美容整形で命落とすケースも キャンペーンで危険周知へ=英保健省

アダム・イリー、ピート・ウォーカー(BBC番組「ビクトリア・ダービーシャー」

Rachael Knappier had lip filler Image copyright Rachael Knappier
Image caption メスを使用しないリップ・フィラーなどの美容整形にさらなる規制が必要との声が上がっている

英国人の間で美容整形手術が急増する中、「失敗」手術で死亡事故が発生している。苦情も多数寄せられ、2017年から2018年にかけては934件に達したという。こうした事態を打破するため、英保健省は「失敗」手術の問題に取り組むキャンペーンを立ち上げる予定だという。

これは、でん部の形を整える「ブラジリアン・バット・リフト(BBL)」のような美容整形手術を海外で受ける人の増加を受けてのもの。BBLをめぐっては、英国人も2人死亡している。

合併症を引き起こす恐れのある自己注射式の皮膚や唇のボリュームを変える「フィラー」の使用の増加についても、専門家が警鐘を鳴らしている。

ある専門家はこのキャンペーンを歓迎する一方で、より良い規制も必要だと指摘した。

英保健省はBBC番組「ヴィクトリア・ダービシャー」に対し、今年5月に開始予定のキャンペーンを通じて、フィラーやボトックス、美容整形について専門家の助言を求めることの重要性を一般の人に十分周知することを目指すと述べた。

また、「失敗」手術や、結果として人に与える精神的および身体的な影響、ならびに術後の治療のための英国民医療保険制度、国民保健サービス(NHS)の費用についても取り組みたいとしている。

このキャンペーンを基本的には歓迎しているという、英美容整形外科協会(BAAPS)メンバーのノラ・ニュージェント氏は、今後増えるであろう美容整形手術を求める人の数に対し、手術を受ける際にどんなことを想定すべきかや、どんな問題が起こりうるかについての周知が追いついていないと指摘した。

インターネット上で自分が受けた美容整形について共有するセレブやインフルエンサーが増えたことに加えて、「利用しやすさや認知度の高まり、そして比較的安価になってきている」ことも一因だという。

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Image caption 米セレブのカイリー・ジェンナーさんなど有名人によってリップ・フィラーが広まった

部分的な整形を望む声

BBC番組「ヴィクトリア・ダービシャー」とBBCラジオ「ニュースビート」、英調査会社「デルタ・ポル」がインターネット上で18歳から30歳までの女性を対象に行なった調査では、83%が金銭面や健康面のリスクに問題がなければ自分の身体を部分的に変えたいと回答した。

整形手術を受けたいと答えた人の63%は腹部を、53%は胸部を変えたいという。

7%がすでに整形手術を受けたことがあると答え、そのほとんどはリップ・フィラーやボトックス施術だった。

施術後の満足度は以下の通り:

  • 69%が「より自信がついたと思う」と回答
  • 52%が「より魅力的になったと思う」と回答
  • 24%が「あまり魅力的になったと思わない」と回答

「顔がいびつに」

グレッグ(仮名)はBBC番組「ヴィクトリア・ダービシャー」に対し、しわを伸ばすためにフィラー注射に依存していったと明かした。通常、フィラーは唇や頬など、ボリュームを出すために使われる。

インターネットでフィラーとボトックスを購入し、自分の顔に自ら注射するようになったのは3年前だ。

「自分の顔がどう見えるのか、現実を見失ってしまうんです」

「かなりの回数、注射していました。母が私の顔が相当いびつになっていることに気がついた時には、自分の特徴の多くを失っていました」

フィラーは薬のように規制されていないため、医師でなくても使用できるが、自己注射は腫れや感染を引き起こす可能性がある。

まれなケースでは、皮下にしこりができて外科的手術や薬による治療が必要になることもある。

「信じられないくらい痛い」

グレッグは、唇に自己注射したことで感染症になった。

「翌朝目が覚めたら、唇がでこぼこになっていました。片側だけ肥大化していました。水ぶくれもできていて、本当に、信じられないくらい痛かったです。助けを求めるのが恥ずかしかった」

グレッグは、「危険な方法」であるフィラーを使用しないよう人々に忠告したいと話す。

「合併症を引き起こすということを理解して、本当に慎重にならなければいけない」

医療経験のない人物による施術の危険性

整形外科医のニュージェント氏は、「カウボーイ・インジェクター(やっつけ仕事をする人+注射をする人の意味)」と呼ばれる、医療研修を受けずにフィラー施術を行なう美容師などに懸念を抱いているという。

患者のことを安全に診断したり、合併症の症状を発見できる能力のない人物による施術は患者に危険を及ぼすため、誰が注入法による施術を行うのかを定める規制を求めている。

ウェールズ自治政府は今年3月、フィラー施術を免許制度に追加することを話し合うのが「将来的には適切かもしれない」との見解を示した。

全国の認可された施術者を登録している「セーブ・フェイス」によると、2017年から2018年の間に寄せられた無認可の施術者に関する苦情件数は934に上り、そのうちの616件がフィラーに関連するものだったという。

ニュージェント氏は、海外に美容整形を受けに行く人々についても懸念していると話す。海外で施術を受ける場合、当日まで外科医に会えなかったり、合併症が起きた場合に必要になる術後の経過観察や治療を受けることが難しいからだ。

(英語記事 Campaign to tackle 'botched' cosmetic care

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