スリランカで連続爆発、死者290人に 日本人も1人死亡

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スリランカでカトリック教会やホテルが狙われた

スリランカの最大都市コロンボなど3都市のキリスト教会など8施設で21日朝、爆発があり、警察によると死者は290人に上った。キリスト教徒や外国人を狙ったテロとみられる。日本の複数報道によると、外務省は22日朝、日本人1人の死亡を確認した。

同国外務省によると、死者には36カ国の外国人が含まれているという。負傷者も約500人に達するとみられている。

爆発は午前8時45分ごろから短い間に連続して発生した。教会のほか、主要ホテル3軒などが狙われたという。計画的な自爆テロとの報道が出ている。

警察は犯行に関わったとみられる24人を逮捕したと発表した。犯行声明は出ていない。

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複数報道によると、日本の外務省は22日朝、日本人1人が死亡し、4人がけがを負ったと明らかにした。

スリランカ政府は21日、国内全土に夜間外出禁止令を発令。22日午前6時に解除した。

A man is hunched over outside a hospital in Batticaloa

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誤った情報の拡散を防ぐため、政府が「ワッツアップ」や「フェイスブック」などのソーシャルメディアの使用を一時的に制限しているとの情報もある。

爆発があった教会はコロンボ市内と郊外、東部バティカロアの3カ所にある。この日はキリスト教のイースター(復活祭)で、教会には多くのキリスト教信者が礼拝に訪れていた。

被害に遭ったホテルは、コロンボの「シャングリラ」「キングズベリー」「シナモン・グランド」。いずれも外国人の利用が多い。

Blast damage at the Shangri-La hotel in Colombo

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爆発があったスリランカ最大都市コロンボのシャングリラ・ホテル

この他、コロンボ南部のデヒワラ動物園の近くで爆発が発生。さらに、同市デマタゴタ地区で警察が捜索中にも爆発が発生し、警察官3人が死亡した。

スリランカ外務省や各国の報道などによると、これまでに判明している外国人の死者は以下の通り。

  • イギリス人 少なくとも5人(うち2人はアメリカ国籍も保有)
  • デンマーク人、インド人 各3人
  • トルコ人 2人
  • 日本人、ポルトガル人、オランダ人 各1人

同国空軍は同日夜、コロンボの空港付近で手作りの爆弾を発見したと公表した。長さ約1.8メートルのパイプに爆薬が詰められており、すでに処理を終えたという。

政府は、一部の事件現場では犯人が自爆装置を使った可能性もあると話した。

21日夜の記者会見で、ラニル・ウィクラマシンハ首相は、当局が事前に爆破計画の情報を察知していたのではないかといううわさに言及し、「なぜ適切な予防措置がとられなかったのか、調べなくてはならない。私も他の閣僚も、報告を受けていなかった」と述べた。

その上で首相は、「今は犯人の身柄拘束が最優先課題だ」と強調した。

St Anthony's Shrine in Kochchikade

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爆発があった聖アントニー教会

スリランカの最新国勢調査によると、国内では上座部(テーラワーダ)仏教の信徒が国民の70.2%を占め、ヒンドゥー教徒は12.6%、イスラム教徒は9.7%。キリスト教徒は約150万人で、そのほとんどはカトリック教徒だ。

独立を求める少数派のヒンドゥー教徒タミル人の「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」と、多数派の仏教徒シンハラ人との間で内戦が26年間続いた。2009年にLTTEが敗れ内戦が終結するまでに、7万~8万人の死者が出たとされる。

昨年3月にはシンハラ人がイスラム教のモスクやイスラム教徒が所有する建物を襲撃する事件が発生。政府は非常事態を宣言した。

今回の爆発事件は、内戦の終結後、最悪の被害となった。