メイ英首相、国境の扱い変更合意をEUに要求 2回目の下院採決目前

Theresa May Image copyright Reuters

テリーザ・メイ英首相は、ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)に関する合意案が英下院を通過できるよう、法的拘束力のある変更案に合意するよう欧州連合(EU)に求める方針を示した。

首相はEUとの離脱協定を承認するよう下院に求めている。EUと再交渉した離脱協定の下院採決(「意味のある投票」)は、12日に予定されている。

メイ首相は8日、リンカンシャー州グリムズビーの労働者たちと面会する予定。その場で首相は、「下院議員が来週、大きな選択に直面するのと同様に、EUもまた選択をしなければならない」と訴える方針。

首相は、「我々はどちらもこのプロセスの当事者だ。合意ありで離脱することがヨーロッパの利益となる」、「EUとは協力し合っているが、今後数日の間にEUが下す決断が投票結果に大きな影響を与えるだろう」と演説する。

投票の4日前に公の場でEUに妥協の必要性を強調することになる。これについてBBCのベン・ライト政治担当編集委員は、EUとの交渉がいかに厳しいものであるかを証明していると指摘する。

一方、最大野党・労働党のサー・キア・スターマー影のEU離脱相は、首相はいったん下院に否決された離脱協定を修正すると下院に約束したものの、「約束した変更はもはや無理」だと「明白になった」と批判し、8日に予定される首相演説は、首相が「失敗を認めてた内容のように思える」と述べた。

EU側は、ブレグジット交渉の行き詰まり打開のため、8日までに新提案を提出するようイギリスに要求している。

イギリスは3月29日にEUを離脱する。

行き詰まりの原因は

下院は1月、メイ首相が提示した離脱条件をきっぱりと否決した。賛成は202票にとどまった一方、反対は432票で、歴史的な大敗だった。

メイ首相がEUとすでにまとめた離脱協定には、ブレグジット後の期限内に英・EU通商協定がまとまらなかった場合でも、アイルランドと北アイルランドの間で厳格な国境審査を復活させないで済むよう、「バックストップ(防御策)」と呼ばれる条項が含まれている。

このバックストップについてメイ首相は、法的拘束力のある変更を加えたい考えだが、これまでのところ目に見える進展はほとんどない。

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ブレグジット用語解説:バックストップとは?

欧州委員会は6日、バックストップについて「いかなる解決策も見つかっていない」と明かし、順序立てたブレグジットを保証するためにつくられた離脱案の修正を拒否した。

しかしイギリス側の交渉を率いるジェフリー・コックス法務長官は、問題解決へのイギリスの方針はきわめて明確なもので、週末にかけても「ほぼ確実に」EUとの協議を継続すると述べた。

労働党の主張

野党・労働党の指導部は、イギリスがEUとの関税同盟に留まることを望んでいる。ジェレミー・コービン党首は6日に複数の保守党議員と面会し、12日の投票でメイ首相の離脱条件が再び否決された場合に備えて、代替案について協議した。

スターマー氏は、「2年も交渉した挙句、政府は結局、雇用や経済、そして国民の生活を守る離脱合意を結ぶ能力がなかったということだ」

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離脱延期の可能性は

12日の採決でも否決された場合、議会は合意なしの離脱か、3月29日に迫った離脱日を延期するか、どちらかを選択することになる。

EU基本条約(リスボン条約)第50条で定められた離脱交渉期間を延長するには、EU加盟国の全会一致が必要となる。

離脱派のリアム・フォックス国際貿易相はBBC番組「ニュースナイト」で、残留派の下院議員が来週、ブレグジットを進める権限を政府から奪おうとするかもしれないと、懸念を示した。

「ブレグジットがまったく実現できずに終わってしまうリスクがある。それが心配だ」とフォックス氏は述べ、「議会には、国民投票の結果実現を自分の最優先課題と思わない議員が大勢いる。その人たちは、イギリスをEUに縛り付けておきたいのだ」と批判した。

しかし、ゴードン・ブラウン英元首相(労働党)はBBCに対し、離脱交渉期間を延長するよう政府に呼びかけていると明かした。離脱を1年間延長すれば、国民との協議を今まで以上に重ねられるはずだと、ブラウン氏は提案した。

ブラウン氏は、「国会議員がやろうとしている仕事は尊重するが、議会が答えを見つけられずにいることに、国民はうんざりしている。国内の一致団結を図るには、解決方法探しに国民を巻き込むしかない」と述べた。

(英語記事 May urges EU to agree backstop changes

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