「容疑者引き渡し案は引っ込めない」 デモ翌日、香港の行政長官が断言

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Image caption 条例改正案は変えないと表明したキャリー・ラム行政長官

中国本土への犯罪容疑者の引き渡しを可能にする条例改正案に反対する大規模デモが開かれたことを受け、香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は10日、条例改正案を取り下げる考えはないと記者会見で表明した。

前日9日に開かれたデモ行進には、主催者発表で約100万人、警察発表で24万人が参加。7月までに条例改正にこぎ着けたいラム氏に、香港市民が断固たる「ノー」を表明したものと受け止められている。

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Image caption 9日のデモには香港で過去最大規模の数十万人が参加した

「北京主導ではない」

会見でラム氏は、条例改正は必要であり、人権保護の対策は準備されていると説明。香港の自由が侵害される恐れはないと主張した。

また、改正案は「北京が主導したものではない」と述べ、「良心」と「香港への責任」から提案されたものだと強調した。

さらに、条例改正後は定期的に適用状況を立法会(議会)に報告するとの考えを明らかにした。

「外国勢力」の影響

一方、中国本土の国営メディアは10日、香港の大規模デモを強く非難。背後に「外国の勢力」が存在すると報じた。

国営の英字紙・中国日報は、「香港住民の中には、反対派やその外国の仲間たちにだまされ、引き渡し反対の運動に加わっている者がいる」と説明。「公平な心の持ち主なら誰でも」、「とうに遅すぎるくらいの」今回の条例改正案を支持するだろうと論評した。

また、改正案には、「法の抜け穴をふさぎ、香港が犯罪者の安全地帯になるのを防ぐ」狙いがあると論じた。

9日の大規模デモの報道は、中国本土では厳しく規制されている。外国メディアへのアクセスは妨害され、ソーシャルメディアでデモを検索すると、中国政府に友好的な香港のサイトへと誘導される。

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デモ行進の終了後、参加者の一部と警官隊が衝突した

1国2制度を維持

かつてイギリスに統治され、1997年に中国に返還された香港は、「1国2制度」の原則のもと高度な自治が認められている。独自の条例をもち、住民は中国本土では認められていない自由を享受している。

香港は現在、イギリスやアメリカなど20カ国と引き渡し協定を結んでいるが、中国政府とは協定を結んでいない。そのため、中国本土や台湾、マカオで起きた殺人などの凶悪事件で、容疑者を現地の捜査当局に引き渡すには、「逃亡犯条例」を改正する必要があると香港政府は主張している。

<解説>「よき戦士」の困難な闘い――グレイス・ツォイ、BBCニュース、香港

どちらの人数を信じるにしろ、今回のデモは香港ではとてつもなく大規模だ。議論の分かれるこの条例改正案は、香港社会の予想もしなかった場所からも、反対の声を生み出している。

2年前、キャリー・ラム氏は「私たちはつながる(We Connect)」を掲げて行政長官に立候補した。2014年に79日間続いた民主化運動「雨傘運動」のあと、社会には深い亀裂が生じていた。ラム氏は決して人気のある候補ではなかったが、中国政府の後押しを受けて当選した。

女性初の行政長官であるラム氏はずっと、有能で経験豊富な官吏と思われてきた。厄介な問題にも手腕を発揮することから、「よき戦士(good fighter)」というあだ名をもつ。一方で、ごう慢、エリート主義、他人の話に耳を貸さないといった批判もある。

日曜日(9日)のデモで掲げられた横断幕やプラカードには、ラム氏の顔が描かれたものも多かった。このことは、今回の抗議デモがどれほど彼女個人に対するものなのかを示している。

(英語記事 Hong Kong leader defiant after massive protest

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