米政権は「無能」、対イラン政策は「支離滅裂」 駐米英国大使の報告リーク

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イギリスのサー・キム・ダロック駐米大使(65)が、本国への極秘公電の中で、アメリカのトランプ政権は「無能」だと報告していたことが分かり、英政府が事態の究明に乗り出した。この事態を受けてドナルド・トランプ大統領は同大使について、「あまりイギリスの役に立っていない」と批判している。

英紙デイリー・メールが6日に報じたところによると、ダロック大使が2017年から現在まで英外務省へ書き送ったメールの中で、今のホワイトハウスは評判通り「内部対立と混沌(こんとん)」がひどく、「類を見ないほど機能不全に陥り」、トランプ大統領の下で「分裂している」と書いている。

今年6月に本国政府へ送ったメールでは、トランプ政権のイラン政策は「ちぐはぐで支離滅裂」と書いている。

これについてジェレミー・ハント英外相は、一連の報告内容はダロック大使の「私見」であり、英政府の見解ではないと説明している。

英外務省はデイリー・メールへのリークは「悪質」なことだとしながらも、内容は否定していない。

同省報道官は、今回のリークに関する正式な調査を開始すると認めた上で、外交官の見解は「必ずしも大臣や政府の見解というわけではない」と主張。大臣や公務員が外交官からの助言を「正しい方法で」取り扱うことで初めて、外交官は内密に報告できるのだと述べた。

一方、トランプ大統領は7日、ニュージャージー州で記者団に対し、「我々は大使の大ファンではないし、彼はあまりイギリスの役に立っていない。だから、今回のことは理解できる。彼について話すことはできるが、そんなことにかまうつもりはない」と述べた。

米政権が「正常になる」とは思えない

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Image caption イギリスのサー・キム・ダロック駐米大使

ダロック大使は本国への報告メールで、「米政権が今後、かなり正常なものになり、機能不全が軽減され、今ほど予測不能ではなくなり、派閥分裂が改善され、今ほど外交的にぶざまで無能ではなくなるとは、あまり考えられない」と書いた。

大使はさらに、トランプ政権のホワイトハウスが「有能に見えるなど今後あり得るのだろうか」と疑問を投げかけた。一方で、大統領を完全に軽視してはならないとも警告している。

1954年生まれのダロック大使は、キャリア外交官として42年間の経歴を持つ。国家安全保障と欧州連合(EU)政策を専門とし、「イスラム国」(IS)やロシアのクリミア半島侵攻、イラン核問題などについてデイヴィッド・キャメロン政権の安全保障問題顧問を務めた後、2016年1月に駐米大使として着任した。

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「率直な意見」

イギリスの与党・保守党党首選に立候補しているハント外相は、イギリス大使の仕事は、「率直な意見」を述べることであり、今回明らかになったメモは「私見」を述べたものだと主張した。

「イギリス政府の見解でもなければ、私個人の見解でもない。我々は今後も、トランプ大統領率いる米政権は、国際舞台において極めて有効なだけでなく、英国の一番の味方だと認識し続ける」

これに先立ち、英下院外交委員会のトム・トゥゲンハート委員長(保守党)は、BBCラジオに対し、今回のリークに関与した人物は起訴されなければならないと述べた。

「外交官は、本国政府と安全にやり取りできなければならない」とトゥゲンハート委員長は述べ、イギリス政府の大使は「アメリカの好き嫌い」ではなく、「イギリス国民の利益や希望を代表する」ことがその職務だと、ダロック大使を擁護した。

デイヴィッド・ゴーク司法相も、イギリスの大使が「本国に対し、誠実にありのままの助言」を行なうことは非常に重要だと述べた。「内容がリークされたのはみっともないことだが、この国の大使たちは見たままの真実を語るべきだ」。

リアム・フォックス英国際貿易相も、大使ではなく大使のメールを漏洩(ろうえい)した人物を批判。ア「我々にとって最重要な対外関係」にあるアメリカとの、防衛・安全保障関係を「悪意を持って」損なおうとしたと述べた。

「公職者にこのようなふるまいがあってはならない」ので、もし特定できたなら、政府内の最も厳しい罰則や場合によっては法律で処罰されることを期待すると、フォックス氏は強調した。

一方で、ブレグジット党のナイジェル・ファラージ党首はツイッターで、大使は「この職務にまったく不適任で、辞任が早ければ早い方が良い」と書いた。

ファラージ氏については、大統領選の最中から交流を重ねていたトランプ氏が2016年11月の当選から間もなく、駐米大使に適任だと発言していた。

「アメリカ・ファースト」のまま

ダロック大使は一連の報告メールで、米英がブレグジット(イギリスのEU離脱)後の貿易関係を改善させようとする中で、気候変動や報道の自由、死刑をめぐる両国の立場の違いが先鋭化する可能性があると指摘。大統領にこちらの言い分を理解してもらうには、「要点を簡潔に示す必要がある。いっそ、単刀直入に」と書いている。

大使はさらに、トランプ大統領は今年6月の訪英で国賓として受けた歓迎ぶりに「大いに感銘を受けていた」ものの、トランプ政権の利己的な性質は今後も変わらないと警告。「ここは今もアメリカ・ファーストの国だ」と付け加えた。

また、2016年米大統領選におけるロシア介入とトランプ陣営による結託疑惑については、「最悪のことがあり得ないとは言い切れない」と評価している。この疑惑を捜査したロバート・ムラー特別検察官による報告書の全容は今年4月に公表されたが、トランプ陣営がロシア当局と共謀した証拠はなかったと結論した。大統領が司法を妨害したかについては、報告書はそこまで断定しなかった。

対イラン政策は「支離滅裂」

アメリカの対イラン政策について、ダロック大使は、「ちぐはぐで支離滅裂」だと評した。

トランプ大統領は先月21日ツイッターで、米軍偵察機を撃墜したイランに対する報復爆撃をいったん承認してから、攻撃の10分前に中止した理由について、150人が死亡する可能性があったからだと説明したが、ダロック大使はこの言い分は「説得力がない」と指摘した。

外国の紛争にアメリカを巻き込んだりしないという選挙公約を破りたくないトランプ氏は、実際には報復爆撃を「全面的に支持していなかった」という。

また、「米政権が内部分裂」しているため、「アメリカの対イラン政策が近く、まとまったものになることは、おそらくあり得ない」と指摘している。

(英語記事 Inquiry launched into 'inept Trump' leaked emails/Trump criticises UK ambassador for leaked emails

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