米高官、「戦争ではなく抑止」強調 対イラン政策めぐり議会で説明

Acting US Defence Secretary Patrick Shanahan testifies before a House Appropriations Defense Subcommittee hearing Image copyright Reuters
Image caption アメリカのパトリック・シャナハン国防長官代行は、同国はイラン問題について「非常に慎重に」対応していると述べた

イラン核合意をめぐりアメリカとイランの対立が悪化する中、パトリック・シャナハン米国防長官代行は21日、同国の報復措置がイランからの攻撃を「抑止」していると述べ、同政府の狙いは戦争ではないと強調した。

シャナハン国防長官代行は米議会で上下両院議員に対し、非公開で対イラン政策について説明した。

米政府は今月上旬から、湾岸地域の空母打撃群に戦略爆撃機や強襲揚陸艦などを追加し、一帯の兵力を増強しており、両国の緊張は高まっている。

ドナルド・トランプ米大統領は19日、「もしイランが戦いたいなら、それでイランは正式に終わりだ。二度と合衆国を脅すな!」とツイートした。

昨年5月にアメリカがイラン核合意から一方的に離脱して以降、トランプ大統領は強硬な対イラン政策を継続してきた。

ジョン・ボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は長年、イランの体制変更を提唱しており、以前からアメリカによるイラン爆撃を求めている。

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シャナハン氏の主張

シャナハン国防長官代行は記者団に対し、アメリカの狙いは戦争ではなく、「抑止」だと主張した。

マイク・ポンペオ国務長官やジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長と共に、連邦議会の上下両院で議員説明を行なったシャナハン氏は、「我々の取っていた手順は非常に慎重なものであり、イランによるアメリカへの攻撃の可能性を抑止してきている。これが極めて重要だ。脅威は依然として高いと思う。我々の仕事は、イランによる計算ミスが絶対にないようにすることだ」と述べた。

シャナハン氏は、イラン問題に関する「信頼性のある情報」について詳細は明かさなかったが、「イランが耳を傾けていることを願うだけだ。我々は多くのことに取り組むためにこの地域で活動しているが、それはイランと戦争を始めるためではない」と付け加えた。

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アメリカとイランの関係悪化 何がどうなったのか

複数報道によると、説明会では時折議論が白熱したほか、説明後には一部の民主党議員が、政府が情報をゆがめていると政権幹部を非難したという。

ルーベン・ガイェゴ下院議員は、「なぜイランと戦争をする話をしなくてはならないのか、その理由を示す情報はなかった」と述べた。

イランは2015年、同国に対する経済制裁の緩和と引き換えに同国の核開発計画を制限するための、包括的共同作業計画(JCPOA)に合意した。また、アメリカの核合意離脱にもかかわらず、関係国に合意を維持するよう求めている。

しかしJCPOAの今後は不透明感を増している。イラン政府高官は20日、同国が低濃縮ウランの製造を4倍に増やしたと明らかにした(ただしこの増量は現時点では、合意の範囲内に収まっている)。

緊張の背景は

イラン産原油の輸入を禁止する経済制裁をめぐり、アメリカは今月、日本などに認めていた制裁の適応除外を打ち切った。イラン政府は否定しているものの、同国の主要な財源である原油輸出をゼロにする狙いがある。これを受けて、アメリカとイランの緊張が高まっている。

トランプ大統領は、2015年のイラン核合意から米国が昨年5月に離脱したことを受け、イランへの制裁を再開した。

イランのハッサン・ロウハニ大統領は8日、2015年に締結した核合意について履行の一部を停止したと表明した。

今月上旬、アメリカは、イランに関する「厄介で、エスカレートする可能性のある兆候」があるとして、米軍の空母エイブラハム・リンカーンや戦略爆撃機B-52などをペルシャ湾に派遣した。

ペルシャ湾のアラブ首長国連邦(UAE)沖では12日、サウジアラビアやノルウェー船籍のタンカーなど4隻が「妨害攻撃」を受けた。米政府は、イランまたは同国が支援する組織が関与したとみている。

また、サウジアラビアは14日、同国の石油関連施設が、イランを後ろ盾とするイエメンのイスラム教シーア派の武装組織「フーシ派」によるドローン攻撃を受けたと発表。これにより、主要な東西石油パイプラインの一時閉鎖を強いられた。イラン政府はこれらの事案への関与を否定している。

共和党のリンジー・グレアム上院議員は21日の説明会で、どちらの事案も「イラン政府によって計画、指示」されたものだと述べたとされる。

複数の未確認の報道は、アメリカや地域安全保障の関係者によると、イランは同国の港でボートにミサイルを積んだほか、イラクの駐留米軍基地の近くで、イランの支援を受けるイラクの民兵組織がロケット弾を配置したと伝えている。

他の国々の反応は

イギリスのジェレミー・ハント外相は20日、ジュネーヴで記者団に、「イランの人々に言う。アメリカの決意を過小評価してはならない」と語った。

さらに、「アメリカはイランとの戦争を望んでいない。しかし、アメリカの国益が攻撃されれば報復するだろう」、「緊張が和らいでほしい。偶発的な出来事が引き金となり得るからだ」と述べた。

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Image caption 米軍の空母エイブラハム・リンカーンがペルシャ湾に派遣された

一方、サウジアラビアのアデル・アル・ジュベイル外相は、「戦争は起きてほしくないし、求めてもいない。回避のためできる限りのことをする」と述べた。

また、「ただ同時に、他方が戦争を選ぶなら、我々は武力と意思をもって自国と国益を守る」との考えを示した。

かつてアメリカとイランの秘密会談を仲介したオマーンのユースフ・ビン・アラウィ外相は20日、イランの首都テヘランを訪れ、ザリフ氏と地域問題について話し合った。

(英語記事 Iranian threats 'put on hold', says US

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