米がイラン原油全面禁輸へ 日本などへの制裁除外は延長せず

File photo showing Iranian oil tanker docked at the oil facility in the Khark Island (12 March 2017) Image copyright AFP
Image caption アメリカによる制裁措置によりイラン経済は急激に悪化した

ドナルド・トランプ米大統領は、イラン産の原油輸入を禁止する経済制裁について、現在日本などに認めている制裁の適応除外を5月に打ち切ることを決定した。

トランプ政権は、2015年のイラン核合意から米国が昨年5月に離脱したことを受け、同年11月5日からイラン産原油の輸入を禁止する経済制裁を再発動させた。一方で、イランから石油を輸入し続ける国は制裁から除外していた。

ホワイトハウスは22日、中国、インド、日本、韓国、トルコに認めてきた適応除外の措置を5月に打ち切ると発表。これらの国は、アメリカの制裁措置に直面する可能性がある。

今回の決定には、イラン政府の主な収入源であるイラン産原油の輸出をゼロにし、財源を奪う狙いがある。

イラン側は制裁は違法であり、適応除外措置には「価値も信頼性もない」と主張した。

2015年のイラン核合意では、イランは経済制裁解除の見返りとして、核開発を制限することと、国際原子力機関(IAEA)の査察官による施設の査察を受け入れることで合意していた。

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トランプ政権はイランを、核開発だけでなく弾道ミサイル開発や、中東地域全体における「極めて有害な挙動」を包括する「新しい取引」についての交渉に応じさせたい考えだ。

アメリカによる制裁措置は、イラン経済を急激に悪化させた。貨幣価値は過去最低を記録し、年間インフレ率は4倍になり、外国人投資家を遠ざけ、抗議活動を引き起こした。

制裁の適応除外期間を延長しない理由

アメリカは昨年11月、イランの石油輸出、船舶、金融など、米政府高官が「経済の重要部門」と位置づけるもの全てを対象に制裁を発動した。

一方、イラン産原油の輸入を続ける中国、インド、日本、韓国、台湾、トルコ、イタリア、ギリシャの8つの国と地域については、6カ月間の期間限定で制裁の適応除外を認めた。イラン産原油に代わる資源を見つける時間的猶予を与え、世界的な石油市場に打撃が及ぶのを回避するための措置だった。

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Image caption アメリカは圧力措置を「劇的に加速させている」と述べたマイク・ポンペオ米国務長官

8つの国と地域のうちギリシャ、イタリア、台湾の3カ国はすでに、イラン産原油の輸入を停止している。

報道によると、残りの5カ国はアメリカ側に適応除外期間の延長を求めていたという。

マイク・ポンペオ米国務長官は、トランプ大統領による適応除外期間を延長しないとの判断について、トランプ政権が「世界の石油市場への供給を維持しつつ、国家安全保障の目的に見合う方法で圧力措置を劇的に加速させている」ことを示していると述べた。

ポンペオ長官は、「我々は、イラン産原油からほかの代替品へと移行する同盟国や友好国を支持する」と付け加えた。

「我々は、容易な移行と十分な供給確保のために、サウジアラビア、アラブ首長国連邦および他の主要原油国と、広範かつ生産的な議論を行なってきた。これは、米国内での生産量の増加に加えて、エネルギー市場が依然として十分満たされているという我々の確信を明確に示している」

サウジアラビアのハリド・アル・ファリフ・エネルギー相は、同国は「世界の石油市場のバランスが崩れない」よう、他の石油生産者と連携すると述べた。

イラン産原油の輸出量は、トランプ大統領が昨年5月にイラン核合意を離脱する前は1日あたり250万バレル以上だったのに対し、現在は100万バレル以下と推定されている。

原油価格への影響

原油価格の世界基準であるブレント原油産物は、22日の取引で1バレルあたり3.33%上昇の74.37ドルと、昨年11月1日以来の最高値を記録した。

アメリカのウェスト・テキサス・インターミディエイト原油先物は1バレルあたり2.90%上昇し、65.93ドルだった。

関係国の反応

イラン外務省のアッバス・ムーサヴィ報道官は、アメリカは「制裁適応除外措置にはいかなる価値も信頼性も伴っていない」と述べ、トランプ大統領の決断を一蹴した。

また、イランは国際的なパートナーと「絶えず接触」をして相応の措置を講じるだろうと述べた。

トルコのメブルト・チャブシュオール外相はツイッターで、アメリカの措置は「地域の平和と安定への役割を果たさない。イラン国民に危害を与えるだろう」と投稿した。

「トルコは、近隣諸国との関係の導き方に関する一方的な制裁や強制を拒否する」

中国外務省の耿爽報道官は記者団に対し、「中国とイランの協力関係は開放的で透明性があり、法を順守している。尊重されるべきだ」と述べ、一方的なアメリカの制裁措置に反対を表明した。

日本の菅義偉官房長官は23日午前、「日本企業の活動に悪影響が及ぶべきではないとの立場から、アメリカ側と緊密に協議、意思疎通を図ってきたが、具体的なやり取りを申し上げるのは差し控える」と述べた。石油元売り会社で組織する石油連盟は3月、4月以降のイラン産原油の輸入を停止する方針を発表していた。

PTI通信によると、インド政府はアメリカの発表の真意を見極めている最中だという。インドはイラン産原油の輸入量を段階的に減らす方法を受け入れてもらいたい考えだったと報じられている。

韓国は過去に4カ月間、イラン産原油の購入を停止したが、今年1月に再開した。3月の輸入量は28万4600バレルだった。

(英語記事 US to end Iran oil sanctions exemptions

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