「ブレグジット中止」求めるネット請願に署名200万筆 英議会サイトで最速

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イギリスの欧州連合(EU)離脱を中止するよう英政府に求めるオンライン請願に、21日深夜(日本時間22日早朝)までに、英議会サイト上過去最速の速さで200万筆の署名が集まった。

英政府は2017年3月29日、EU基本条約(リスボン条約)第50条にもとづきEU離脱(ブレグジット)を通告し、2年間の交渉期間を発動させた。これについて、ブレグジットに反対する人たちは議会サイトに掲示した請願で、「第50条(の発動)を撤回し、EUに残ろう」と呼びかけ、署名を求めた。請願では「政府はEU離脱が『国民の意志』だと繰り返し主張するが、我々はこの主張をやめさせるため、国民がいかにEU残留を強く求めているか証明しなくてはならない。人民の投票(2度目の国民投票)は実現しないかもしれないので、今の段階で投票を」と呼びかけている。

これに対して署名が次々と集まり、英議会サイトが一時的に閲覧できない状態になった。議会の請願委員会はツイッターで、署名のペースは「このサイトが今まで経験したことのない」ものだったと書いた。

首相官邸の報道官は署名について、メイ首相は「これまで何度も、第50条の発動を撤回するつもりはないと繰り返してきた」と指摘し、「首相はかねてから、国民投票の結果を実現しないのは民主主義の失敗で、そのような失敗を容認するつもりはないと言明してきた」と強調した。

与党・保守党のアンドレア・レッドソム院内総務は、2016年6月の国民投票でブレグジットを支持した有権者は1740万人だったと議会で指摘。「もしも1740万人の署名が集まるなら、もちろん対応が必要になるでしょう」と述べた。

欧州司法裁判所は昨年12月、イギリスはEUの同意なしに第50条の発動を取り消せるとの判断を下している。

議会事務局によると、「第50条撤回」がツイッターで拡散し始めると、1分に2000筆ずつの速度で署名が増えていったという。

請願の温度地図によると、最も署名が多い選挙区はブリストル、エジンバラ、マンチェスター、オックスフォード、ロンドン、ケンブリッジ、ブライトンなどにある。

議会サイトで請願に署名する場合は、イギリス市民かイギリス在住者かを選び、氏名、メールアドレス、郵便番号の確認を求められる。

「第50条撤回」請願のサイト上データによると、21日夕までに集まった署名のうち、130万筆がイギリス出身だと申告した人によるもので、1万筆がフランス、6000筆近くがスペイン、4000筆以上がドイツからだった。

下院報道官は、不正行為がないよう署名状況を監視し、「明らかにボット(機械)によるもの」など疑わしい署名は削除していると説明した。その一方で、「イギリス在住者やイギリス市民は誰でも署名できる。在外イギリス人もこれに含まれる」と付け足した。

これまでに最多の署名が集まった議会サイトの請願は、2016年6月に2度目の国民投票を求めたもので、400万人筆以上を集め下院が内容を審議した。ただし、自動ボットが大量に署名していたことが発覚し、数万筆分の署名が削除された。

議会に対する請願が実際の立法につながることは珍しく、必ず議会審議の対象になるのは署名10万筆に達した場合に限られる。請願の内容について英政府は何をすることもできないと議会請願委員会が判断すれば、却下することもできる。ただし、請願を立ち上げることで、問題に正解の注目を集めることはできる。「第50条撤回」の請願もそうした結果になった。

請願を立ち上げたマーガレット・アン・ジョージアドゥさんはBBCに、今の状況に「すごくいら立った」ので、請願を掲示したのだと話した。

「残留派は誰でもそうですが、私たちはもうずっと発言できず、無視されてきた。なので押さえ込まれてきたものが、ダムが決壊するみたいに吹き出しているのだと思う」

EU各国の首脳は21日、ブレグジットの離脱交渉期間を3月29日以降に延長することで合意した。これによって3月29日の離脱は延期確実の見通しになった。英下院が来週中に、EUとテリーザ・メイ英首相がまとめた離脱協定を承認すれば、新たな離脱日は5月22日となる見込み。一方で協定が来週中に承認されなかった場合は、離脱日は4月12日となる。イギリスはこの日までに引き続き協定可決に向けて動くか、「次の展開を示す」必要がある。

Image copyright EPA

(英語記事 'Cancel Brexit' petition passes 2m signatures on Parliament site

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