「ユダヤ人は帽子着用を控えて」 ドイツ高官が発言、反発招く

A man wearing a Jewish skullcap Image copyright Getty Images
Image caption 男性ユダヤ教徒の伝統的な帽子「キッパ」

ドイツの反ユダヤ主義政策を担当している政府高官がこのほど、ユダヤ人に対し、公の場ではユダヤ教徒の伝統的な帽子「キッパ」の着用を控えるよう求め、反発を招いている。

ドイツにおける反ユダヤ主義の高まりを受け、政府で反ユダヤ主義対策に取り組むフェリクス・クライン氏が国内の一部でのキッパ着用を自粛するよう注意した。

クライン氏は、キッパ着用についての自らの考えが「以前と比べて変わった」と述べた。

これに対し、イスラエルのルーベン・リブリン大統領は、「ドイツの地において、ユダヤ人は安全ではないと再び認めたものだ」と非難した。

クライン氏は何を言った?

クライン氏は、ドイツの新聞グループ・フンケの取材に、「ユダヤ人がいつでも、ドイツのどこでも帽子を着用することは勧められない」と述べた。

また、反ユダヤ主義的犯罪が急増している背景には、社会の「抵抗感とがさつな感覚の高まり」があるとの考えを明らかにした。

さらに、インターネットやソーシャルメディア、「(ナチス・ドイツによる迫害を忘れないようにする)我々の『記憶の文化』への絶え間ない攻撃」も要因かもしれないと述べた。

その上で、警察官や教師、法律家たちに対し、「反ユダヤ主義と向き合う」ときに「何が許され、何が許されないか」を明確にできるよう、訓練を受けることを求めた。

イスラエル大統領の反応は?

リブリン・イスラエル大統領は、クライン氏の発言に「ショックを受けた」と表明。「反ユダヤ主義の容認だ」と批判し、こう述べた。

「我々は反ユダヤ主義を決して受け入れず、決して目を伏せず、決して対抗もしない。同盟国にも同様の行動を期待し要求する」

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ユダヤ人を狙った犯罪が急増

ドイツでは昨年以来、反ユダヤ主義の影響とみられる犯罪が急増している。

政府の統計では、昨年1年間にユダヤ人を狙ったヘイトクライム(憎悪犯罪)は、前年比10%増の1646件に上った。

ユダヤ人に対する暴力行為も、2017年の37件から昨年は62件に急増した。

カタリナ・バーリー司法・消費者保護相は、ドイツの新聞ハンデルスブラットの取材に対し、反ユダヤ主義的な犯罪が増加しているのは「我々の国にとって恥だ」と述べた。

反ユダヤ主義問題に取り組む弁護士のクラウディア・ヴァノーニ氏はAFP通信のインタビューで、ドイツ社会にはユダヤ人に対する偏見が「深く根付いている」と指摘。

「反ユダヤ主義は常に存在してきた。しかし最近は、より声高になり、攻撃的になり、目に余るようになったと思う」と話した。

なぜ反ユダヤ主義が高まっている?

ユダヤ人団体は、欧州全体で極右グループの人気が上昇し、反ユダヤ主義や少数派への憎悪を増幅させていると指摘している。

ドイツでは2017年以降、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が有力な野党になっている。同党は反移民政策を掲げているが、反ユダヤ主義の考えはないと主張している。

しかし、ナチスのホロコーストに関連するものを含む、同党の政治家たちのいくつもの発言が、ユダヤ人団体や他党の政治家たちの批判の的となっている。

欧州で暮らすユダヤ人数千人を対象にした昨年の調査では、反ユダヤ主義の高まりを心配する人が多数を占めた。

(英語記事 German Jews warned not to wear kippas

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