ISカップルはシリアでどういう暮らしを 夫はオランダ、妻はイギリスから参加

クエンティン・サマヴィBBC中東特派員

Yago Riedijk and Shamima Begum
Image caption オランダ出身で元IS戦闘員のヤゴ・レディク氏(左)は23歳の時、当時15歳だったシャミマ・ベガムさん(右)とシリアで結婚した

完璧な家庭生活を求めて4年前にイギリスからシリアへ渡航し、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に参加したシャミマ・ベガムさん(19)は、首都ラッカに到着後間もなく、オランダ出身で当時IS戦闘員だったヤゴ・レディク受刑者(オランダで不在のままテロ罪で有罪、現在シリアの拘置所で収監)と結婚した。

結婚当時ベガムさんは15歳、レディク受刑者は23歳だった。15歳との結婚は、イギリスでは性犯罪に相当する。

レディク受刑者は現在27歳。クルド人部隊が運営する拘置所の凍えるような取調室で、黄色いプラスチック椅子に腰かけて私に向き合った。看守が手錠を外したばかりだ。

近いうちにそうなるとは考えにくい。

受刑者はそれから1時間にわたり、外界から隔絶された親密な家庭生活と、その外に吹き荒れるテロの日々という、矛盾する日常について語った。

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なぜ15歳少女と結婚したのか BBC単独取材で元IS戦闘員に聞く

ベガムさんはISの犯罪について承知していたと、発言している。しかし受刑者は、家庭とISの活動を切り分けていた、妻はISが何をしていたか知らなかったはずだと話した。

「自分は妻を大事に守っていた。外で何が起きているのか教えなかった。自分がどういう問題、どういう危険に直面しているか、家では話さなかった」

「自分がなんとか生き延びようとしている間、妻はただ家の中にいて家事をしていた」

「妻を養い、自分を養い、トラブルに巻き込まれないよう必死だった。公安に殺されないよう必死だった」

Image copyright Reuters
Image caption ISは2017年10月、「首都」と称するシリア北部ラッカを追われた

私が先週ベガムさんと面会した時、彼女は完璧な家庭生活を求めてISに参加したと述べた。

「自分の家族は、イギリスで結婚を世話してくれなかった。ISが宣伝していた家庭生活は、かなり素敵だった」と、ベガムさんは言った。

「完璧な家庭生活、ISがあなたのことも家族のことも面倒をみてくれると。それは本当だった」

「ISは、最初は私のことも家族のことも面倒を見てくれたけど、後から様子が変わった」

ISが主張するカリフ制国家の夢はすぐに崩壊した。

レディク受刑者を取り巻いていたのは、首のない死体とISの刑務所と拷問の世界だった。

ISがイラクの少数派ヤジディ教徒を奴隷にし、殺害していたことを知っていたか尋ねると、レディク受刑者はこう答えた。

「1人のオランダ人の男のことを聞いた。奴隷が1人いると」

「奴隷については、それくらいしか知らない。その女性は40歳くらいだと聞いた」

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ベガムさんはゴミ箱に入った人間の頭を見たことがあると明かした。夫のレディク受刑者は、軍服姿のIS囚人の死体が山積みにされた上に、袋が置かれ、その中に人の頭が入っていたと話した。

受刑者はさらに、「姦淫」で訴えられた女性への石投げの刑に参加したと認めた。

「実際に斬首は見たことがない」が、「石投げの刑は1度目撃したことがある」という。

「死刑になった人たちを見たが、刑そのものは見ていない」

「実際には、女性は石投げの刑では死ななかった」と訂正もした。「立ち上がり、走って逃げた。すると、『投石をやめろ』と係に言われた」

「女性が立ち上がって逃亡した後は、もう石を投げてはいけない決まりだ。だから自分たちは投石をやめたし、女性は脱出した。それからもう、その女性は手出しされなかった」

「大きな過ちを犯した」

ベガムさんは夫について「本当は戦闘員ではなかった」と主張したが、リダイク受刑者はシリア北部コバニでISとして戦い、負傷した。

シリア北部の主要都市アレッポでも戦闘に加わった。

「私は大きな過ちを犯した。人生の何年も、無駄にしてしまった。それは私の人生ではなかった」と受刑者は述べた。

「幸い、私は直接誰かに危害を加えずに済んだ。しかし、あんな組織に加わり、支援した。許されることではない」

ほとんど武器を使ったこともないと付け加えた。

レディク受刑者は現在、妻と生まれたばかりの息子と共にオランダへ帰国することを希望している。

「自分の国に戻りたい」、「あの国で自分がどれだけ恵まれていたか、今は理解している。あの国に市民として暮らすのは、恵まれた特権だ」と受刑者は言う。

「もちろん、自分のしたことを許せない人が大勢いるのは、理解している。それはすごくよく分かる」

「自分がしたことについて、責任を取らなくては。刑に服して。それでもいずれ、普通の生活に戻り、家族と暮らせるようになりたい」

現在ベガムさんとレディク受刑者は、パスポートを持っていない。自分の運命を自分で決めることもできない。

ISに参加した時に2人はパスポートも、自分の未来を自分で決める権利も放棄した。近いうちに、どちらか一方を取り戻せるとは考えにくい。

ベガムさんは、夫が収監されている拘置所からそう遠くない避難民キャンプに身を寄せている。

クルド人部隊は、2人を再会させる予定はないとしている。

(英語記事 What was life like for the IS couple?

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