香港の行政長官、改正案成立は「可能性低い」 会見で謝罪

Hong Kong Chief Executive Carrie Lam speaks at news conference Image copyright Reuters
Image caption 社会不安を招いたとして謝罪した林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官

香港で大規模な抗議デモを引き起こしている「逃亡犯条例」の改正案について、香港政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は18日、記者会見を開き、成立は「可能性が低い」との考えを表明した。

香港から中国本土へ刑事事件の容疑者を引き渡せるようにする改正案をめぐっては、断続的に抗議デモが続いている。

林鄭氏は15日に改正案の審議を延期すると発表。しかし多くの市民はこれに満足せず、16日には約200万人(主催者発表)が市中心部をデモ行進した。

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16日のデモでは、参加者たちがどんどん増えていった

市民たちからは、改正案の廃案と、林鄭氏の辞任を求める声が高まっている。

「私に大きな責任がある」

林鄭氏はこの日、廃案も辞任も約束しなかった。しかし、市民の不安が解消されるまで、立法会(議会)において改正案の審議は再開しないと述べた。

林鄭氏は、「私個人、大きな責任を負っている。今回の改正案は議論と対立、社会不安を招いた。そのことに対して、すべての香港市民に心から謝罪する」と表明した。

廃案も辞任もしない理由をBBCのニック・ビーク記者に問われると、改正案の審議を延期したことで、政府が市民の要求を受け止めていることを示したと述べた。

また、来年初めの議会会期末までに政府が改正案を成立させるのは「非常に可能性が低い」との見通しを示した。その上で、「もしそうなったら、政府はその現実を受け入れる」と語った。

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「信用できない」

デモ主催者たちは、林鄭氏が辞任を表明しなかったことにがっかりしたと反応し、会議を開いて今後の抗議運動について決めると述べた。

前日に刑務所から釈放された有名な民主活動家の黄之鋒氏は、米紙ウォールストリート・ジャーナルに、「100万人が行進したら少なくとも(改正案審議の)延期をし、200万人が行進したら謝罪した。林鄭氏は何人の市民を通りで歩かせたいのか」と語った。

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香港デモ、参加者の協力体制は「自然発生」

アビという名の20歳の女性はBBCに、林鄭氏の謝罪は「不誠実」に感じたと話した。

「林鄭氏は辞任すべきだ。もう一度チャンスを望むなら、改正案を廃案にして、少なくとも彼女にそれだけの価値があると示すべきだ。彼女は信用できない」

一方、中国政府は一貫して林鄭氏と逃亡犯条例の改正案を支持している。

<解説>怒り静めそうにもない声明――ヘリエ・チェン、BBCニュース、香港

林鄭氏は妥協点を探ろうとした。改正の手続きをめぐって謝罪したうえ、自分のことを市民が不満に思っていることや、「よりうまくする」必要があったことを認めた。

辞任を求める若者たちについては、彼らが「話に耳を傾ける長官を望んでいる」のはわかっていると述べ、共感を得ようとした。

しかし、改正案に反対の市民たちは、2つの要求――改正案の正式な廃案と、林鄭氏の辞任――のどちらにも応じていないとして、この日の記者会見に対して怒りをあらわにしている。

市民たちはまた、6月9日と12日にも大規模な抗議デモがあり、林鄭氏はもっと早く謝罪したり、改正案を延期したりできたと批判している。

行政長官に就任する前は、政治経験のほとんどない公務員だった林鄭氏は、市民の心を理解していないと以前から批判されてきた。

林鄭氏の最新の声明によって、市民がこの認識を変えたり、改正案に対する市民の怒りが収まる可能性は小さい。

(英語記事 HK chief says extradition bill unlikely to advance

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