ニュージーランドのモスク2カ所で銃撃、49人死亡 豪男性を訴追

お使いの端末ではメディアプレイバックはご利用になれません
「ニュージーランドの最も暗い日のひとつ」 2つのモスク襲撃

ニュージーランド南島のクライストチャーチで15日午後、2カ所のモスク(イスラム教の礼拝所)で銃撃事件があり、警察によると計49人が死亡し、20人以上が負傷した。

ニュージーランドのマイク・ブッシュ警視総監は同日夜の記者会見で、20代後半の男性1人を殺人容疑で訴追したほか、男性2人と女性1人を逮捕したと明らかにした。警視総監は、逮捕された4人はいずれも、テロ対策当局に把握されていなかったと述べた。訴追した男性以外の3人は銃器を所持していたが、そのうち1人は事件と無関係のようだと判断したという。

警視総監は、共犯者を積極的に追跡している事実はないが、他に共犯がいる可能性を「排除していない」と慎重な姿勢を示した。また、用意周到に準備された計画的犯行だと見ていると述べた。車両に搭載された複数の即席爆発装置(IED)を現場で発見したほか、2カ所のモスクで銃器を押収したという。

オーストラリアのスコット・モリソン首相は、逮捕された容疑者の1人が「オーストラリア生まれの市民」で、28歳男性だと確認した。

ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は同日夕の記者会見で、事件は「テロ攻撃としか呼びようがない」と述べ、銃撃犯を「暴力的な過激右派テロリスト」と呼んだ。さらにその上で、「このような極端で前代未聞の暴力行為はニュージーランドにあってはならない」と非難した。

アーダーン首相は、「クライストチャーチは、被害者の人たちの地元でした。多くの人にとっては、生まれた場所ではなかったかもしれない。多くの人は、わざわざニュージーランドを選んだのです。積極的にここにやってきて、ここの一員になった。多くの人はここが安全だから、この地に来たのです。自分の文化や宗教を自由に実践できる場所なので」と説明した。

首相はさらに、銃撃犯がニュージーランドを選んだのは、「ここが憎悪や分断にとって安全な場所だからではない」と強調。「私たちが選ばれたのは、まさに私たちが憎悪や分断を受け入れないからです」と述べ、ニュージーランドが攻撃されたのは「多様性と優しさと思いやり」のためで、「私たちの価値観を共有する人にとっての安住の地、避難先を必要とする人にとっての避難場所だからです。私たちのこういう価値観を、揺らがせることはできませんし、私たちの価値観が揺らぐことはありません。それは保証します」と力説した。

お使いの端末ではメディアプレイバックはご利用になれません
ニュージーランド・クライストチャーチで70人以上が死傷したモスク銃撃事件の後、市内で警察が逮捕している映像がソーシャルメディアに投稿された

アーダーン首相はこれに先立ち、事件から間もなく会見し、「これはニュージーランドで最も暗い日の一つになる」と述べた。

首相はさらに、事件の詳細は明らかではないものの国内で「前例のない暴力行為」で、「このような行為はニュージーランドではまったくあってはならない。私たちはこういう人間ではない」と強調した。

その上で首相は、銃撃された人たちはニュージーランドが自分たちにとって「安全な場所」で、自分たちの居場所だと思ってもらいたいと述べた。

Image copyright Reuters
Image caption 担架で病院に運ばれる被害者(15日、クライストチャーチ)

複数の目撃者が、銃撃現場から命からがら逃げ出し、血を流して倒れている人を見たり、救助したりした様子を口々に話している。

警察はニュージーランド全土で、通知があるまでモスクに行かないよう呼びかけた。また、クライストチャーチにある学校は全て閉鎖された。

「誰生かすつもりはなかったようだ」

最初の銃撃現場となったアルヌール・モスクの近くにいたモハン・イブラヒムさんは、地元紙ニュージーランド・ヘラルドの取材で、「最初は電気ショックかと思ったが、それから皆が逃げ始めた」と語った。

地元紙ニュージーランド・ヘラルドのカート・ベイヤー記者はBBCに、生存者たちはアルヌール・モスクの裏側の窓から外に脱出し、駐車場の車の後ろに隠れていたと話した。生存者たちは、モスクの内外で約30人が死亡し、多数が負傷しているのを見たと話していたという。

隠れて助かったという男性はラジオ・ニュージーランドに対して、銃撃犯は窓から逃げようとする人たちも撃ち続けたと話した。

「まだ生きていると思った相手は片端から撃っていた。誰一人として生かすつもりはなかったようだ」と男性は話した。

別の目撃者によると、銃撃は20分ほど続いたという。

お使いの端末ではメディアプレイバックはご利用になれません
NZ首相「ニュージーランドで最も暗い日の一つ」 モスク銃撃受け

「ブレントン・タラント」を名乗るオーストラリア人の白人男性が、攻撃を2年前から計画していたとする長文の犯行声明をフェイスブックに掲載していた。声明は激しい反イスラム感情や白人至上主義、移民排斥感情をむきだしにしているという。

犯人が被害者に発砲しながら生中継したらしい動画も、フェイスブックに掲載された。フェイスブックはこの動画を削除した。

ツイッターも同じ人物のものと見られるアカウントを凍結した。

モスクで何が起こった?

クライストチャーチ中心部のディーン通りに面したアルヌール・モスクにいた目撃者は、建物の外で血を流して倒れている人がいたと話しているが、この情報は警察や当局による確認が取れていない。

TVニュージーランドの取材を受けた生存者の1人は、銃撃犯が男性の胸をまっすぐ撃ち抜いたところを見たと話した。

この人によると、銃撃は20分ほど続き、最大60人ほどが負傷したという。

銃撃犯はまず男性用の祈祷室を襲撃し、その後、女性の祈祷室へ移動したと報道されている。

ある目撃者は、「じっと待って祈ることしかできなかった。犯人の弾が尽きるよう神に祈った」と話した。

「犯人はこちら側へ来て発砲し、それから別の部屋へ行き、さらに女性の祈祷室でも発砲した。女性の1人が死ぬのを聞いた」

リンウッド近郊にあるモスクでも、内部で7人、外で3人が死亡したという。

当局の対応は?

現地ニュースサイト「Stuff.nz」によると、カンタベリー地区保健局は多数傷病者発生時計画を発動したと、担当者が明らかにした。

この計画には被害者を収容するために救急施設を空ける施策などが含まれるが、担当者は想定される患者の数についてはコメントしなかった。

Image copyright Google

市内のカテドラル広場では、気候変動への対策を求めるデモが行われ、数千人もの子どもたちが集まっていたが、警察はこの広場を立ち入り禁止にした。

「警察は市民の協力に感謝しており、住民には引き続き進展を報告していく」

モリソン豪首相はツイッターで、「ニュージーランドのクライストチャーチでの深刻な銃撃事件を聞いて、がくぜんとしている。状況はこれから明らかになっていくが、私たちの思いと祈りはニュージーランドの人たちと共にある」と述べた。

(英語記事 Several dead after shooting at NZ mosques

この話題についてさらに読む