トランプ米大統領、「合意なしブレグジットも視野に」 ファラージ氏を支持

Donald Trump and Nigel Farage Image copyright Getty Images
Image caption ブレグジット党のマイケル・ファラージ党首(左)は、2016年のアメリカ大統領選でトランプ氏の応援に駆けつけた

イギリス公式訪問を控えたドナルド・トランプ米大統領は2日、イギリスの欧州連合(EU)離脱交渉を批判し、EUとの合意のないブレグジット(イギリスのEU離脱)に備えるべきだと発言した。

国賓としての初訪英を前にトランプ氏は、英日曜紙サンデー・タイムズの取材でブレグジット党のナイジェル・ファラージ党首を交渉の席に着かせるべきだとも主張した。

また、テリーザ・メイ英首相の退任発表を受けて始まった与党・保守党党首選をめぐっては、合意なしブレグジットを支持しているボリス・ジョンソン前外相が「すばらしい」次期首相になるだろうと話した。

<関連記事>

トランプ氏はこの記事で、メイ首相を長年批判してきたファラージ氏はEUとの交渉における「提案をたくさん持って」いるため、交渉に参加すべきだと話した。

「もし(ブレグジット党が)交渉に参加していたらどれだけうまくやっただろう」

また、「要望どおりの協定、公平な協定が得られないなら席を立つべきだ」とも述べ、ブレグジット交渉で要求が通らない場合には交渉決裂も辞さないべきだとも発言した。

その上で、EUとの貿易損失を補うためにも、イギリスがEUを離脱した際には数カ月以内に2国間の通商協定を結ぶことに「全力を注ぐ」としている。

<関連記事>

2016年の米大統領選中には、ファラージ氏がトランプ氏の支持者集会で演説し、11月にトランプ氏が当選すると、英政治家としてはファラージ氏が真っ先にニューヨークのトランプ・タワーを訪れ、面会している。またトランプ氏は大統領に当選して間もなく、ファラージ氏を英政府の駐米大使にすべきだと発言していた。

トランプ氏は3日から3日間の日程でイギリスを公式訪問する。初の国賓待遇で、エリザベス女王と昼食をとり、チャールズ皇太子夫妻とお茶を共にするほか、バッキンガム宮殿で開かれる公式晩餐会に出席する。

一方でロンドンのサディク・カーン市長は、トランプ大統領の訪英に際し、トランプ氏は「世界的な脅威を広げている最も悪質な例」だと批判した。

NHSも交渉対象?

BBCの報道番組「アンドリュー・マー・ショー」に出演した、アメリカのウディ・ジョンソン駐英大使は、英国内でトランプ氏訪問への抗議が高まっているたものの、大統領訪英は「なにもかも素晴らしくうまく行くはずだ」と期待を示した。

さらに大使は、ブレグジット後の英米通商条約の可能性については、「アメリカの食物供給は欧州と同じくらい安全だ」と述べた半面、通商条約締結に当たっては、イギリスは必ずしもアメリカの農業水準を受け入れる必要はないと語った。

ブレグジットをめぐっては、国民保健サービス(NHS)はイギリスの「国の誇り」だと述べたが、EUとの合意締結のためには、医療を含めた「全てを交渉材料にしなくてはならない」と話している。

トランプ大統領の意見

Image copyright PA/AFP
Image caption (左から)ジェレミー・コービン労働党党首、ブレグジット党のマイケル・ファラージ党首、保守党党首選に立候補しているボリス・ジョンソン前外相
  • ジェレミー・コービン労働党党首について: 労働党政権が成立した場合にアメリカは情報共有を行うかという質問に対し、トランプ氏は「コービン党首を知らなくては、まずは会わなくてはいけない」と述べた
  • ブレグジットについて: イギリスが清算金として390億ポンド(約5兆3600億円)を支払うことについては、「自分なら払わない。ものすごい額だ。そんな金額は私は払わない」と話した。
  • ブレグジット党のファラージ党首について: 「(2016年の大統領選で)僕の選挙活動を気に入って、集会まで会いに来てくれたので、知り合いになった。最高にいい人だ。本当に、最高の人だ」
  • 英米通商条約: 「圧倒的に世界一の大国と直接交渉できるようになるのが、ブレグジットの利点のひとつだ」
  • ジョンソン前外相がイギリス首相になったら: 「見事にやるはずだ。私にもアメリカにもとても好意的なので」

イギリスには批判も

ロンドンのカーン市長は日曜紙オブザーバーへの寄稿で、「世界中で極右勢力が拡大している。私たちが70年以上にわたって苦心して勝ち取ってきた、リベラルで民主主義的な社会における権利や自由、価値観を脅かしている」と書いた。

カーン市長とトランプ氏は、トランプ氏が大統領選中にイスラム教徒の入国禁止方針を発表して以来、衝突を繰り返している。市長は昨年7月のトランプ氏訪英にも強く反対し、トランプ氏に似せて作られた「赤ちゃんトランプ」巨大風船のロンドン上空飛行を許可していた。

労働党のコービン党首は4月にトランプ大統領の訪英が決まった際、大統領の「人種差別、女性差別的な発言」に抗議するため、バッキンガム宮殿での晩餐会を欠席すると発表している。

トランプ氏は昨年夏の訪英では、大勢が抗議に集まったロンドン中心部には入らず、郊外のウィンザー城やロンドン北西にあるブレナム城などで行事に出席した後、スコットランドのゴルフ・リゾートで過した。

(英語記事 Trump: Prepare for no deal and send in Farage

この話題についてさらに読む