全米で最も厳しい中絶禁止の州法が成立 アラバマ州

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米アラバマ州、厳格な中絶禁止法案を可決

米アラバマ州のケイ・アイヴィー知事は15日、人工妊娠中絶を全面的に禁止する法案に署名した。レイプや近親相姦による妊娠でも中絶は認めない、全米で最も厳しい中絶禁止法が成立した。

アラバマ州議会上院は前日の14日、この法案を、賛成25、反対6で可決した。妊娠何週目かを問わず、レイプや近親相姦による妊娠でも中絶は認めない内容。

アイヴィー氏は中絶に強く反対しているとされる。

最高裁判決の転覆狙う

先月30日に同州議会下院で賛成74、反対3で可決されたこの州法案では、母体保護の目的でのみ例外的に中絶が認められる。

今年に入り全米50州のうち16州で、中絶権を制限する州法案が提出され、複数の州で可決されている。

中絶反対派は、たとえこうした州法が下級審で違憲と判断されても、連邦最高裁まで争う構えだ。連邦最高裁が人工中絶を女性の権利として認めた1973年の「ロー対ウェイド」判決を覆すことを、最終的な目的としている。

ドナルド・トランプ大統領による最高裁判事2人の指名によって、連邦最高裁の構成は保守派優勢に傾いている。そのため中絶反対派はこの機を捉えて、人工中絶を全米で違法にする最高裁判決を求めていく見通し。

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Image caption 中絶反対派のクライド・チャンブリス州上院議員(共和党)は、中絶を合法化した1973年の「ロー対ウェイド」判決に対抗する方針

全米女性機構(NOW)は、アラバマ州の法案は「違憲」であり、「選挙に向けて、中絶反対候補への支援を集めるのが目的なのは見え見え」だと批判している。

全米家族計画連盟(PPFA)のステイシー・フォックス氏は14日、「アラバマ州と全米の女性にとって暗澹(あんたん)たる日」だとコメントした。フォックス氏はアラバマ州の議員は「賛成票を投じたことを永遠に非難されながら生きていくことになるし、この事態が誰の責任なのか全ての女性に知らしめていく」と述べた。

アラバマ州議員の主張

州議会上院のテリー・コリンズ議員(共和党)は同日、「我々の法案は、子宮の中にいる胎児は人間だと認定している」と述べた。

同じく中絶反対派のクライド・チャンブリス議員(共和党)は、法案が成立すればそれをもとに、中絶を合法化した「『ロー対ウェイド』判決の是非について最高裁に直接判断を求める」ことができるようになると述べた。

一方、民主党のボビー・シングルトン議員は、この法案は「医師を有罪にする」もので、「女性に向かって、あなたたちの体はこう使えと男が命令」できるようにするものだと批判した。

法案審議に先立ち、ロジャー・スミザーマン議員(民主党)は、「近親相姦とレイプによって妊娠した12歳の少女に、(出産する)ほかにどうしようもないと告げるに等しい」と主張していた。

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Image caption 中絶反対派は法案可決を歓迎している

法案の内容

アメリカでは昨年から、オハイオ、ミシシッピー、ケンタッキー、アイオワ、ノースダコタ、ジョージアの各州で、胎児の心拍が確認できるようになった時点で中絶を禁止とする厳しい中絶禁止法が次々と成立している。胎児の心拍が確認できるのは一般的に妊娠6週目ごろとされる。

今回アラバマ州で可決された法案は妊娠中のどの時期でも人工中絶を禁止する、これまでで最も厳しい内容だ。時期を問わず妊娠を中絶すれば、最も重い重罪となる可能性がある。

医師が中絶手術を試みた場合は禁錮10年、実際に中絶手術を行なった場合は禁錮99年の量刑が言い渡される可能性がある。

中絶手術を受けた女性は刑事責任を問われないという。

一方、母体への深刻な危険が生じた場合には、中絶が認められるという。

法案は、旧ソ連の「スターリンの強制収容所やカンボジア(ポル・ポト政権)のキリング・フィールド」が殺した人数より多くの胎児が、人工中絶で殺されたと書いている。

(英語記事 Alabama passes bill banning abortion

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