エジプトのムルシ元大統領、法廷で倒れ死去

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2015年に法廷で弁護士と支持者に手を振ったムルシ元大統領

エジプトのムハンマド・ムルシ元大統領が17日、カイロの裁判所の法廷で倒れ、死去した。67歳だった。ムルシ氏は大統領就任の翌年の2013年、軍により拘束され、裁判にかけられていた。

ムルシ氏はこの日、法廷に設置された防音ガラスのケージの中から約5分にわたって発言し、その直後に倒れた。防音ガラスは、ムルシ氏が不規則発言をして裁判の進行を妨げるのを防ぐため、準備されたという。

ムルシ氏は搬送された病院で、午後4時50分に死亡が宣告された。検察当局によると、外傷は確認されていない。国営テレビは、死因を心臓発作と伝えた。

一方、ムスリム同胞団は、「完全な殺人」との見方を示した。

エジプト初の文民大統領

ムルシ氏はカイロ大学でエンジニアを学び、アメリカに渡って博士号を取得した。現在は非合法化されている政治組織「ムスリム同胞団」の最高幹部となり、12年の大統領選に当選。エジプト初の文民大統領となった。しかし、経済の低迷などから大規模な反政府運動が起こり、軍に拘束された。

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Image caption ムルシ氏は反政府運動が高まった2013年7月、軍により拘束された

その後、パレスチナのイスラム系組織ハマスと接触したとしてスパイ行為の罪に問われたほか、非合法組織を率いた罪や、反政府運動のメンバーたちを拘束して拷問にかけた罪などにも問われた。3件の裁判で有罪となり、45年以上の禁錮刑が言い渡されていた。

ムルシ氏は一貫して裁判の正当性を否定。同氏の支援者たちも、裁判は軍のクーデターに法的な正当性を与えるために、不確かな目撃証言やわずかな証拠をもとに政治的な動機で開かれているものだと批判していた。

家族が健康不安を訴えていた

活動家やムルシ氏の家族は以前から、ムルシ氏が高血圧や糖尿病などの治療を受けておらず、独房に入れられているとして、待遇の改善を求めていた。

家族は先月、面会を何度求めても拒否され、ムルシ氏の健康状態が不明だと訴えていた。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルによると、ムルシ氏は親族との面会が3回許可されただけで、弁護士や医師と会うことは認められなかったという。

<解説>確実に強い感情をかき立てる死――リース・デュセット国際問題編集委員長

エジプト初の民主的な選挙で選ばれた大統領として、多くの人がムルシ氏を記憶している。それだけに、その死は確実に、エジプトや外国にいる彼の支持者や盟友たちの強い感情をかき立てるだろう。トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は直ちに、ムルシ氏を殉教者と呼んだ。今後もさらに大勢が、同じようにムルシ氏を呼ぶはずだ。

ムルシ氏の収監につながった裁判は、もうずっと前からあまりに政治的だと懸念されてきた。監禁の形についての懸念もあった。ムルシ氏は長年、健康問題を抱えていた。

イギリス議会の委員会は昨年、ムルシ氏が1日23時間、独居房で監禁されており、これは拷問状態に相当するという報告書を出した。そして、このままでは早期の死につながると警告していた。

ムルシ氏の急死は、エジプトのアブドゥル・ファタ・シシ大統領の求めを受けたとされるアメリカが、ムスリム同胞団を国外テロ組織に指定しようとしている最中に起きた。ムスリム同胞団の最高幹部の1人が死亡したことで、この世界的なイスラム運動の怒りと不安はさらに深まるだろう。

(英語記事 Egypt's ousted president Morsi dies during trial

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