韓国人男性が北朝鮮へ亡命、両親と同じように

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Image caption チェ・イングク氏の両親も韓国から北朝鮮へ亡命した

北朝鮮の国営メディアは7日、韓国籍のチェ・イングク氏(73)が北朝鮮に亡命したと発表した。韓国から北朝鮮への亡命は極めて異例。

チェ氏は、1980年代に同じように韓国から北朝鮮へ亡命した元外務高官の息子。北朝鮮メディアは、チェ氏は同国に住んで南北統一問題に関わることになると伝えた。

韓国統一省によると、チェ氏は訪朝許可を申請しなかった。

両国は名目上、現在も戦争状態にあり、韓国から北朝鮮に行くには政府の許可が必要となる。このため、チェ氏が韓国に戻った場合、違法行為で逮捕される可能性もあるという。

ソウルを拠点とするNKニュースのオリヴァー・ホサム氏はBBCの取材に対し、「どのようにチェ氏が亡命したのか分かっていない」と話した。

「しかし韓国人なら、いったん中国に入ってから北朝鮮の支援を受ければ(同国への入国は)それほど難しいことではない」

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Image caption 平壌で歓迎を受けるチェ・イングク氏

チェ・イングク氏とは

チェ氏の私生活や政治観について、詳しいことはほとんど分かっていない。チェ氏の妻と娘は韓国にいるという。

北朝鮮のプロパガンダ・メディア「ウリミンゾッキリ(わが民族同士)」は、チェ氏が平壌に到着し、北朝鮮政府高官に歓迎される様子を報道した。

チェ氏はその際、「私が感謝している国(北朝鮮)に住み、従うことが両親の遺言を守ることになる」、「ずいぶん遅くなったが、北朝鮮に永久に住むと決めた」と話したと伝えられる。

2016年には北朝鮮へ亡命した母親の葬儀に出席するなど、近年は頻繁に同国を訪問していたという。

両親も北朝鮮に亡命

父親の崔徳新(チェ・ドクシン)氏は1960年代、韓国で外務部長官を務めていた。

その後、1970年代にアメリカに移住したが、そこで軍人出身の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領を強く批判するようになった。

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1980年代にドクシン氏は、5人の成人の子供を残し、妻の柳美英(リュ・ミヨン)氏とともに北朝鮮へ亡命し、一躍有名人となった。

ドクシン氏とミヨン氏は北朝鮮で政治エリートの道を進んだ。ドクシン氏は1989年に、ミヨン氏は2016年にそれぞれ亡くなっている。

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それぞれの亡命者たち

北朝鮮と韓国の間では、北朝鮮から韓国へ亡命しようとするケースが圧倒的に多い。韓国政府によると、1953年の休戦協定以来、約3万人以上が違法に北朝鮮から韓国に渡った。

韓国の統計によると、その人数は近年では減りつつあり、2011年の脱北者の人数が2706人だったのに対し、2017年は1127人だった。

脱北の道のりはとても危険で、銃弾が行きかう中、軍事境界線を越えて脱北を試みる北朝鮮の兵士もいる。

中国経由で韓国に亡命するケースもあるが、中国は脱北者を難民ではなく不法移民として扱い、北朝鮮に強制送還することが多い。

北朝鮮の外交官が駐在先で亡命するケースもあり、2016年にはロンドンにいた駐英公使が韓国に亡命した。2018年には駐イタリア北朝鮮大使代理のチョ・ソンギル氏が姿を消した。チョ氏は西側の第三国への亡命を求めてイタリア政府の保護下にあるという情報もある。

韓国から北朝鮮への亡命は異例で、その多くは北朝鮮から一度は韓国へ逃れたもののやがて北朝鮮へ戻る、いわゆる「二重亡命」のケースだ。

(英語記事 South Korean man defects to the North

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