米ボーイング、全世界371機の運航停止 墜落現場から「新たな証拠」で

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生存者ゼロ……エチオピア航空機の墜落現場

米航空機大手ボーイングは13日、東アフリカのエチオピアで離陸直後に墜落した同社製737マックス型機の運航を停止した。世界中の全371機が対象となる。事故調査官が墜落現場で「新たな証拠」を見つけたという。

米連邦航空局(FAA)は声明で、737マックス型機について新しい証拠と、新たに解析された衛星データが今回の決定につながったと明らかにした。

多くの国が墜落したものと同じ737マックス8型機の運航中止を決定する中、FAAはこれまで、「性能上の問題点」はないとして運航継続を認める姿勢だった。

エチオピアの首都アディスアベバからケニア・ナイロビに向かっていたエチオピア航空302便は10日、離陸から約6分後に墜落し、乗客乗員157人全員が死亡した。

昨年10月にインドネシア沖に墜落し、189人の犠牲者を出したライオン航空機も、今回と同型のもの。

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新たな証拠とは

FAAは事故調査チームを設置し、米国家運輸安全委員会(NTSB)と共に墜落現場で調査を行なっている。

FAAのダン・エルウェル長官は13日、「エチオピア航空(機)の航路は、ライオン航空機のものと非常にそっくりで、よく似た動きをしていたことが、すべての関係者に明らかになった」と述べた。

「事故現場で見つけた証拠から、今回の飛行経路がライオン航空機のものと酷似している可能性が高まった」

これに先立ちドナルド・トランプ米大統領は、FAAが「墜落現場や他の場所で見つかったものや、いくつかの苦情を通して我々が得た新たな情報と物的証拠」にもとづいてFAAが緊急命令を発表するだろうと明かしていた。

アメリカは、イギリスや欧州連合(EU)のほか、中国、インド、オーストラリアを含む多くの国に追従するかたちでボーイング737マックス型の運航中止を決めた。カナダも13日に運航中止を発表した。

FAAは前日12日までは、同型機について「性能上の問題点」は確認されず、運航を中止する根拠はないとの立場を示していた。

ボーイングの主張

アメリカの航空機製造会社のボーイングは、今後も「737マックス型の安全性に絶対的な自信を持ち続ける」と述べた。

しかし、FAAおよびNTSBと協議した結果、「航空機の安全性に対する乗客の不安を取り除くために、慎重に慎重を期して」運航中止を決定したと付け加えた。

ボーイングのデニス・マレンバーグ最高経営責任者(CEO)兼会長は、「我々は、事故調査官と協力して事故原因を把握し、安全性強化に取り組み、このようなことが再び起こることがないように、我々にできることはすべて行なう」と述べた。

Image copyright Getty Images
Image caption 墜落現場に集まった人々

米客室乗務員協会(AFA)のサラ・ネルソン会長は、「人命が常に最優先でなければならない。しかし、ブランドも危機に瀕している。ここで言うブランドとはボーイングだけではない。アメリカだ。国際航空、さらにはより広い世界におけるアメリカの存在意義にも及ぶ。我々は航空業界のガバナンスにおける安全性、能力、誠実性の基準を定めているのだから」と述べた。

今回の決定を受け、ボーイングの株価は一時377ドルまで上昇した。しかしエチオピアでの墜落以降、同社の市場価値は260億ドル近く下がっている。

利用者への影響は

世界で最も多くのボーイング737マックス8型を運航するサウスウェスト航空は、34機すべての使用を中止した。同型機が1日あたりの運航便に占める割合は「約5%以下」だという。

同社の「柔軟な予約変更方針」にもとづき、同型機に搭乗予定の客が便の変更をする場合「当初の旅行日の14日以内であれば、追加手数料や差額は発生しない」という。

Image caption 各航空会社が運航するボーイング737マックス8型の数。サウスウェスト航空(35機)、エア・カナダ、アメリカン航空、中国南方航空(各24機)と続く

同型機の操縦士の主張

アメリカでは複数の操縦士が昨年後半、ボーイング737マックス8型の離陸時の制御について問題点を指摘していた。その内容は、昨年10月に墜落したライオン航空機と同様の問題だった。

今回のエチオピア航空機は、離陸から約6分後に墜落した。

当時の視界は良好だったとされるが、飛行機の位置をリアルタイム表示するサイト「フライトレーダー24」はツイッターで、当該機の「離陸後の垂直速度は不安定だった」としている。

Image caption 事故機の高度の変動(上のグラフ)と、不安定な垂直速度(下のグラフ)。出典:フライトレーダー24

報告書によると、昨年11月に同型機を操縦した操縦士は、自動操縦は機首を下げさせようとし、警告システムが「降下するな! 降下するな!(Don't sink! Don't sink!)」と音声警告を発したという。

アメリカの操縦士2人はそれぞれ、同型機の新機能の失速防止システムの問題を報告した。

機体の失速を防ぐために設計された自動システムは、737マックス型シリーズに導入された新機能だ。

今回のエチオピア航空機の事故を目撃した人は、機首が地面を向いて、尾翼が上向きになっていたと証言した。

「ホバリング(空中停止)中に、機体後方から炎が出ていた。それから、機首を上げようとしていた」

「私たちの家の上を通過する際、機首は下を向いて尾翼が上を向いた状態だった。そのまま地面にまっすぐ落ちて爆発した」

(英語記事 Boeing grounds entire crash aircraft fleet

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