴァルタマン空軍中佐は「行方不明」だとされていた。

パキスタン情報省は、拘束したインド軍機の操縦士の1人だとする動画を公表したが、その後削除した。映像では、目隠しをされた操縦士が水を要求しているように聞こえる。

その後に公開された別の映像では、ヴァルタマン空軍中佐が紅茶を口にする様子が確認できる。中佐は、目隠しをしておらず、顔を洗ったのか血のあとのようなものも消えているように見える。

中佐は映像で、自分の氏名や軍の所属を含む複数の質問に答えた。「南方」からやって来たとも述べたが、自分の任務について問われると「口外してはいけないことになっている」と答え、詳細を明かすことを拒否した。

パキスタン軍報道官のアシフ・ガフール少将は、中佐は「軍の倫理規範に沿った待遇」を受けていると述べた。

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Image caption パキスタン情報省は、拘束したインド軍機の操縦士の1人だとする動画をツイッターに投稿した

なぜ空爆が起きたのか

ガフール少将は、パキスタン空軍機が27日にカシミール地方のインド領空内で「空爆」を行なったと述べた。いまのところ実際にどんなことが行なわれたのかは不明。

この空爆に対応したインド空軍機2機が停戦ラインを超えたとし、「我々の空軍機は撃墜する用意ができていた。インド空軍機2機をどちらも撃ち落した」と述べた。

ガフール少将は、拘束したインド空軍操縦士1人は、パキスタン軍の監視下に置かれていると付け加えた。パキスタン当局は当初、インド空軍操縦士2人を拘束し、うち1人は病院に搬送されたと説明していた。

パキスタンは、拘束人数が変わったことについての説明していない。

またパキスタン情報省はツイッターで、撃墜したインド空軍機の1機だとする映像を公開した。

ガフール少将によると、パキスタン空軍機はインド領内で6つの標的を「狙っていた」が、「空き地」に対し空爆を行なったという。

「我々は戦争への道を進みたくない」とガフール氏は述べた。

インド外務省報道官は、インド空軍のMiG-21戦闘機と操縦士を失ったと認めた。

また、インド軍がパキスタン空軍機1機を撃墜し、インド軍の地上部隊がパキスタン領内に墜落するのを確認したと明かした。一方のパキスタン側はパキスタン空軍機が撃墜された事実はないと述べ、インド側の主張を否定した。

Image caption カシミール地方周辺の地図。濃い茶色がカシミール地方で、主に北部をパキスタンが、南部をインドが占有しており、白い点線が事実上の国境となっている。左側の青い部分が空爆のあったパキスタンのバラコット

両国の主張

パキスタンのイムラン・カーン首相はテレビ演説で、パキスタンとインド双方は「自分たちが兵器の性質上」、誤算は許されないと述べ、「腰を据えて話し合うべきだ」と対話を呼びかけた。

「もしそんな事態を許せば、ことは私やインドのナレンドラ・モディ首相が制御できる範ちゅうに留まらない」

さらに、「我々の軍事行動は、インドが我が領内に侵入できると同じように、こちらもインド領内に入り込めるのだと知らしめるため、それだけが目的のものだった」と付け加えた。

インドのモディ首相はまだコメントを出していない。インド報道によると、モディ氏はパキスタンとの状況について安全保障担当と協議中という。

インドのスシュマ・スワラージ外務大臣は、インドは「責任と自制をもって」行動すると述べた。

スワラージ氏はロシアと中国の外務大臣との会談で、「インドは状況がさらに激化するのを望んでいない」とした。

(英語記事 India demands Pakistan release pilot

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