アサンジ被告、強姦容疑の捜査再開 引き渡しはスウェーデンかアメリカか 

Julian Assange Image copyright Getty Images
Image caption ロンドンの刑務所に収監されているジュリアン・アサンジ被告

スウェーデンの検察当局は13日、内部告発サイト「ウィキリークス」の共同創設者ジュリアン・アサンジ被告(47)に対する強姦容疑の捜査を再開すると発表した。

アサンジ被告をめぐっては、アメリカの捜査当局も身柄の引き渡しを求めており、今後の同被告の身柄の行方に注目が集まっている。

合意あったと否認

スウェーデンでの捜査再開は、強姦被害を受けたと訴えている女性の弁護士が検察当局に要求していた。

アサンジ被告にかけられている容疑は、2010年にストックホルムで開かれたウィキリークスの会合後、女性1人を強姦したというもの。別の女性1人に性的暴行を加えた容疑もかけられていたが、5年が経過して時効が成立したため捜査は終了となった。強姦容疑については2020年8月に時効となる。

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アサンジ被告は性行為は同意の上だったとして、容疑を否認している。捜査開始後の2012年にロンドンのエクアドル大使館に保護を求め、以来7年間、スウェーデンへの身柄引き渡しを逃れてきた。

そのためスウェーデンの検察当局は、捜査継続が難しいとして、2017年に打ち切りを発表していた。

英警察の逮捕で捜査可能に

しかし先月、ロンドン警視庁がアサンジ被告を裁判所に出頭しなかった容疑で逮捕した。アサンジ被告は裁判で禁錮50週を言い渡され、現在はロンドンのベルマーシュ刑務所に収監されている。

検察当局はこの日、アサンジ被告が強姦したと「疑うことができる原因がある」として、捜査の再開を発表した。

検察当局は「アサンジ被告がエクアドル大使館を出たことで状況が変わった。再び捜査が可能な状況になった」とし、欧州逮捕状をとる方針を明らかにした。

アメリカか、スウェーデンか

特に注目されているのは、イギリスがアサンジ被告の身柄をどの国に引き渡すかだ。

アメリカは、アサンジ被告が同国のコンピューターシステムに不法侵入したとして、身柄の引き渡しをイギリスに求めている。2010年にウィキリークスで米軍の機密情報を公開したとして、同被告を逮捕して捜査する方針を明らかにしている。

米への引き渡しに懸念

スウェーデン検察の捜査再開について、ウィキリークスのクリスティン・フラップソン編集長は声明を出し、アサンジ被告に「汚名を晴らす機会」が訪れたと述べた。

「スウェーデンには捜査再開を求める大きな政治的圧力がかかっているが、この事件は政治的圧力がつきものだった」と、フラップソン編集長は表明した。

アサンジ被告の弁護士はスウェーデンの放送局SVTの取材に、捜査再開は「スウェーデンにとって恥ずかしいことだ」と批判。同被告は事件の解決を望んでいるが、アメリカへの身柄引き渡しを恐れていると述べた。

一方、被害を訴えている女性の弁護士は記者会見で、捜査再開の決定に「とても満足している」と述べた。

ロイター通信は、アサンジ被告の身柄の取り扱いについて、英当局は1年半以内に決定するだろうという専門家の見方を伝えている。

<分析>今後どうなる? ――クライヴ・コールマン司法担当編集委員

スウェーデンは以前、アサンジ被告について欧州逮捕状をとって身柄の引き渡しを求めていたが、それを取り下げたため、アメリカの身柄引き渡し要求のほうが優先順位は高い。ただし今回、スウェーデンは新たに欧州逮捕状をとると表明している。

そうなった場合、どちらに優先権があるのかは、イギリスのサジド・ジャヴィド内相が決めることになる。内相は主に、どちらの事件がより深刻かをもとに判断する。

強姦はおそらく、コンピューターの不法侵入より重罪とみなされるだろう。その点では、アサンジ被告はスウェーデンに引き渡されると考えられえる。

アサンジ被告はイギリスの裁判所を通してスウェーデンへの引き渡しに反対しており、今回も同じ対応が予想される。人権の保護と健康上の理由を挙げて、引き渡しに抵抗するとみられる。

(英語記事 Sweden reopens Assange rape inquiry

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