タイ最高裁、タクシン派政党に解党命令 王女の首相候補擁立問題で

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タイの国家維持党の首相候補擁立が取りやめになったワチラロンコン国王の姉のウボンラット王女(67)。最高裁は国家維持党に解党を命じた
タイの最高裁判所は7日、ワチラロンコン国王の姉のウボンラット王女(67)を次期党首候補に擁立しようとした野党・国家維持党に解党を命じた。
国家維持党は、タイ政界で圧倒的勢力を持ったタクシン・シナワトラ元首相に近い政党のひとつ。シナワトラ氏は2006年の軍事クーデターにより退陣した。現在タイでは軍事政権が樹立されている。
今回の解党命令により、今月24日に予定される総選挙で、シナワトラ氏の支持者が勝利を収めることは厳しくなると、専門家はみている。
憲法裁判所は7日、ウボンラット王女の次期党首候補としての擁立は、君主政治の中立性を脅かしたとの判断を下した。
国家維持党の幹部は10年間の政治活動が禁止され、今回の選挙戦への出馬は不可能となった。
ナカリン・メークトライラット裁判官は、「君主政治は政治を超越したものだ。そして政治的中立性を保つために、国王や女王、そして王女は投票によって政治的権利を行使してはならない」と述べた。
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もし王室の一員が首相候補になっていれば、今月の総選挙でタクシン派は圧倒的に優位だったはずだと、バンコクで取材するBBCのジョナサン・ヘッド記者は指摘する。
ヘッド記者によると、7日の裁判所決定によって親タクシン派陣営は議席を減らし、総選挙での過半数獲得はほぼ確実に不可能な情勢となる。
専門家によると国家維持党は、親タクシン派主要政党のタイ貢献党に協力し、タクシン派の議席数を増やそうとしていた。
タイの新しい2017年憲法は、各党が獲得できる議席数に上限を設けている。
総選挙は今月24日の予定。民主政府を転覆させた2014年の軍事クーデターにより、現在のプラユット・チャンオチャ首相が権力を握って以来、初の総選挙となる。