老舗菓子メーカーの後継者、ナチス時代の強制労働擁護で謝罪 ドイツ

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Image caption バールセンの後継者のヴェレナ・バールセン氏(25)

ドイツの老舗ビスケットメーカー「バールセン」の後継者の女性が、同社がナチス時代に強制労働者を使っていたことについて「何も悪いことはしていない」と発言し、その後、謝罪に追い込まれた。

ヴェレナ・バールセン氏(25)の発言は「歴史を無視した」ものだと批判され、会社もヴェレナ氏を擁護しなかった。

ヴェレナ氏はその後、声明を発表。発言が不適切だったと認め、「この議論を考えなしのやりとりで拡大させてしまったのは間違いだった」と謝罪した。

バールセンは1889年の創業で、「ライプニッツ」というチョコビスケットが有名。1943~1945年に強制労働者を使っていた。多くは、ナチス支配下のウクライナから連れて来られた女性だった。

「私はバールセンの4分の1を保有している」

ヴェレナ氏の発言は、先週行われたマーケティング会議で行われたもの。この席でヴェレナ氏は参加者に対し、「私は資産家だ。バールセンの4分の1を保有しているし、ヨットなどを買いたいと思っている」と話した。

地元紙ハンデルスブラットによると、会議の参加者はヴェレナ氏のこうした発言に拍手したり笑ったりしていたが、ソーシャルメディア上では、自分の財産について気軽に話すのは、バールセンが過去に行った強制労働者への搾取に対して無神経だという批判が相次いだ。

その後、こうした批判について地元紙ビルトから取材を受けたヴェレナ氏は、「それは私より前の時代のことで、強制労働者にもドイツ人労働者と同じように賃金を払い、同じような待遇をしていた」と答えた。

また、バールセンは企業としてこのことに罪悪感を覚える必要はないと述べ、論争の火に油を注いだ。

発言への反応は?

ベルリンにあるナチス強制労働記録センターはツイッターで、「ところで、私たちの展示は誰もが見ることができます。知識にギャップがあるのはバールセン一家だけではありません。ナチスによる強制労働の問題は、集団の記憶の中で空白になってしまっていることが多いのです」とコメントした。

ホロコースト(ナチスの強制収容所)で家族を殺された、科学者のガイ・シュテルン氏(97)もヴェレナ氏の発言を批判し、ヴェレナ氏は強制労働者について「後継者という高い立場から発言している」と指摘した。

連立与党に属する社会民主党(SPD)のラース・クリングバイル氏は、「ばく大な富を相続する人は責任も共に相続すべきで、傲慢になってはいけない」と述べた。

歴史家・作家のフェリクス・ボール氏は雑誌シュピーゲルでこの問題について、ヴェレナ氏はバールセンの過去は変えられないが「その歴史的な責任に直面しなくてはならない」、「ヴェレナ氏は歴史に対して無神経だ」と批判した。

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Image caption バールセンはドイツで最も有名なビスケットメーカーのひとつ

ヴェレナ氏は15日に謝罪の声明を発表し、発言が配慮が足りなかったことを認めた。

声明では、「国家社会主義やその結果を過小評価するつもりは全くなかった」と弁明している。

その上で、バールセンの企業としての歴史をもっと学ぶことが必要だと気付いたと説明した。

「次の世代を担う者として、社の歴史にも責任がある。傷つけてしまった方々にはきちんとお詫びしたい」

(英語記事 Biscuit heiress apologies for Nazi comments

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