英下院、ブレグジットの主導権を掌握 「示唆的投票」へ

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英下院(定数650)は25日夜、欧州連合(EU)離脱をめぐる決定について下院が主導権を握るという修正案を329対302の僅差で可決した。一方で欧州委員会は同日、「可能性が高くなっている」4月12日の合意なしブレグジットへの準備が全て整ったと発表した。

25日の採決の結果、下院は27日にブレグジット(イギリスのEU離脱)について複数の選択肢から、過半数が支持するのはどれか判断するための、「示唆的投票」を行うことになった。

しかし示唆的投票に拘束力はなく、テリーザ・メイ首相は投票結果に従う保証はないとしている。

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25日に可決された修正案は、保守党所属のオリヴァー・レトウィン議員が主導する超党派グループが提出したもので、27日の審議の主導権を政府ではなく議会が握るというもの。

修正案には最大野党・労働党をはじめとする野党が賛成し、保守党からは30人が造反した。この中にはアリステア・バート国際開発次官、スティーヴ・ブライン保健次官、リチャード・ハリントン民間企業次官の閣僚3人が含まれ、いずれも採決後に辞任した。

一方、労働党からは8人が反対票を投じ、首相と閣外協力する北アイルランドの民主統一党(DUP、10議席)も政府に従い修正案に反対したものの、修正案は27票差で可決された。

メイ首相は採決に先立ち、議会がブレグジットについて主導権を握れば「歓迎できない前例」ができると警告していた。

その上で、この修正案に反対するよう党議拘束をかけたほか、政府主導でブレグジットの他の選択肢について採決するという内容の譲歩案を示したが、この譲歩案は327対300で否決されている。

労働党のジェレミー・コービン党首は、政府は「この展開を真剣に受け止めるべきだ」と指摘した。

「政府は敗れた。下院は成功しなくてはならないし、そうなると信じている」とコービン氏は述べ、下院は次へ進むための総意を模索することになり、メイ首相の協定について国民に是非を問う選択肢もあり得ると話した。

メイ首相はかねて、2度目の国民投票を行えば「残留」が選択肢に入ってしまうとして、この可能性を拒否している。

25日の審議ではこのほか、労働党のマーガレット・ベケット議員が提出した、4月5日までに何らかの協定が承認されなければもっと長い延長をEUに求めるという動議が314対311の僅差で否決された。

Image caption レトウィン議員の修正案の採決結果。労働党のほか、スコットランド国民党(SNP)、自由民主党、独立グループ、プライド・カムリ(ウェールズ党)、緑の党などの野党は賛成に回り、保守党からも30人が造反した。一方で反対票の内訳は、保守党、DUP、労働党からの造反8人など

イギリスは3月29日にEUを離脱する予定だったが、下院審議を経てメイ首相がEUに離脱期限延期を求めた結果、EU各国の首脳は21日、延期に合意した。

EUとメイ首相がまとめた離脱協定を下院が3月中に承認すれば、新たな離脱日は5月22日となる見込み。

一方、協定が承認されなかった場合の離脱日は4月12日となる。イギリスはこの日までに引き続き協定可決に向けて動くか、別案を示す必要がある。

離脱協定はこれまでに2度下院で否決されている。

メイ首相は先週末に保守党の離脱派議員やDUPなどと会談したものの、協定の承認に十分な支持は確保できなかったとして、3度目の「意味ある投票」を26日には行わないと発表した。

しかし、引き続き今週中の採決を模索するとしている。

示唆的投票へ

示唆的投票では、EUとの関税同盟締結や2度目の国民投票など「軟着陸のブレグジット」を含むさまざまな案が採決にかけられ、どの案が過半数支持を得られるかをみる。

しかし、投票の形式や方法などはレトウィン議員の修正案に示されていない。

メイ首相は、この方法で過半数支持を得られる案が出てくる保証はないため、手続きに「懐疑的」だと語っている。その上で、投票結果に政府が従う保証はないと話した。

「この投票で、EUと交渉することができない結果が出るかもしれない」と、首相は議員らに警告した。

EU離脱省も、レトウィン議員の修正案が可決されたことで「危険で予測できない前例」ができてしまったと述べた。

報道官は声明で、「政府が今週、議会で支持を得られるプロセスを提供すると明らかにしている中で、この修正案が可決されたのは遺憾だ」と話した。

「この修正案によってブレグジットの次の段階は議会に委ねられたが、政府は引き続き、どんな離脱案もEUとの交渉を通じてしか実現できないという現実を訴えていく」

「議会はこの交渉にどれほどの時間がかかるのかを考えるべきだ。また、長期の離脱延期を求めれば(5月末の)欧州議会選挙に参加することになる」

今週の動き

メイ首相は、26日に自身の協定に対する3度目の「意味ある投票」を行わない方針を示している。

27日:この日に示唆的投票が行われる見込み。各党が党議拘束をかけるかは明らかになっていない。一方、超党派の合意が形成される可能性は低い。議員はこのほか、国内法から3月29日の離脱を削除するかどうかを採決する

28日:3度目の「意味ある投票」の候補日。示唆的投票で関税同盟などに支持が集まり、離脱派議員が嫌う軟着陸のブレグジットが濃厚となれば、メイ首相には離脱派議員から協定への支持が取り付けられる可能性がある

29日:法的には、イギリスはこの日にEUを離脱する予定となっている。メイ首相は第2次立法でこれを変更する方針。成功すれば、現段階で最も近い離脱予定日は4月12日となる

(英語記事 MPs back votes on Brexit alternatives

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