「謹慎説」の金与正氏、正恩夫妻とマスゲーム鑑賞 対米担当者は生存か

Kim Yo Jong and Kim Jong-un Image copyright KCNA
Image caption 金与正氏(左)は兄の金正恩朝鮮労働党委員長からそう遠くない席でマスゲームを鑑賞した。隣は正恩氏の妻、李雪主(リ・ソルジュ) 氏

北朝鮮の国営メディアは4日、決裂に終わった2月末の米朝首脳会談をめぐり謹慎中だと一部で報じられた金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の実妹、与正(ヨジョン)氏が3日、平壌でマスゲームを鑑賞したと報じた。同氏が公の場に姿をみせたのは約2カ月ぶり。

与正氏は過去2年間、兄・正恩氏の側近として、ドナルド・トランプ米大統領との昨年6月のシンガポール会談と、今年2月のハノイ会談に同行した。

韓国紙・朝鮮日報は先月31日、ハノイ会談が物別れに終わった責任を問われ、与正氏が謹慎処分を受けたと報じていた。

今回の朝鮮日報の報道では、金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長が労役刑になったほか、金赫哲(キム・ヒョクチョル)対米特別代表が平壌の空港で銃殺刑になったとも伝えられた。ただ、匿名情報筋の話を根拠にしていた。

その後、英哲氏が2日に正恩氏らと共ににコンサート会場に現れたと、朝鮮中央通信(KCNA)が報じた。今回のマスゲームでも英哲氏の姿が確認されている。

赫哲氏は生存か

赫哲氏の消息をめぐっては、真偽は不明のままだ。コンサートやマスゲームでその姿は確認されていないが、国営メディアは同氏が処刑されたとは伝えていない。

一方で米CNNは4日、複数の匿名筋の話として、朝鮮日報の報道は間違っており、赫哲氏は生存していると報じた。現在は拘束されており、ハノイ会談での同氏の責任について追及されているという。

与正氏の政治的地位

一連の報道はいずれも検証不可能なため、北朝鮮政府における最新の序列は、公式写真で労働党幹部が座る位置関係から推量するしかない。

北朝鮮専門サイト「NK Pro」のアナリスト、イ・ミニョン氏は、複数の写真には与正氏が正恩氏から離れた場所にいる様子が写っており、同氏が党政治局から退いているようだと指摘した。

一方でマスゲーム中の与正氏は、正恩氏から2つ目の席と近い位置に座っている。しかし、このような公演の場では席順の基準があいまいなため、序列の解釈は難しいと、イ氏は付け加えた。

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Image caption 北朝鮮のマスゲームは大規模なプロパガンダショーだ

正恩氏がマスゲームを批判

KCNAによると、正恩委員長はマスゲーム終演後にメンバーを呼びつけ、「誤った創作・創造気風、無責任な働きぶりについて深刻に批判した」という。

マスゲームは何万人も動員して行なわれる大規模なプロパガンダショーで、国を祝い、国民の士気を高めることを目的としている。

正恩氏は今年3月、宣伝扇動活動には「これまでにないやり方」が必要だと述べた。それ以降、同国国営メディアは「ブルジョア生活様式」や「非社会主義現象」を牽制(けんせい)する報道を続けていると、イ氏は話す。

アメリカとの協議が行き詰まって以降、北朝鮮は経済とイデオロギーにおいて、今まで以上に孤立する事態に備えているとみられる。

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Image caption 正恩氏は宣伝扇動活動の強化を求めている

(英語記事 Kim Jong-un criticises 'wrong spirit' of mass games

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