ロンドン中心部で交通混乱、道路封鎖の290人逮捕 温暖化対策求め

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道路を封鎖し、移動するよう求める警察に抗議する人たち
イギリス・ロンドン中心部で、気候変動の危機を訴える活動家たちが道路を占拠し、交通がまひしている。占拠2日目の16日には、公共の場で秩序を乱したなどとして約300人が逮捕された。
道路の占拠は「絶滅への反逆(Extinction Rebellion)」と名付けられた抗議運動の一環。数百人の活動家たちが、ウォータールー・ブリッジやパーラメント・スクエア(国会議事堂前の広場)、オックスフォード・サーカスの路上に夜通し居座った。
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ウォータールー・ブリッジで警察に連行される女性
警察が移動するよう命じても従わない人が多い。ウォータールー・ブリッジでは、4人の活動家たちが、駐車中のトラックの車体下部に自らの体をチェーンで固定した。
その一人でロンドン北部イズリントンから来たというベン・モス氏(42)は「これをやっているのは政府に行動してほしいからだ。仕事は1週間休んでいる。さらに休む必要があるなら、会社に言い訳はできる」と話した。
ウォーター・ブリッジに駐車中のトラックに、チェーンで自らの体を縛り付ける人もいた
こうした交通障害により、55のバス路線が迂回や運行中止を強いられ、最大で50万人に影響が出ている。ウエストミンスター・ブリッジやブラックフライアーズ・ブリッジなど迂回路となっている道路では、大渋滞が発生している。
ロンドン警視庁はこの日、290人を逮捕したと発表した。コリン・ウィングローヴ警視長は「現在のデモは、公共交通や商店の営業、いつもどおり仕事をしようとしているロンドン市民たちを著しく妨害している」と述べた。
前日の15日には広範囲で交通障害が発生したため、活動家たちのデモはマーブル・アーチ周辺に限定された。この規制は19日午後9時10分まで継続する。
抗議運動の中心組織によると、「絶滅への反逆」は33カ国、80以上の都市で展開されたという。イギリス・エジンバラの警察は、29人を逮捕したとしている。
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オックスフォード・サーカスにはピンク色のボートが「停泊」。自動車の往来が消えた
17日には地下鉄の運行を妨害する計画も持ち上がっている。活動家側は、今月29日まで「ロンドンを閉鎖する」としている。
ロンドンのサディク・カーン市長は「情熱には共感する」としながらも、そうした計画には「極めて懸念している」と表明。「このような方法で公共交通機関を狙うのは、気候変動問題に取り組もうと思っている人々の気持ちに水をさすだけだ。ロンドン市民の安全も脅かしているので、(地下鉄妨害を)予定している人は、お願いだから再考してほしい」と訴えた。
「絶滅への反逆」とは?
この運動は昨年始まった。メンバーたちは橋を閉鎖し、首相官邸の外で偽の血液をバケツでまき、BBCに人が入れないようにし、国会議事堂で半裸になるなどしている。
主な要求は3つ。政府が「気候変動について真実を語る」こと、二酸化炭素の排出を2025年までにゼロにすること、進捗状況を監視するための市民会議を創設することだ。
大いに議論が分かれるところだが、このグループは、できるだけ多くの逮捕者を出そうとしている。
創始者の一人、ロジャー・ハラム氏は、大勢の人が参加し、権力への不服従が広がることで、社会変革の可能性を最も大きくできると主張している。
だが、不必要な障害をもたらし、ただでさえ不足している警察力を無駄に使わせているとの批判が出ている。