米通商代表、中国が「約束撤回」と 中国製品への関税率引き上げも

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Image caption 米通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー代表は、貿易協議において中国側の姿勢に「後退」がみられると述べた

米通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー代表は6日、貿易協議における約束を撤回したとして中国を非難した。一方、いまも関税交渉の余地はあると主張している。

ライトハイザー代表は記者団に対し、「ここ1週間にわたって、約束していた取り組みにおいて中国側の姿勢に後退がみられる。これは容認できない」と述べた。

ドナルド・トランプ米大統領は5日にツイッターで、10日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)から、中国からの輸入品2000億ドル(約22兆2000億円)相当への関税率を現行の10%から25%に引き上げると表明していた。ライトハイザー代表によると、トランプ大統領の脅しは中国が約束を破ったからだという。

一方で、ワシントンで9日と10日に予定されている中国の劉鶴副首相とのさらなる協議については、変わらず中国代表団を迎え入れるとしている。

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ライトハイザー代表は、貿易協議が最終段階に差し掛かっている中、中国は米中間での合意文書を本質的に変更しようとしてきたと述べた。

「我々は現時点では交渉を中断しないが、いまのところ(中略)10日に関税を引き上げる予定だ」

トランプ大統領のツイートを受け、上海総合指数が5.6%安になるなど、世界の株式市場は下落した。

しかし米ダウ平均株価は、午前の取引で471ポイント下落(約1.8%)したものの、最終的には0.3%安で取引を終了した。

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Image caption 先月4日にトランプ大統領と貿易協議を行なった中国の劉鶴副首相(左)は、予定通り9日に米ワシントンを再訪するとみられる

トランプ大統領の主張

トランプ大統領は5日、中国からの輸入品2000億ドル相当への関税率を現行の10%から25%に引き上げるほか、現在は課税対象外となっている3250億ドルの中国製品についても「間もなく」25%の関税を課す可能性があるとツイートした。

「中国との貿易交渉は継続するが、進展が遅すぎる。中国は再交渉をしようとしているが、ノーだ!」

さらに、米国は中国との貿易で年間5000億ドルの「損失」を被ってきたが、「悪いが、これ以上こんなことをやるつもりはない!」と投稿した。

昨年、米中は互いの輸入品に対し数十億ドル相当の関税を課す報復合戦を繰り広げた後、貿易協議を続けてきた。ここ数週間は、取引がまとまるのではないかとみられていた。

先には、中国・北京で通商協議を行なったスティーブン・ムニューシン米財務長官は、「生産的」な話し合いができたと話していた。

しかし報道によると、米国側は最近、両国ですでに合意に至っていたにも関わらず、中国側が同国内の法改正を必要とする合意を拒否したことにいら立っていたという。

ムニューシン財務長官は6日、記者団に対し、交渉の90%は完了したものの、中国の交渉担当者は「以前交渉した内容について再び交渉」しようとしたと述べた。

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Image caption 米国は中国にとって最大の輸出相手国だ

貿易協議は頓挫するのか

これまで米国は、不公正な貿易慣行を押し付けているとして中国を非難し、同国からの輸入品2500億ドル相当に関税を課してきた。

中国もこれに対抗する格好で、米国からの輸入品1100億ドル相当に関税を課し、米国が「経済史上、最大の貿易戦争」を始めたと非難した。

このようなトランプ大統領の脅しが、はたして交渉戦術になるのかどうか疑問視するアナリストもいる。

米シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」の貿易政策専門家、ウィリアム・ラインシュ氏はAFP通信に対し、中国が米国側の要求すべてを満たすことはできないだろうと指摘した。

「どこかの時点で、トランプ大統領は中国が彼の望み通りにすべて明け渡してはくれないということを理解することになるだろう」

ラインシュ氏は、トランプ大統領は、「弱腰だと批判されるであろう合意を受け入れるのか」、それとも「合意をせず、協議は失敗だったと批判されるのか」を迫られ、「不安定な政治的立場」に置かれるだろうと述べた。

関税率引き上げの影響

トランプ大統領の今回の動きにより、中国国内で製造された化学薬品から繊維製品、日用品に至るまで、5000品目以上の製品が関税対象になる可能性がある。

トランプ大統領は昨年9月、2000億ドル(約22兆3500億円)相当の中国からの輸入品に10%の追加関税をかけると発表。さらに、両国が通商協議で合意に至らなかった場合には今年1月に税率を25%に引き上げるとしていたが、その後交渉に進展がみられたため、税率引き上げは延期されていた

さらなる間税率引き上げへの不安感から、昨年末にかけて世界的に株価下落が続いた。

これを受け国際通貨基金(IMF)は、米中の貿易戦争が本格化すれば、経済回復を大きく落ち込ませる危険性があると指摘した。

(英語記事 China backtracking on trade deal, says US

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