ブレグジットに「柔軟な延長」も きょうEU臨時首脳会談

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Image caption 欧州理事会のドナルド・トゥスク常任議長

欧州理事会のドナルド・トゥスク常任議長(大統領に相当)は9日夜、イギリスの欧州連合(EU)離脱をめぐり、イギリスに最長1年間の「柔軟な」延期期間を与えるべきだという方針を示した。この延期期間は、イギリスがブレグジット(イギリスのEU離脱)協定を批准した時点で終わる条件付きになると説明している。

EUは10日に臨時首脳会議を開き、テリーザ・メイ英首相が要請するEU基本条約(リスボン条約)50条に基づく離脱交渉帰還の延長を審議する。

メイ首相は6月30日までの延期を求めているが、トゥスク氏はこの期日までにイギリスが離脱協定に合意すると「信じられる要素はほとんどない」としている。

イギリス国内では政府と最大野党・労働党が新たな離脱計画をまとめるために協議を続けているが、臨時首脳会議までには妥結に至らなかった。

EU首脳が延長を認めなかったり、イギリス議会が離脱協定を承認しない場合は、イギリスは12日午後11時(日本時間13日午前7時)に合意のないままブレグジットを迎えることになる。

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トゥスク氏は文書で、メイ首相が求める6月30日までの延期を認めても、「短い延長と臨時首脳会談を繰り返し、新しい崖っぷちの離脱日を設定するだけになるリスクを高めるだけだ」と述べた。

一方で欧州理事会が延長を認めなければ「偶発的な合意なし離脱が起こるリスクがある」としている。

「一つの可能性として、柔軟性のある延長がある。これは最長1年の中で必要なだけ離脱を延長するものだ。1年以上となれば、いくつかの主要なプロジェクトについて全加盟国一致で決定を下す必要が出てくる」

また、EUはどんな延長要請に対しても、離脱協定の再交渉はしないなど、さまざまな条件を付けることを認める必要があると述べた。

その上で、ブレグジットについてイギリスは「最大限に尊重される」べきで、「イギリス側もEU側も軽蔑されたと感じるべきではない」と語った。

BBCのアダム・フレミング・ブリュッセル特派員は、トゥスク氏の文書には、離脱は「必要とされる期間だけ延長されるが、いかなる状況でも最長○○年○月○日までで、離脱協定が批准された段階で早期に終了する」と記されていると説明した。

一方でカティヤ・アドラー欧州編集長は、EUは「この提案を破棄して最初からやり直す」可能性もあり、トゥスク氏の方針は「話半分と思った方がいい」と述べた。

実際、トゥスク氏の文書では延長の期日は空欄になっており、これはEU首脳がなおこの問題で意見が分かれているからだとアドラー編集長は指摘した。

ルクセンブルクで行われたEU理事会の一般理事会の後、外交官らからは「数カ国」が6月30日までの延長を支持しているが、大半はより長い延長が必要だとしているとの意見が出た。

与野党協議は11日以降も

イギリス議会はこれまで3回にわたってメイ首相とEUが取りまとめた離脱協定を拒否しており、メイ首相はさらなる離脱延長を求めることになった。

こう着状態を打破するために先週から始まった政府と労働党の協議は9日も続き、双方から進展があるだろうとの期待が出ている。

与野党は、メイ首相の離脱協定に譲歩案を含めることで議会の承認を得たい考えだが、労働党はブレグジット後にEUと関税同盟を結ぶ案を入れるよう求めている。

関税同盟を結べばEUとは自由貿易が行えるが、イギリスは自由に他国と個別の通商協定を結べなくなる。こうした制約からの離脱は、保守党がブレグジットについて掲げているマニフェストの1つだ。

マイケル・ゴーヴ環境相は、与野党協議は「オープンで建設的なもの」だったが、双方は「さまざまな領域」で意見が異なっていると話した。

労働党のレベッカ・ロング=ベイリー影のビジネス担当相は、「有望な進展があるだろう」と話した。

協議は11日にも行われる見通しだ。

与野党が譲歩案で合意できなかった場合は、メイ首相はさまざまなブレグジット案を議会に提出し、その採決結果を尊重するとしている。

これには、議会が承認した離脱協定の是非を2度目の国民投票にかける案も含まれている。

メイ首相は仏独首脳と会談

メイ首相は9日、パリでフランスのエマニュエル・マクロン大統領と、ベルリンでドイツのアンゲラ・メルケル首相と会談した。

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Image caption メイ英首相はパリのエリゼ宮でマクロン仏大統領と会談した

イギリスの首相官邸によるとメイ首相はこれらの会談で、6月30日まで離脱を延期し、期日までに離脱協定が批准されれば離脱を前倒しする案について協議した。

マクロン大統領とはこのほか、5月に行われる欧州議会選挙についても話し合った。イギリスは5月23日までにEUを離脱できなかった場合にはこの選挙に参加する必要があるが、メイ首相はこれを回避するため「一生懸命動いている」と述べた。

またメルケル首相とは、イギリスが秩序に基づいてEUを離脱することが重要だという意見で一致した。

メルケル首相は会談後、2019年末か2020年初めまで離脱を延期する可能性もあると話した。

(英語記事 Tusk suggests Brexit delay of up to a year

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