スリランカ連続爆破、ISが関与か 死者321人に

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スリランカの教会爆破、実行犯か 男が教会に入る映像

スリランカで起きた連続爆破攻撃事件で、同国政府は23日、「イスラム国(IS)」が事件に関わったとの見方を示した。ISも同日、犯行声明を出した。この事件でこれまでに確認された死者は321人に上り、負傷者は500人を超えている。

ISは同日、系列のアマク通信で犯行声明を発表。「スリランカの十字軍同盟(アメリカ主導の反IS連合)に属する国民とキリスト教徒を狙った」と述べた。

ISは犯行の証拠は示していないが、実行犯としている8人の男たちのソーシャルメディア上の写真を公表した。

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爆破攻撃の対象となった3教会の1つ、聖アントニー教会

首相「海外組織との連携調べる」

ラニル・ウィクラマシンハ首相はこの日、事件は海外のテロ組織の支援なしには実行できなかったとの見解を表明。犯人たちについて「訓練を受け、以前は見られなかった連携をしていた」と述べた。

ウィクラマシンハ氏はまた、「治安当局はもちろん、我々は海外との連携があると見ており、それを示す証拠もいくらかある。もしISが犯行声明を出しているなら、その線を調べる」と話した。

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スリランカ全土に非常事態宣言が発令されている

一方、ルワン・ウィジェワルダナ国防担当相は同日、「初期段階の捜査」の結果として、ニュージーランドで3月に起きたモスク(イスラム教礼拝所)爆破攻撃事件に対する報復だった可能性が浮上していると述べた。

スリランカ政府はこれまで、国のイスラム系組織「ナショナル・タウヒード・ジャマート(NTJ)」が事件に関わったとの見方も示している。

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スリランカでカトリック教会やホテルが狙われた

容疑者40人を逮捕

警察はこれまでに、事件に関与した疑いで40人を逮捕している。全員スリランカ人だが、ウィクラマシンハ氏は、事件の前に海外に渡航していた者も含まれている可能性があると説明した。

さらなる攻撃を防ぐためとして発令された非常事態宣言は、現在も続いている。

一方、マイトリーパーラ・シリセーナ大統領はテレビ演説で、治安当局の「完全な改革」を約束。「24時間以内に」国防軍の幹部を一新すると述べた。

シリセーナ氏はまた、攻撃の可能性に関する事前情報は耳に入っていなかったと説明。治安当局に対して「厳しい措置」を取ると話した。

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遺体安置所で妻ではありませんようにと……スリランカ爆破の遺族

<解説> 攻撃対象はISのイデオロギーと合致

ゴードン・コレーラBBC安全保障担当編集委員

スリランカ政府は今回の攻撃の実行犯について、既知の国内2組織の関係者だと話している。それと同時に当初から、事件の規模と洗練された手口からして、海外組織も何らかの役割を担ったと見ていた。

ISは過去に、自分たちが関与していなかったり、単に思想的な影響を与えたりしただけでも、犯行声明を出すことがあった。しかし、ISが今回の事件について提示した情報の詳しさは、スリランカ政府の推測を裏付けるものとなっている。

今回の事件では、スリランカ国内で集団に対して起きる典型的な攻撃より、むしろISのイデオロギーに近い対象が標的になった。

それでも疑問は残る。国内の男たちはISとの連携を自認していたのか、それとも直接的な支援を受けていたのか。男たちはシリアなどの国に行っていたのか。スリランカ政府は、犯人の一部は海外渡航していたと見ているが、それが今回の事件にどれほどの意味があるのか。

こうした疑問に答えるのは、スリランカのみならず、他の国々にとっても重要だ。なぜなら、国内限定で活動する比較的小規模の組織が、これほどとてつもないスケールの暴力事件を起こす脅威となり得るのか、どの国も理解しようとしているからだ。