3月29日のEU離脱は「物理的に不可能」 英財務相

Philip Hammond Image copyright Getty Images
Image caption イギリスのフィリップ・ハモンド財務相

イギリスのフィリップ・ハモンド財務相は17日、BBCの番組「アンドリュー・マー・ショー」に出演し、イギリスが3月29日に欧州連合(EU)を離脱するのは「物理的に不可能だ」との見解を示した。

英下院(定数650)は14日夜、ブレグジット(イギリスのEU離脱)を延期するようEUに要請する案を可決。テリーザ・メイ首相は、EUへの要請の前に離脱協定を3度目の採決にかけるとしていた。

しかしハモンド財務相は、保守党議員およびメイ首相と閣外協力する北アイルランドの民主統一党(DUP)から支持を取り付けなければ、採決を今週行うことはできないと話した。

<関連記事>

イギリスは法的にはなお、3月29日にEUを離脱する予定となっている。

メイ首相は、3月20日までに協定が承認されれば、6月30日までの短期間の延期を申し出る見通し。

一方、協定がまたしても否決された場合はさらに長い延期を求めることになる。その場合、イギリスは5月末に予定されている欧州議会選挙に参加する必要がある。

離脱延期にはEU全27カ国の合意を得る必要があり、EU首脳は3月21日に行われる首脳会談(サミット)でこれを話し合う予定だ。

DUPとは財政的解決も

ハモンド財務相は「アンドリュー・マー・ショー」で、DUPに協定を支持してもらうため、北アイルランドへの財政支援を約束する可能性を否定しなかった。

DUPは現在、下院に10議席を持ち、政府はこの議席を合わせないと過半数とならない。DUPは閣外協力の一環で、北アイルランドへの10億ポンド(約1480億円)を投資するよう交渉していた。

ハモンド氏は、協定への支持を得るための具体的な金額は「まだ」固まっていないとしている。

その上で、DUPの支持を取り付けても議会で法案を通すには「短い延期」が必要だとして、3月29日の離脱は「物理的に不可能」だとの見解を示した。

「そしてもし、私がイギリスのために良いものだと思っているこの協定が過半数の支持を得られなかった場合は、さらに長い延期が必要となり、我々は未知の領域に踏み込むことになる」

一方、採決は今週行われるかとの質問には、「答えはいいえ、絶対にありえない」と答えている。

「保守党とDUPの議員が協定を支持し、議会を通る見込みが十分立つまでは協定を再び提出することはない」

「名誉ある妥協」

メイ首相は17日付の日曜紙サンデー・テレグラフに寄稿し、議員らに「名誉ある妥協」を呼びかけた。

その上で、協定を支持しなければ「イギリスがEUから離脱できたとしても、何カ月も後のことになる」と指摘した。

デイヴィッド・デイヴィス前EU離脱相を含む保守党の離脱派議員15人も、保守党議員にブレグジット実現のために協定を支持するよう求める書簡を発表している。

一方、チャーリー・エルフイック議員(ドーヴァー選出)はBBCに対し、離脱協定を支持するには「トップの交代」が不可欠だと話した。ドーヴァーはイギリスと欧州大陸をつなぐ海港や海底トンネルがあり、ブレグジットによる影響を最も受ける地域の1つとされている。

ナイジェル・エヴァンズ議員(リブル・ヴァレー選出)も、ブレグジットが6月30日以降となりイギリスが欧州議会選挙に参加することになった場合には、メイ首相は辞任すべきだと指摘した。

労働党は野党結束を呼びかけ

こうした動きに対し最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、離脱協定に代わる超党派的な妥協案を策定するよう、他の野党議員に呼びかけている。

コービン党首は自民党のヴィンス・ケーブル党首、DUPのナイジェル・ドッズ党首、スコットランド民主党のイアン・ブラックフォード議員、プライド・カムリ(ウェールズ党)のリズ・サヴィル=ロバーツ議員、緑の党のキャロライン・ルーカス議員に書簡を送り、メイ首相の「失敗した」ブレグジット交渉による「不必要な不透明性と懸念を終わらせる施策」を見つけるために緊急会議を開きたいと申し出た。

またスカイニュースの取材でコービン党首は、今週の議会で労働党議員に2度目の国民投票を求める修正案に投票するよう党議拘束を行うと発言。さらに、メイ首相の離脱協定がまた否決された場合には、内閣不信任案を提出すると述べた。

(英語記事 No Brexit deal vote 'without DUP support'

この話題についてさらに読む