豪警察が公共放送を家宅捜索、機密情報の報道めぐり

Police officers walking into ABC building Image copyright ABC News
Image caption ABCは「今回の捜査には報道の自由に関する法的懸念がある」と批判している

オーストラリアの公共放送、オーストラリア放送協会(ABC)の本社で5日、連邦警察が家宅捜索に入り、議論を呼んでいる。

捜索令状は、ABCの記者2人とニュースディレクター1人の名前を挙げている。ABCは強制捜査に抗議している。

ABCは、今回の家宅捜索は2017年7月10日にABCが発表した「ザ・アフガン・ファイルズ」という報道シリーズに関連するものだとみている。このシリーズで同局は、「オーストラリア軍がアフガニスタンで行った違法行為や不法殺人疑惑」を明らかにした。「ABCにもたらされた何百ページにもおよぶ極秘の国防省文書に基づいた報道」だという。

警察は4日にも、機密情報を漏えいした疑いで大手メディア、ニューズ・コープ・オーストラリアの記者宅を調べているが、今日のABC家宅捜索とは無関係だと説明している。

連邦警察は声明で、ABCに対する家宅捜索は「機密情報を公表した疑い」に関するものだと発表。「捜索令状は2017年7月11日に国防軍司令官と当時の国防相からの照会を受けたもの」と説明した。

一方で、オーストラリアの代表的な報道労組は、「ジャーナリストに対する警察の強制捜査が普通のことになりつつある。止めなくてはならない」、「国民の知る権利への攻撃にほかならない」と強く批判している。

警察が強制捜査を始めた5日朝から、ABCの記者たちがその様子をツイッターで実況している。

ABCの調査報道チームを率いるジョン・ライオンズ編集長は、「連邦警察がハードドライブへのアクセスを始めた。捜査チームのトップによると『少し時間がかかる』らしい。6人の警察官がABCのコンピューターシステムの中核に入ろうとしている、正に対決の場面だ。これが自由なメディアだろうか?」とツイートした。

ABCは「ジャーナリストの側に立つ」

ABCはデイヴィッド・アンダーソン社長の名前で声明を出し、「今回の捜査には報道の自由に関する正当な懸念がある」と述べた。

「ABCは所属ジャーナリストの側に立ち、情報源を守り、明らかに公共の利益になる場合には、国家安全保障や情報機関に関する問題だろうと、恐れず偏らず報道していく」

Image copyright ABC News
Image caption ABC側の弁護士と警察の捜査員

ライオンズ局長はツイッターで、「この捜索令状はあまりに強力で、私はまだ愕然(がくぜん)としている」と述べた。

「令状は連邦警察に、ABCのコンピューター内の情報を『追加、複製、削除、変更』する権限を与えている。全てのオーストラリア国民の皆さん、これがどういうことか考えてもらいたい。連邦警察はただいま、ABCのコンピューター内に入っている情報を削除する権限を持っている。2019年のオーストラリアで」

ABCニュースのゲヴィン・モリス報道局長は、自分と共に捜索令状に名前を書かれた2人のジャーナリストを擁護した。

「はっきり言う。ダニエル・オークスとサミュエル・クラークはABCニュースでも特に優秀なジャーナリストだ」とモリス氏はツイートした。

「誠実で、オーストラリア市民のために真実を伝えようと努力している。(4日に家宅捜索された)アニカ・スメサーストと同じだ。困難な職務に当たる彼らを誇りに思う」

オーストラリアでは18日の下院総選挙で、2013年から政権を担う与党保守連合(自由党、国民党)が野党・労働党を破り、政権を維持。大方の予想と異なり、スコット・モリソン首相が続投する結果となった。

野党・労働党はピーター・ダットン内相に、相次ぐ報道関係者への強制捜査について説明を求めている。

(英語記事 Police raid Australia's public broadcaster ABC

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