南北軍事境界は「絶滅危惧種」の楽園 自然が手付かずのまま

Black Bear in DMZ Image copyright Ministry of Environment
Image caption 南北軍事境界線沿いの非武装地帯(DMZ)で絶滅危惧種のツキノワグマの姿が確認された

韓国政府は8日、南北軍事境界線沿いの非武装地帯(DMZ)で絶滅危惧種のツキノワグマを確認したと発表した。この地域に生息する絶滅危惧種は100種を超えるとされる。

韓国の工科大学がDMZの東側に設置したカメラが、ツキノワグマの姿をとらえた。

世界自然保護基金(WWF)によると、ツキノワグマは絶滅の危機に瀕している。

DMZには複数の植物や野生生物がおり、韓国政府はこの地域を生息地とする絶滅危惧種は100種を超えるとみている。

初めて映像で確認

政府高官は通信社・聯合ニュースに対し、「今回映像でとらえた熊は、生後8~9カ月くらいで体重は約25~35キロ。長い間DMZ周辺で生息するツキノワグマの子どもだと考えられる」と述べた。

これまで韓国軍の兵士から複数の目撃情報が寄せられていたが、写真や映像で確認されたことはなかった。

有刺鉄線、電気柵で囲まれた保護区

1950~1953年まで続いた朝鮮戦争の休戦協定の締結後に設定された、長さ250キロ、幅4キロにわたるDMZには、有刺鉄線や電気柵、監視カメラが設置されている。

フェンス越しに北朝鮮を眺めるため、毎年約650万人の観光客がDMZを訪れている。最近の南北融和ムードを受け、北朝鮮・鉄原と韓国・坡州近くのDMZにはハイキング・コースが設けられた。

韓国政府は長年、この地域の「エコ・ツーリズム地帯」化を計画している。

DMZに生息する生き物

南北に分断された状態のDMZは、手付かずのままの自然保護区となっている。韓国の環境省によると、5097種以上の動植物が生息している。

タンチョウヅルやクロツラヘラサギを含む絶滅が危惧される鳥類のほか、アムールヒョウやクロハゲワシ、ヨーロッパオオヤマネコなどの目撃情報もある。

米NGO団体「DMZフォーラム」のイ・スンホ代表はBBCに対し、「多くの研究者や学者が、地雷の影響で人間との接触がないこの地域には生物多様性があると強調している。アメリカの有名な生態学者の一部も、生物にとっての楽園だと言っている。ここにはすばらしい哺乳類や鳥類が生息しているが、研究者は植物や木や花などの人目を引く種に留まらないと指摘している」と述べた。

トラの足跡も

イ氏によると、トラの足跡が確認されているほか、複数の米兵がトラに似た物体を目撃したとの報告もあるという。

DMZ地域の未来は、「南北和平がどうなるかにかかっている」とイ氏は指摘する。

「もし何かがうまくいかなかった時に、何が起こりうるかを常に懸念している。私たちにとってはジレンマだ」

(英語記事 Rare Asiatic Black Bear spotted in DMZ

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