ボーイングマックス737、操縦士が「機体制御できず」 墜落の直前

Debris of the crashed airplane of Ethiopia Airlines Image copyright Getty Images
Image caption エチオピア航空302便の残骸

先月、東アフリカのエチオピアで墜落した旅客機(ボーイング737マックス8型)が、事故直前に複数回にわたり機首を強制的に下げさせる誤作動により、操縦士が機体を立て直せなかったことが明らかになった。エチオピア運輸省が4日、暫定的な事故調査報告書を公表した。

事故後初めてとなる公式の報告書によると、操縦士は墜落前、米航空機大手ボーイングが推奨する緊急時の手順を「繰り返し」踏んだ。

ボーイングは、機体の失速を防ぐ目的で搭載されていた操縦特性向上システム(MCAS)に問題があり、これ墜落原因になったと初めて認めた。

エチオピアの首都アディスアベバからケニア・ナイロビに向かっていたエチオピア航空302便は先月10日、離陸直後に墜落し、乗客乗員157人全員が死亡した。

エチオピアのダグマウィット・モゲス運輸相は、操縦士たちは努力したものの「機体を制御できなかった」と述べた。

同型機をめぐっては、エチオピア航空機事故の5カ月前の昨年10月、ライオン航空機がインドネシア沖に墜落し、189人の犠牲者を出した

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モゲス運輸相は4日のアディスアベバでの記者会見で、「乗務員は、メーカー側から定められていたすべての緊急時の手順を踏んだが、機体を制御できなかった」と述べた。

エチオピア航空機の墜落後、世界中のボーイング737マックス型の運航が停止され、300機以上に影響が出た。

暫定報告書

今回公表された報告書は、事故責任の所在については言及していない。一方で、乗務員には運航を行なう資格が十分にあり、すべての必要な手順を正しく実行したとしている。

報告書はまた、ボーイングが737マックス型の「飛行の制御性に関わる飛行制御システム」を調査し、運航を再開する前に、航空規制当局側が確実にこの調査が行なわれるようにすることが望ましいとしている。

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Image caption エチオピア航空機の墜落現場で残骸を点検する、米国家運輸安全委員会の調査官たち

事故調査官は、737マックス型に搭載されていたMCASに着目していた。このシステムは、機首が上がり過ぎて失速しないようにするためのもの。

報告書の中にMCASの名称は出てこないが、離陸後の数分間、操縦士が機体の角度を制御しようとする際に発生した問題について詳しく述べている。

機長は、3度「上昇させろ(Pull Up)」と叫び、数秒後には副操縦士に対し、航空管制官に飛行制御に問題があると連絡するよう指示した。

エチオピア航空のテウォルデ・ゲブレマリアム最高経営責任者(CEO)は4日の声明で、「高度な専門性を発揮して」職務を遂行した操縦士たちを「非常に誇りに」思うと述べた。

「何度も繰り返し機首を下げる機体を、操縦士たち立て直すことができなかったのは、非常に残念だ」

Image caption 事故機の垂直速度の変動を示すグラフ。上がエチオピア航空302便、下がエアイオン航空610便。出典:フライトレーダー24

ライオン航空機墜落事故

ライオン航空機の事故調査結果は、失速していない時でさえ、機首を何度も強制的に下げさせる誤作動が起きていたことを示している。操縦士は20回以上にわたり機首を上げようとしたが、システムはそのたびに機首を下げたという。

暫定的な報告書によると、センサー故障によって、操縦士が気づかないうちにMCASが作動していたという。

ボーイングはライオン航空機事故後、この問題に対処するため、MCASの修正プログラムを開発中だ。

同社はこれまで、問題が発生した際には操縦士がMCASを無効化し、機体の制御を取り戻すことができるとしてきた。

しかしエチオピア当局によると、エチオピア航空機の操縦士はボーイングが推奨する緊急時の手順を踏んだにも関わらず、機体を制御できなかったという。

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Image caption 世界中の300以上の737マックス型機の運航が停止された

ボーイングの安全性への取り組み

米ボーイングのデニス・マレンバーグ最高経営責任者(CEO)兼会長は報告書の公表後に声明を発表し、両方の事故機においてMCASソフトウェアが「機体の角度に関する誤った情報に応答して起動した」ことは「明らか」だと述べた。

これに先立ち、同社は「MCASが不意に起動する事態の再発を防ぐため、MCASソフトウェアの修正プログラムの開発・リリースと、737マックス型に関する操縦士の訓練や補足教育プログラムを行なう」と発表していた。

ボーイングは操縦士に対し、MCASの扱い方に関するガイダンスを発表している。また、これまでは任意としていた安全機能の警告システムを標準機能として導入する予定。

さらに、「737マックス型の理解を深める」飛行システムと乗務員の手順を提供するため、操縦士の訓練を見直しているという。

一方で、今回のシステム修正は、MCASを墜落原因と認めたからではないとしている。

(英語記事 Ethiopia pilots 'could not stop nosedive'

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