北朝鮮 「過去37年間で最悪の干ばつ」 食糧不足が深刻化

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1982年以降最悪とされる干ばつに見舞われている北朝鮮
北朝鮮が干ばつに見舞われ、食糧不足が深刻化している。国営メディアは1982年以降最悪の干ばつだとし、国民に農作物の不作と「闘う」よう呼びかけている。
北朝鮮の食糧事情については、最大1000万人が「緊急の食糧支援を必要としている」と国連が指摘している。今年に入ってからは、同国民は1日300グラムの食べ物で暮らしていると報告している。
国営朝鮮中央通信によると、北朝鮮の今年1~5月の降水量は計54.4ミリメートルで、過去37年間で最も少ない。
同国の労働新聞は、「かつてないほど水が必要だ」とし、干ばつ被害を防ぐため、同国は「激しい闘い」にあると訴えた。
また、「農家は干ばつ被害が出ないよう、なんとしても畑を守らなくてはならない」と呼びかけた。

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北朝鮮国営メディアは、干ばつ被害を防ぐための「激しい闘い」を繰り広げるよう呼びかけた
国連の世界食糧計画(WFP)と食糧農業機関(FAO)が先月公表した共同報告書では、北朝鮮の昨年の農作物の生産量は2008年以降で最低レベルだったとされる。
また、全人口の40%に当たる1000万人が食糧不足に直面していると記した上で、「5~9月の収穫が少ない時期に状況は悪化する恐れがある」と警告している。
北朝鮮では1990年代、深刻な飢饉が発生し、数十万人が栄養失調で死亡したとみられている。
今回の干ばつ被害が当時に匹敵するとの予兆は今のところない。だが、農作物の不作は国内全域で見られる。
「150万トンの食糧が必要」
北朝鮮のニュースが専門のNKニュースのオリバー・ホサム氏は、「北朝鮮ではすべてそうだが、データが不透明なので、どれほど深刻かわからない」と述べた。ただし、公表されたデータが正確であれば、同国は150万トン程度の食糧を輸入しないと生産量の不足は補えないと指摘した。
ホサム氏はまた、「北朝鮮は自然災害に非常に弱い。農業技術が遅れていて、公衆衛生や食糧不足の問題が以前から続いているからだ」と説明する。

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飢餓が発生した場合、子どもたちへの影響は特に大きい
核開発を続ける北朝鮮に対しては、国連の安全保障理事会が2006年以降、経済制裁を強めている。北朝鮮は制裁が食糧不足に直結していると主張しているが、実際にどれくらい影響しているかは明確ではない。
経済制裁は人道支援を禁じてはいない。ただ、現実に北朝鮮に食糧を運び込めるのは、ごく限られた団体だけだ。そうした団体も、経済制裁によって、活動が難しくなっているとされる。
2017年には国際NGOセーブ・ザ・チルドレンが、活動が困難になったとして北朝鮮から撤退している。