インドで「英雄のひげ」が人気 パキスタンで一時拘束の操縦士への称賛広がる

Sand art featuring Wing Commander Abhinandan Varthaman at a beach in Mumbai 2 March 2019. Image copyright Getty Images
Image caption パキスタン軍に拘束された後解放されたインド空軍操縦士の空軍中佐は一躍有名人となった

パキスタン軍に一時拘束された後に解放されたインド空軍の操縦士が、インド国内で一躍、時の人となっている。操縦士にちなんだアートや広告が作られ、ひげのトレンドの火付け役となっている。

パキスタン軍は27日にカシミール地方の自国領空内でインド空軍機2機を撃墜し、墜落した操縦士2人を拘束したと発表。パキスタン情報省は、拘束したアブヒナンダン・ヴァルタマン空軍中佐の映像を公開した。

インドとパキスタンは、お互いが領有権を主張するカシミール地方をめぐり激しく対立している。

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やがて解放された中佐は今月1日にインドに帰国し、国民的英雄となった。

多くのインド人が中佐の独特な口ひげを勇気の象徴だと称賛し、口ひげを真似る人が続出している。

Image copyright Pakistan Information Ministry (ISPR)
Image caption 拘束時のインド空軍のヴァルタマン空軍中佐

社会のトレンドにちなんだ広告で知られる、インドで1番人気の乳製品ブランド「アムル」は、ヴァルタマン中佐の口ひげを称賛する映像を制作した。

両端をはね上げたカイゼルひげはインドでは珍しくない。かつては、派手なボリウッド映画の悪役や、横柄な軍人や警察官、さらには悪名高い密輸人の象徴とされていた。

ところが、カイゼルひげが勇気と愛国心の象徴とみなされるようになったことで、これまでのネガティブな評価がこの数日間で救済されたようだ。

Image caption テハス・チョウドリ氏は「アブヒナンダン口ひげ」を求めて美容院を訪れた

少なくとも、南部バンガロールのある美容院では4日、ヴァルタマン中佐のようになりたい人のために無料のヘアカットと口ひげのスタイリングが提供された。

サロンオーナーのナネシュ・タクールさんはBBCのイムラン・クレシ記者に対し、「アブヒナンダンは私たちの国のために尽くしてくれた。誰しもが彼と同じ顔にするべきだと思った」と述べた。

残念なことに、いやホッとしたのかもしれないが、実際に「アブヒナンダン口ひげ」に適した人物は3人だけだったという。

幸運な3人の1人、テジャス・チョウダリ氏は、中佐のためにカイゼルひげにしたという。

「中佐は国のためにあれだけ尽くしてくれたのだから、私だってこれくらいしないと」

Image caption 無料のヘアカットと口ひげのスタイリングを宣伝する垂れ幕。サロンを経営するナネシュ・タクールさんは、国のためになればと述べた
Image copyright Reuters
Image caption パキスタン軍に拘束されていたアブヒナンダン中佐(左)は1日、インドに引き渡された

救急車の運転手のナヴィーン・クマール氏もまた、「アブヒナンダン口ひげ」にした1人だ。

「アブヒナンダン氏は真の英雄だ。だから彼のような口ひげにした」

他にも複数の人々が興味を示したが、タクール氏によると口ひげの長さが足りなかった。そこで、ほとんどの男性は、軍幹部特有の角刈りを選んだという。

インド各地では、アブヒナンダン中佐にちなんだひげにしたという大勢が写真をツイートした。

ほとんどのインド人は、パキスタン情報省が先月27日に公開した映像を通じてヴァルタマン中佐のことを知った。映像には目隠しをされ、顔に血のあとがあるように見える中佐が映っていたが、パキスタン情報省はその後この映像を削除した。

その後に公開された別の映像では、中佐が紅茶を口にする様子が確認できる。この映像では目隠しをしておらず、顔を洗ったのか血のあとのようなものも消えているように見える。中佐は映像で、自分の氏名や軍の所属を含む複数の質問に答えた。「南方」からやって来たとも述べたが、自分の任務について問われると「口外してはいけないことになっている」と答え、詳細を明かすことを拒否した。

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Image caption 中佐の帰国はインド中で祝福された

この映像は拡散され、中佐の冷静な態度と勇気に称賛が集まった。やがて、「#BringBackAbhinandan(アブヒナンダンを連れ戻せ)」というハッシュタグが広がり、ツイッターには中佐の無事帰還を願う祈りがあふれた。

1日に中佐が引き渡されたインド北西部パンジャーブにあるパキスタン国境のワーガ検問所には、インド国旗を振る群集が殺到した。

帰国の知らせを受け、首都デリーを含む複数の都市では歓迎する花火が打ち上げられた。

(英語記事 Indians emulate pilot's 'hero moustache'

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